問題は、水の湧き出しが存在する微小立方体から流れ出る湧き出し量を、発散(div)を用いて求めること、そして、その結果を利用してガウスの発散定理を説明することです。

応用数学ベクトル解析発散ガウスの発散定理体積積分面積積分流体力学
2025/7/13

1. 問題の内容

問題は、水の湧き出しが存在する微小立方体から流れ出る湧き出し量を、発散(div)を用いて求めること、そして、その結果を利用してガウスの発散定理を説明することです。

2. 解き方の手順

まず、微小立方体の各面から流れ出る湧き出し量を計算します。微小立方体の辺の長さをそれぞれ dxdxdydydzdz とします。流れ出る水流密度ベクトルを v=(vx,vy,vz)\vec{v} = (v_x, v_y, v_z) とします。
* x軸方向の面の湧き出し量:
x軸の正の方向に出る面における流量は vx(x+dx,y,z)dydzv_x(x+dx, y, z)dydz であり、x軸の負の方向に出る面における流量は vx(x,y,z)dydzv_x(x, y, z)dydz です。したがって、x軸方向の正味の湧き出し量は、
(vx(x+dx,y,z)vx(x,y,z))dydz=vxxdxdydz(v_x(x+dx, y, z) - v_x(x, y, z))dydz = \frac{\partial v_x}{\partial x}dxdydz
* y軸方向の面の湧き出し量:
y軸の正の方向に出る面における流量は vy(x,y+dy,z)dxdzv_y(x, y+dy, z)dxdz であり、y軸の負の方向に出る面における流量は vy(x,y,z)dxdzv_y(x, y, z)dxdz です。したがって、y軸方向の正味の湧き出し量は、
(vy(x,y+dy,z)vy(x,y,z))dxdz=vyydxdydz(v_y(x, y+dy, z) - v_y(x, y, z))dxdz = \frac{\partial v_y}{\partial y}dxdydz
* z軸方向の面の湧き出し量:
z軸の正の方向に出る面における流量は vz(x,y,z+dz)dxdyv_z(x, y, z+dz)dxdy であり、z軸の負の方向に出る面における流量は vz(x,y,z)dxdyv_z(x, y, z)dxdy です。したがって、z軸方向の正味の湧き出し量は、
(vz(x,y,z+dz)vz(x,y,z))dxdy=vzzdxdydz(v_z(x, y, z+dz) - v_z(x, y, z))dxdy = \frac{\partial v_z}{\partial z}dxdydz
微小立方体からの総湧き出し量 dQdQ は、上記の3方向の湧き出し量の合計であるため、
dQ=(vxx+vyy+vzz)dxdydz=vdxdydzdQ = (\frac{\partial v_x}{\partial x} + \frac{\partial v_y}{\partial y} + \frac{\partial v_z}{\partial z})dxdydz = \nabla \cdot \vec{v} dxdydz
ここで、v\nabla \cdot \vec{v}v\vec{v} の発散(ダイバージェンス)であり、
v=vxx+vyy+vzz\nabla \cdot \vec{v} = \frac{\partial v_x}{\partial x} + \frac{\partial v_y}{\partial y} + \frac{\partial v_z}{\partial z}
と定義されます。
したがって、微小体積 dV=dxdydzdV = dxdydz あたりの湧き出し量(湧き出し密度)は v\nabla \cdot \vec{v} となります。
次に、ガウスの発散定理を説明します。
ある体積 VV を囲む閉曲面 SS を考えます。体積 VV を微小体積 dVdV に分割し、各微小体積からの湧き出し量を合計すると、体積 VV 全体からの湧き出し量になります。これは積分で表現できます。
VvdV\iiint_V \nabla \cdot \vec{v} \, dV
この湧き出し量は、閉曲面 SS を通って外に流れ出る流量に等しくなります。閉曲面 SS 上の微小面積ベクトルを dSd\vec{S} とすると、
SvdS\iint_S \vec{v} \cdot d\vec{S}
となります。ガウスの発散定理は、この2つの積分が等しいことを主張します。
VvdV=SvdS\iiint_V \nabla \cdot \vec{v} \, dV = \iint_S \vec{v} \cdot d\vec{S}
これは、体積積分と面積積分を結びつける重要な定理です。

3. 最終的な答え

* 微小立方体から流れ出る湧き出し量は (v)dxdydz(\nabla \cdot \vec{v}) dxdydz で表されます。ここで、v=vxx+vyy+vzz\nabla \cdot \vec{v} = \frac{\partial v_x}{\partial x} + \frac{\partial v_y}{\partial y} + \frac{\partial v_z}{\partial z} は水流密度ベクトルの発散です。
* ガウスの発散定理は、体積 VV 内の湧き出し量の総和が、その体積を囲む閉曲面 SS からの流出量に等しいことを示しており、数式では VvdV=SvdS\iiint_V \nabla \cdot \vec{v} \, dV = \iint_S \vec{v} \cdot d\vec{S} と表されます。

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