薬物Aが0.80g含まれる懸濁液10mLの濃度が、4.0 w/v%になるまでに要する時間を求める問題です。薬物Aの分解は一次反応に従い、分解速度定数は0.040 $h^{-1}$、飽和溶解度は5.0 w/v%です。

応用数学微分方程式一次反応対数化学反応速度論
2025/7/16

1. 問題の内容

薬物Aが0.80g含まれる懸濁液10mLの濃度が、4.0 w/v%になるまでに要する時間を求める問題です。薬物Aの分解は一次反応に従い、分解速度定数は0.040 h1h^{-1}、飽和溶解度は5.0 w/v%です。

2. 解き方の手順

まず、初期濃度と最終濃度を計算します。
初期濃度は、0.80 g / 10 mL = 0.08 g/mL = 8.0 w/v%です。
最終濃度は、4.0 w/v%です。
一次反応における濃度変化は以下の式で表されます。
ln(Ct)ln(C0)=ktln(C_t) - ln(C_0) = -kt
ここで、CtC_tは時刻tにおける濃度、C0C_0は初期濃度、kkは速度定数、ttは時間です。
問題文より溶解速度が分解速度に比べて十分速いため、溶解度を考慮し、分解反応は溶液中で飽和溶解度以下でのみ起こると考えられます。溶解度(5.0 w/v%)を超える8.0 w/v%から5.0 w/v%になるまでは、溶解が瞬時に起こるとみなします。そのため、5.0 w/v%からの分解を考えることになります。
したがって、初期濃度C0C_0を5.0 w/v%とし、最終濃度CtC_tを4.0 w/v%として式に代入します。
ln(4.0)ln(5.0)=0.040tln(4.0) - ln(5.0) = -0.040t
ln(4.05.0)=0.040tln(\frac{4.0}{5.0}) = -0.040t
ln(0.8)=0.040tln(0.8) = -0.040t
ln(0.8)ln(0.8)は、ln(45)=ln(225)=2ln(2)ln(5)ln(\frac{4}{5}) = ln(\frac{2^2}{5}) = 2ln(2) - ln(5)と変形できます。
さらに、ln(5)=ln(102)=ln(10)ln(2)ln(5) = ln(\frac{10}{2}) = ln(10) - ln(2)と変形できるため、
2ln(2)ln(5)=2ln(2)(ln(10)ln(2))=3ln(2)ln(10)2ln(2) - ln(5) = 2ln(2) - (ln(10) - ln(2)) = 3ln(2) - ln(10)となります。
問題文より、ln(2)=0.69ln(2) = 0.69ln(10)=2.3ln(10) = 2.3なので、
3ln(2)ln(10)=3×0.692.3=2.072.3=0.233ln(2) - ln(10) = 3 \times 0.69 - 2.3 = 2.07 - 2.3 = -0.23
したがって、ln(0.8)=0.23ln(0.8) = -0.23
0.23=0.040t-0.23 = -0.040t
t=0.230.040=234=5.75t = \frac{0.23}{0.040} = \frac{23}{4} = 5.75
次に、濃度が5.0 w/v%から4.0 w/v%になるまでの時間を計算します。
ln(4.0)ln(5.0)=0.040tln(4.0) - ln(5.0) = -0.040t
t=ln(5.0)ln(4.0)0.040=ln(5/4)0.040=ln(1.25)0.040t = \frac{ln(5.0) - ln(4.0)}{0.040} = \frac{ln(5/4)}{0.040} = \frac{ln(1.25)}{0.040}
ln(1.25)=ln(5/4)=ln(5)ln(4)=ln(10/2)ln(22)=ln(10)ln(2)2ln(2)=ln(10)3ln(2)=2.33(0.69)=2.32.07=0.23ln(1.25)=ln(5/4)=ln(5)-ln(4)=ln(10/2)-ln(2*2)=ln(10)-ln(2)-2ln(2)=ln(10)-3ln(2)=2.3-3(0.69)=2.3-2.07=0.23
よって、t=0.230.04=5.75t = \frac{0.23}{0.04} = 5.75
最後に、溶解度を超える8.0 w/v%から5.0 w/v%になるまでの時間を考慮する必要はありません。
求めた時間は5.75時間なので、最も近い値は選択肢の中で26です。ただし、これは誤りです。溶解度を考慮した計算で、4.0 w/v%になるまでの時間が5.75時間と求まりました。しかし、問題文をよく読むと、溶解速度は分解速度よりも十分に速いと書かれています。これは、溶解過程の時間は無視できるほど短いことを意味します。初期濃度が飽和溶解度を超えているため、直ちに5.0 w/v%まで溶解し、その後の濃度変化は分解反応によって支配されます。
初期濃度:5.0 w/v%
最終濃度:4.0 w/v%
分解速度定数:0.040 h1h^{-1}
ln(4.0)ln(5.0)=0.04tln(4.0) - ln(5.0) = -0.04t
ln(4/5)=0.04tln(4/5) = -0.04t
ln(0.8)=0.04tln(0.8) = -0.04t
t=ln(0.8)0.04t = \frac{-ln(0.8)}{0.04}
t=ln(4/5)0.04t = \frac{-ln(4/5)}{0.04}
t=ln(5/4)0.04t = \frac{ln(5/4)}{0.04}
t=ln(1.25)0.04t = \frac{ln(1.25)}{0.04}
t=ln(5)ln(4)0.04=ln(5)2ln(2)0.04t = \frac{ln(5) - ln(4)}{0.04} = \frac{ln(5) - 2ln(2)}{0.04}
t=ln(10/2)2ln(2)0.04=ln(10)ln(2)2ln(2)0.04=ln(10)3ln(2)0.04t = \frac{ln(10/2) - 2ln(2)}{0.04} = \frac{ln(10) - ln(2) - 2ln(2)}{0.04} = \frac{ln(10) - 3ln(2)}{0.04}
t=2.33(0.69)0.04=2.32.070.04=0.230.04=5.75t = \frac{2.3 - 3(0.69)}{0.04} = \frac{2.3 - 2.07}{0.04} = \frac{0.23}{0.04} = 5.75
ただし、選択肢には5.75に近い数値がないため、計算ミスか近似値の誤りが考えられます。ln(0.8) ≒ -0.223なので、
t = 0.223 / 0.04 ≒ 5.575となります。

3. 最終的な答え

最も近い値は11(1番の選択肢)でも21(2番の選択肢)でも26(3番の選択肢)でも31(4番の選択肢)でも36(5番の選択肢)でもありません。しかし、5.75hに最も近い選択肢を選ぶと、11hとなります。
解答: 1

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