シクロブタンガス(C4H8)からエチレンガス(C2H4)への分解反応におけるアレニウスパラメータ $\log(A) = 15.6$ (Aの単位は s^-1)、活性化エネルギー $E_a = 261 \text{ kJ mol}^{-1}$ である。20℃の場合と比べ、30℃の場合、シクロブタンの半減期は何倍になるか求めよ。

応用数学化学反応速度論アレニウスの式指数関数対数
2025/7/16

1. 問題の内容

シクロブタンガス(C4H8)からエチレンガス(C2H4)への分解反応におけるアレニウスパラメータ log(A)=15.6\log(A) = 15.6 (Aの単位は s^-1)、活性化エネルギー Ea=261 kJ mol1E_a = 261 \text{ kJ mol}^{-1} である。20℃の場合と比べ、30℃の場合、シクロブタンの半減期は何倍になるか求めよ。

2. 解き方の手順

まず、アレニウスの式を用いて反応速度定数 kk を求める。アレニウスの式は以下のように表される。
k=Aexp(EaRT)k = A \exp\left(-\frac{E_a}{RT}\right)
ここで、kkは反応速度定数、AAは頻度因子、EaE_aは活性化エネルギー、RRは気体定数、TTは絶対温度である。
問題で与えられているのは log(A)\log(A) の値なので、AA を計算する必要がある。
A=10log(A)=1015.6A = 10^{\log(A)} = 10^{15.6}
次に、20℃(293 K)と30℃(303 K)における反応速度定数 k1k_1k2k_2 を計算する。
T1=20C=293 KT_1 = 20^\circ\text{C} = 293\text{ K}
T2=30C=303 KT_2 = 30^\circ\text{C} = 303\text{ K}
Ea=261 kJ mol1=261000 J mol1E_a = 261\text{ kJ mol}^{-1} = 261000\text{ J mol}^{-1}
R=8.314 J mol1K1R = 8.314\text{ J mol}^{-1} \text{K}^{-1}
k1=Aexp(EaRT1)=1015.6exp(2610008.314×293)k_1 = A \exp\left(-\frac{E_a}{RT_1}\right) = 10^{15.6} \exp\left(-\frac{261000}{8.314 \times 293}\right)
k2=Aexp(EaRT2)=1015.6exp(2610008.314×303)k_2 = A \exp\left(-\frac{E_a}{RT_2}\right) = 10^{15.6} \exp\left(-\frac{261000}{8.314 \times 303}\right)
一次反応における半減期 t1/2t_{1/2} は、反応速度定数 kk と以下の関係がある。
t1/2=ln2kt_{1/2} = \frac{\ln 2}{k}
したがって、20℃と30℃における半減期 t1/2,1t_{1/2,1}t1/2,2t_{1/2,2} はそれぞれ
t1/2,1=ln2k1t_{1/2,1} = \frac{\ln 2}{k_1}
t1/2,2=ln2k2t_{1/2,2} = \frac{\ln 2}{k_2}
半減期の比を計算する。
t1/2,1t1/2,2=ln2k1ln2k2=k2k1=Aexp(EaRT2)Aexp(EaRT1)=exp(EaR(1T11T2))\frac{t_{1/2,1}}{t_{1/2,2}} = \frac{\frac{\ln 2}{k_1}}{\frac{\ln 2}{k_2}} = \frac{k_2}{k_1} = \frac{A \exp\left(-\frac{E_a}{RT_2}\right)}{A \exp\left(-\frac{E_a}{RT_1}\right)} = \exp\left(\frac{E_a}{R}\left(\frac{1}{T_1} - \frac{1}{T_2}\right)\right)
t1/2,1t1/2,2=exp(2610008.314(12931303))=exp(31392.8×(0.0034130.003300))=exp(31392.8×0.000113)=exp(3.547)34.7\frac{t_{1/2,1}}{t_{1/2,2}} = \exp\left(\frac{261000}{8.314}\left(\frac{1}{293} - \frac{1}{303}\right)\right) = \exp\left(31392.8 \times (0.003413 - 0.003300)\right) = \exp(31392.8 \times 0.000113) = \exp(3.547) \approx 34.7

3. 最終的な答え

20℃の場合と比べ、30℃の場合、シクロブタンの半減期は約34.7倍になる。

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