平行板電極ABに電圧Vをかけたとき、Aから初速度0で加速された電子がBに到達する直前の速さ、運動量、波長を求める。電子の質量はm、電気素量はe、プランク定数はhとする。

応用数学電磁気学量子力学ド・ブロイ波長クーロン力運動エネルギー運動量
2025/7/15
## 問1

1. 問題の内容

平行板電極ABに電圧Vをかけたとき、Aから初速度0で加速された電子がBに到達する直前の速さ、運動量、波長を求める。電子の質量はm、電気素量はe、プランク定数はhとする。

2. 解き方の手順

(1) 電子の速さ:
電子が電圧Vによって得たエネルギーは、電位差に電子の電荷をかけたものである。
運動エネルギーの変化は、
12mv2=eV \frac{1}{2}mv^2 = eV
したがって、Bに到達する直前の速さvは、
v=2eVmv = \sqrt{\frac{2eV}{m}}
(2) 電子の運動量:
運動量pは、質量mと速さvの積で表される。
p=mv p = mv
(1)の結果を用いると、
p=m2eVm=2meV p = m\sqrt{\frac{2eV}{m}} = \sqrt{2meV}
(3) 電子の波長:
ド・ブロイ波長λは、プランク定数hを運動量pで割ったものである。
λ=hp \lambda = \frac{h}{p}
(2)の結果を用いると、
λ=h2meV \lambda = \frac{h}{\sqrt{2meV}}

3. 最終的な答え

(1) 速さ: 2eVm \sqrt{\frac{2eV}{m}}
(2) 運動量: 2meV \sqrt{2meV}
(3) 波長: h2meV \frac{h}{\sqrt{2meV}}
## 問2

1. 問題の内容

水素原子において、陽子が原点に静止しており、電子が陽子の周りを等速円運動しているとする。電子の質量はm、電荷は-e、原点からの距離はr、クーロン力の大きさは ke2r2k\frac{e^2}{r^2}とする。電子のド・ブロイ波長、定常状態における軌道半径、速さの最大値、半径の最小値を求める。プランク定数は hhとする。

2. 解き方の手順

(1) ド・ブロイ波長:
電子のド・ブロイ波長λは、プランク定数hを運動量mvで割ったものである。
λ=hmv\lambda = \frac{h}{mv}
(2) 定常状態の半径:
定常状態では、円軌道の円周の長さがド・ブロイ波長の整数倍になっている。
2πr=nλ2\pi r = n\lambda (n = 1, 2, 3, ...)
λ=hmv\lambda = \frac{h}{mv}を代入して、
2πr=nhmv2\pi r = n\frac{h}{mv}
したがって、半径rは、
r=nh2πmvr = \frac{nh}{2\pi mv}
(3) 速さの最大値:
クーロン力と遠心力が釣り合っているので、
ke2r2=mv2rk\frac{e^2}{r^2} = m\frac{v^2}{r}
v2=ke2mrv^2 = \frac{ke^2}{mr}
(2)の結果を代入して、
v2=ke2m2πmvnh=2πke2vnhv^2 = \frac{ke^2}{m} \frac{2\pi mv}{nh} = \frac{2\pi ke^2v}{nh}
v=2πke2nhv = \frac{2\pi ke^2}{nh}
速さvが最大になるのは、nが最小のとき、つまりn=1のときである。
(4) 半径の最小値:
(2)の結果より、r=nh2πmvr = \frac{nh}{2\pi mv}
v=2πke2nhv = \frac{2\pi ke^2}{nh}を代入して、
r=nh2πmnh2πke2=n2h24π2mke2r = \frac{nh}{2\pi m} \frac{nh}{2\pi ke^2} = \frac{n^2h^2}{4\pi^2 mke^2}
半径rが最小になるのは、nが最小のとき、つまりn=1のときである。
rmin=h24π2mke2r_{min} = \frac{h^2}{4\pi^2 mke^2}
h=6.63×1034Jsh = 6.63 \times 10^{-34} Js, m=9.11×1031kgm = 9.11 \times 10^{-31} kg, ke2=2.31×1028Nm2ke^2 = 2.31 \times 10^{-28} Nm^2, π=3.14\pi = 3.14
rmin=(6.63×1034)24×(3.14)2×(9.11×1031)×(2.31×1028)0.53×1010mr_{min} = \frac{(6.63 \times 10^{-34})^2}{4\times (3.14)^2 \times (9.11 \times 10^{-31}) \times (2.31 \times 10^{-28})} \approx 0.53 \times 10^{-10} m
rmin=5.3×1011mr_{min} = 5.3 \times 10^{-11} m

3. 最終的な答え

(1) ド・ブロイ波長: hmv\frac{h}{mv}
(2) 半径: nh2πmv\frac{nh}{2\pi mv}
(3) 速さの最大値: n=1
(4) 半径の最小値: n=1, 5.3×1011m5.3 \times 10^{-11} m

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