問題8は、角運動量に関する一連の問題です。具体的には、角運動量ベクトルの定義式、各成分の表現、極座標での表現、中心力下での角運動量保存、運動が二次元平面に限定されること、面積速度一定、そして角運動量の次元が「エネルギー×時間」に等しいことを示すことが求められています。

応用数学角運動量ベクトル力学物理極座標保存則次元
2025/7/12

1. 問題の内容

問題8は、角運動量に関する一連の問題です。具体的には、角運動量ベクトルの定義式、各成分の表現、極座標での表現、中心力下での角運動量保存、運動が二次元平面に限定されること、面積速度一定、そして角運動量の次元が「エネルギー×時間」に等しいことを示すことが求められています。

2. 解き方の手順

(1) 角運動量ベクトルの定義式
角運動量ベクトル L\mathbf{L} は、位置ベクトル r\mathbf{r} と運動量ベクトル p\mathbf{p} の外積として定義されます。
L=r×p\mathbf{L} = \mathbf{r} \times \mathbf{p}
(2) 角運動量ベクトルの成分
r=(x,y,z)\mathbf{r} = (x, y, z), p=(px,py,pz)\mathbf{p} = (p_x, p_y, p_z) とすると、
Lx=ypzzpyL_x = yp_z - zp_y
Ly=zpxxpzL_y = zp_x - xp_z
Lz=xpyypxL_z = xp_y - yp_x
(3) 角運動量の z 成分の極座標表示
x=rcosθx = r\cos\theta, y=rsinθy = r\sin\theta を用います。運動量は p=mv\mathbf{p} = m\mathbf{v} であり、vx=x˙v_x = \dot{x}, vy=y˙v_y = \dot{y} です。ここで、ドットは時間微分を表します。よって、
px=mx˙=m(r˙cosθrθ˙sinθ)p_x = m\dot{x} = m(\dot{r}\cos\theta - r\dot{\theta}\sin\theta)
py=my˙=m(r˙sinθ+rθ˙cosθ)p_y = m\dot{y} = m(\dot{r}\sin\theta + r\dot{\theta}\cos\theta)
Lz=xpyypx=mr2θ˙L_z = xp_y - yp_x = mr^2\dot{\theta}
(4) 中心力下での角運動量保存の証明
中心力 F\mathbf{F} は原点からの距離のみに依存し、F=F(r)rr\mathbf{F} = F(r) \frac{\mathbf{r}}{r} と表されます。トルク N\mathbf{N}N=r×F\mathbf{N} = \mathbf{r} \times \mathbf{F} で与えられます。中心力の場合、r\mathbf{r}F\mathbf{F} は平行なので、r×F=0\mathbf{r} \times \mathbf{F} = 0 となり、トルクはゼロです。角運動量の時間変化はトルクに等しいので、dLdt=N=0\frac{d\mathbf{L}}{dt} = \mathbf{N} = 0 となり、角運動量は時間的に一定(保存)されます。
(5) 中心力下での運動が二次元平面上で行われることの証明
角運動量ベクトル L\mathbf{L} が保存されることから、その方向は一定です。位置ベクトル r\mathbf{r} と運動量ベクトル p\mathbf{p} は常に L\mathbf{L} に垂直な平面上になければなりません。したがって、運動は常にこの平面上で行われます。
(6) 中心力下での面積速度一定の証明
面積速度は 12r2θ˙\frac{1}{2}r^2\dot{\theta} で与えられます。角運動量の z 成分は Lz=mr2θ˙L_z = mr^2\dot{\theta} であり、これが保存されることから、面積速度 12r2θ˙=Lz2m\frac{1}{2}r^2\dot{\theta} = \frac{L_z}{2m} も一定です。
(7) 角運動量の次元が「エネルギー×時間」に等しいことの証明
角運動量の次元は [L]=[r×p]=[length]×[mass×velocity]=ML2T1[L] = [\mathbf{r} \times \mathbf{p}] = [\text{length}] \times [\text{mass} \times \text{velocity}] = ML^2T^{-1} です。
エネルギーの次元は [E]=[kinetic energy]=12mv2=ML2T2[E] = [\text{kinetic energy}] = \frac{1}{2}mv^2 = ML^2T^{-2} であり、時間の次元は [T]=T[T] = T です。
したがって、[E×T]=ML2T2×T=ML2T1[E \times T] = ML^2T^{-2} \times T = ML^2T^{-1} となり、角運動量の次元と一致します。

3. 最終的な答え

(1) L=r×p\mathbf{L} = \mathbf{r} \times \mathbf{p}
(2)
Lx=ypzzpyL_x = yp_z - zp_y
Ly=zpxxpzL_y = zp_x - xp_z
Lz=xpyypxL_z = xp_y - yp_x
(3) Lz=mr2θ˙L_z = mr^2\dot{\theta}
(4) 中心力下ではトルクがゼロなので、角運動量は保存されます。
(5) 角運動量ベクトルが保存されるため、運動は常に一定の平面上で行われます。
(6) 角運動量が保存されるため、面積速度は一定です。
(7) 角運動量の次元はエネルギー×時間の次元に等しいです。

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