この問題は、寡占市場(複占市場)における企業の行動に関する問題です。逆需要関数は $p(y) = 26 - 2y$ であり、企業Aと企業Bの費用関数はそれぞれ $C_A(y) = 2y$ と $C_B(y) = 2y$ です。 問1では、両企業がクールノー競争を行う場合のナッシュ均衡における販売数量、市場価格、利潤を求めます。 問2では、企業Aが先手を取り、企業Bがそれに応じて行動するシュタッケルベルク競争を行う場合の部分ゲーム完全均衡における販売数量、市場価格、利潤を求めます。

応用数学ゲーム理論ミクロ経済学寡占市場クールノー競争シュタッケルベルク競争ナッシュ均衡
2025/7/17

1. 問題の内容

この問題は、寡占市場(複占市場)における企業の行動に関する問題です。逆需要関数は p(y)=262yp(y) = 26 - 2y であり、企業Aと企業Bの費用関数はそれぞれ CA(y)=2yC_A(y) = 2yCB(y)=2yC_B(y) = 2y です。
問1では、両企業がクールノー競争を行う場合のナッシュ均衡における販売数量、市場価格、利潤を求めます。
問2では、企業Aが先手を取り、企業Bがそれに応じて行動するシュタッケルベルク競争を行う場合の部分ゲーム完全均衡における販売数量、市場価格、利潤を求めます。

2. 解き方の手順

**問1:クールノー競争**
* **企業の利潤関数を定義する:**
企業Aの利潤関数は πA=p(y)yACA(yA)=(262(yA+yB))yA2yA\pi_A = p(y)y_A - C_A(y_A) = (26 - 2(y_A + y_B))y_A - 2y_A です。
企業Bの利潤関数は πB=p(y)yBCB(yB)=(262(yA+yB))yB2yB\pi_B = p(y)y_B - C_B(y_B) = (26 - 2(y_A + y_B))y_B - 2y_B です。
* **各企業の反応関数を導出する:**
企業Aの利潤を最大化するために、πA\pi_AyAy_A で偏微分して0とおきます。
πAyA=264yA2yB2=0\frac{\partial \pi_A}{\partial y_A} = 26 - 4y_A - 2y_B - 2 = 0
4yA=242yB4y_A = 24 - 2y_B
yA=612yBy_A = 6 - \frac{1}{2}y_B
同様に、企業Bの利潤を最大化するために、πB\pi_ByBy_B で偏微分して0とおきます。
πByB=262yA4yB2=0\frac{\partial \pi_B}{\partial y_B} = 26 - 2y_A - 4y_B - 2 = 0
4yB=242yA4y_B = 24 - 2y_A
yB=612yAy_B = 6 - \frac{1}{2}y_A
* **ナッシュ均衡を求める:**
反応関数を連立させて解きます。
yA=612(612yA)y_A = 6 - \frac{1}{2}(6 - \frac{1}{2}y_A)
yA=63+14yAy_A = 6 - 3 + \frac{1}{4}y_A
34yA=3\frac{3}{4}y_A = 3
yA=4y_A = 4
同様に yB=4y_B = 4
したがって、ナッシュ均衡における生産量は yA=4y_A = 4yB=4y_B = 4 です。
* **市場価格、利潤を計算する:**
総生産量 y=yA+yB=4+4=8y = y_A + y_B = 4 + 4 = 8
市場価格 p=262y=262(8)=2616=10p = 26 - 2y = 26 - 2(8) = 26 - 16 = 10
企業Aの利潤 πA=(10)(4)2(4)=408=32\pi_A = (10)(4) - 2(4) = 40 - 8 = 32
企業Bの利潤 πB=(10)(4)2(4)=408=32\pi_B = (10)(4) - 2(4) = 40 - 8 = 32
**問2:シュタッケルベルク競争**
* **企業Bの反応関数を導出する:**
企業Bは、企業Aの生産量 yAy_A を所与として利潤を最大化します。したがって、企業Bの反応関数はクールノー競争のときと同じです。
yB=612yAy_B = 6 - \frac{1}{2}y_A
* **企業Aの利潤関数を書き換える:**
企業Aは、企業Bの反応関数を考慮して利潤を最大化します。
πA=(262(yA+yB))yA2yA\pi_A = (26 - 2(y_A + y_B))y_A - 2y_A
yBy_B612yA6 - \frac{1}{2}y_A を代入します。
πA=(262(yA+612yA))yA2yA\pi_A = (26 - 2(y_A + 6 - \frac{1}{2}y_A))y_A - 2y_A
πA=(262yA12+yA)yA2yA\pi_A = (26 - 2y_A - 12 + y_A)y_A - 2y_A
πA=(14yA)yA2yA\pi_A = (14 - y_A)y_A - 2y_A
πA=14yAyA22yA\pi_A = 14y_A - y_A^2 - 2y_A
πA=12yAyA2\pi_A = 12y_A - y_A^2
* **企業Aの生産量を決定する:**
πA\pi_AyAy_A で偏微分して0とおきます。
πAyA=122yA=0\frac{\partial \pi_A}{\partial y_A} = 12 - 2y_A = 0
2yA=122y_A = 12
yA=6y_A = 6
* **企業Bの生産量を決定する:**
yA=6y_A = 6 を企業Bの反応関数に代入します。
yB=612(6)=63=3y_B = 6 - \frac{1}{2}(6) = 6 - 3 = 3
* **市場価格、利潤を計算する:**
総生産量 y=yA+yB=6+3=9y = y_A + y_B = 6 + 3 = 9
市場価格 p=262y=262(9)=2618=8p = 26 - 2y = 26 - 2(9) = 26 - 18 = 8
企業Aの利潤 πA=(8)(6)2(6)=4812=36\pi_A = (8)(6) - 2(6) = 48 - 12 = 36
企業Bの利潤 πB=(8)(3)2(3)=246=18\pi_B = (8)(3) - 2(3) = 24 - 6 = 18

3. 最終的な答え

**問1:クールノー競争**
* 企業Aの生産量: 4
* 企業Bの生産量: 4
* 市場価格: 10
* 企業Aの利潤: 32
* 企業Bの利潤: 32
**問2:シュタッケルベルク競争**
* 企業Aの生産量: 6
* 企業Bの生産量: 3
* 市場価格: 8
* 企業Aの利潤: 36
* 企業Bの利潤: 18

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