(1) **衝突直後の角運動量保存**
円柱が段差に衝突する直前と直後で、段差の角 (点 C) まわりの角運動量が保存すると考える。衝突は非弾性的なので、力学的エネルギーは保存されない。衝突直前の角運動量 L1 は、 L1=Iω+MvR ここで、I は円柱の慣性モーメントで I=21MR2、ω は角速度で ω=v/R である。したがって、 L1=21MR2Rv+MvR=23MvR 衝突直後の角速度を ω′ とすると、衝突直後の角運動量 L2 は、 L2=Iω′R=21MR2ω′+Mω′R2=23MR2ω′ 重心の速度は v′=ω′R となるので L2=23Mv′R. したがって、角運動量保存則より、
23Mv′R=23MvR しかし、今回は衝突が非弾性的であるから、v′=v となる。重心の速さ v′ に関しては、重心が点Cの周りを回転するように運動すると考えれば、L1=L2より、 23MR2ω′=Mv0R よって、ω′=Rv0 (2) **力学的エネルギー保存**
円柱が段差を上りきるためには、衝突直後の運動エネルギーが、位置エネルギーの増加分以上である必要がある。円柱の重心が C の周りを回転し、重心が最も高い位置に来たとき、回転が止まると考える。
K2=21Iω′2=21(23MR2)ω′2 段差を上りきるために必要な位置エネルギーの増加 ΔU は、 ΔU=Mg(R−h) エネルギー保存則より、K2≥ΔU である必要がある。 21(23MR2)ω′2≥Mg(R−h) 43MR2(Rv′)2≥Mg(R−h) 43Mv′2≥Mg(R−h) v′2≥34g(R−h) (3) **衝突前後の関係**
円柱とCとの衝突前後での力積を考える。衝突時、Cの周りに回転するようになるため、C周りの角運動量を考えると、衝突直前では重心は速度vで運動しており、衝突直後ではC周りをv′で回転している。 この時、角運動量保存則より、
MvR=23MR2ω′ ω′=3R2v v′=Rω′=32v (4) **必要条件の導出**
v′2≥34g(R−h) (32v)2≥34g(R−h) 94v2≥34g(R−h) v2≥3g(R−h) v≥3g(R−h)