原点 $O(0,0)$ と点 $A(0,2)$ を直径の両端とする円 $C$ がある。円 $C$ の周上を動く点 $Q$ と原点 $O$ を通る直線を $l$ とし、点 $A$ における円 $C$ の接線を $m$ として、$l$ と $m$ の交点を $R$ とする。そして、点 $R$ と $x$ 座標が等しく、かつ点 $Q$ と $y$ 座標が等しい点を $P$ とする。ただし、点 $Q$ は原点 $O$ とは異なるとする。 (1) 点 $P$ の軌跡の方程式を $y = f(x)$ の形で表せ。 (2) $y = f(x)$ について増減や凹凸を調べ、グラフの概形をかけ。 (3) 曲線 $y = f(x)$、$x$ 軸、直線 $x = -2$ および直線 $x = 2\sqrt{3}$ で囲まれた図形の面積を求めよ。

1. 問題の内容

原点 $O(0,0)$ と点 $A(0,2)$ を直径の両端とする円 $C$ がある。円 $C$ の周上を動く点 $Q$ と原点 $O$ を通る直線を $l$ とし、点 $A$ における円 $C$ の接線を $m$ として、$l$ と $m$ の交点を $R$ とする。そして、点 $R$ と $x$ 座標が等しく、かつ点 $Q$ と $y$ 座標が等しい点を $P$ とする。ただし、点 $Q$ は原点 $O$ とは異なるとする。

(1) 点 $P$ の軌跡の方程式を $y = f(x)$ の形で表せ。

(2) $y = f(x)$ について増減や凹凸を調べ、グラフの概形をかけ。

(3) 曲線 $y = f(x)$、$x$ 軸、直線 $x = -2$ および直線 $x = 2\sqrt{3}$ で囲まれた図形の面積を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) 点 $Q$ の座標を $(2\sin\theta, 2\cos\theta)$ とする。ただし、$\theta \neq \pi/2$。直線 $l$ の方程式は $y = \frac{2\cos\theta}{2\sin\theta}x = (\cot\theta)x$。点 $A$ における円 $C$ の接線 $m$ は $y = 2$。点 $R$ の座標は $(\frac{2}{\cot\theta}, 2) = (2\tan\theta, 2)$。点 $P$ は点 $R$ と $x$ 座標が等しく、点 $Q$ と $y$ 座標が等しいので、点 $P$ の座標は $(2\tan\theta, 2\cos\theta)$。よって、$x = 2\tan\theta$、$y = 2\cos\theta$。$\tan\theta = \frac{x}{2}$ より、$\cos^2\theta = \frac{1}{1+\tan^2\theta} = \frac{1}{1+\frac{x^2}{4}} = \frac{4}{4+x^2}$。したがって、$y = 2\cos\theta = 2\sqrt{\frac{4}{4+x^2}} = \frac{4}{\sqrt{4+x^2}}$。$\theta \neq \pi/2$ なので $x \neq \infty$ であり、$y>0$。よって、点 $P$ の軌跡は $y = \frac{4}{\sqrt{x^2+4}}$。

(2) $f(x) = \frac{4}{\sqrt{x^2+4}}$。

$f'(x) = 4(-\frac{1}{2})(x^2+4)^{-\frac{3}{2}}(2x) = \frac{-4x}{(x^2+4)^{\frac{3}{2}}}$。

$f'(x) = 0$ となるのは $x=0$ のとき。

$x>0$ のとき $f'(x) < 0$ であり、$x<0$ のとき $f'(x) > 0$。よって、$x=0$ で極大値をとる。

$f''(x) = -4\frac{(x^2+4)^{\frac{3}{2}} - x\cdot \frac{3}{2}(x^2+4)^{\frac{1}{2}}(2x)}{(x^2+4)^3} = -4\frac{(x^2+4) - 3x^2}{(x^2+4)^{\frac{5}{2}}} = \frac{8(x^2-2)}{(x^2+4)^{\frac{5}{2}}}$。

$f''(x) = 0$ となるのは $x=\pm\sqrt{2}$ のとき。$x<-\sqrt{2}$ または $x>\sqrt{2}$ のとき $f''(x)>0$ であり、$-\sqrt{2} < x < \sqrt{2}$ のとき $f''(x)<0$。したがって、$x=\pm\sqrt{2}$ で変曲点を持つ。

$x \to \pm\infty$ のとき $f(x) \to 0$。

増減表：

$$

\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|}

\hline

x & \cdots & -\sqrt{2} & \cdots & 0 & \cdots & \sqrt{2} & \cdots \\

\hline

f'(x) & + & + & + & 0 & - & - & - \\

\hline

f''(x) & + & 0 & - & - & - & 0 & + \\

\hline

f(x) & \nearrow & \frac{2\sqrt{3}}{3} & \frown & 2 & \smile & \frac{2\sqrt{3}}{3} & \searrow \\

\hline

\end{array}

$$

(3) 求める面積は $\int_{-2}^{2\sqrt{3}} \frac{4}{\sqrt{x^2+4}}dx$。

ここで、$x=2\tan\theta$ と置換する。$dx = 2\sec^2\theta d\theta$。

$x=-2$ のとき、$\tan\theta = -1$ より $\theta = -\frac{\pi}{4}$。

$x=2\sqrt{3}$ のとき、$\tan\theta = \sqrt{3}$ より $\theta = \frac{\pi}{3}$。

$\int_{-2}^{2\sqrt{3}} \frac{4}{\sqrt{x^2+4}}dx = \int_{-\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{4}{\sqrt{4\tan^2\theta+4}} 2\sec^2\theta d\theta = \int_{-\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{4}{2\sec\theta} 2\sec^2\theta d\theta = 4\int_{-\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} \sec\theta d\theta = 4[\log|\sec\theta+\tan\theta|]_{-\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}}$。

$= 4[\log|\sec\frac{\pi}{3}+\tan\frac{\pi}{3}| - \log|\sec(-\frac{\pi}{4})+\tan(-\frac{\pi}{4})|] = 4[\log|2+\sqrt{3}| - \log|\sqrt{2}-1|] = 4\log|\frac{2+\sqrt{3}}{\sqrt{2}-1}|$。

$\frac{2+\sqrt{3}}{\sqrt{2}-1} = \frac{(2+\sqrt{3})(\sqrt{2}+1)}{2-1} = 2\sqrt{2}+2+\sqrt{6}+\sqrt{3}$。

よって、面積は $4\log(2\sqrt{2}+2+\sqrt{6}+\sqrt{3})$。

3. 最終的な答え

(1) $y = \frac{4}{\sqrt{x^2+4}}$

(2) グラフは省略

(3) $4\log(2\sqrt{2}+2+\sqrt{6}+\sqrt{3})$