質量 $m$ の物体がばね定数 $k$ のバネに取り付けられ、滑らかな水平面上に置かれている。物体を自然長から $x$ だけ引っ張って静かに離した場合について、以下の問いに答える。 1. 時刻 $t$ における位置 $x(t)$、速度 $v(t)$、加速度 $a(t)$ を求めよ。

応用数学単振動力学エネルギー保存運動方程式微分
2025/7/17

1. 問題の内容

質量 mm の物体がばね定数 kk のバネに取り付けられ、滑らかな水平面上に置かれている。物体を自然長から xx だけ引っ張って静かに離した場合について、以下の問いに答える。

1. 時刻 $t$ における位置 $x(t)$、速度 $v(t)$、加速度 $a(t)$ を求めよ。

2. 運動エネルギーと弾性エネルギーの和が保存されることを示せ。

3. 運動量と力の関係を運動方程式を用いて示せ。

4. 振動の周期と最大速度を求めよ。

2. 解き方の手順

1. 位置、速度、加速度の導出

物体は単振動を行うので、位置 x(t)x(t) は以下の式で表される。
x(t)=xcos(ωt)x(t) = x \cos(\omega t)
ここで、ω=km\omega = \sqrt{\frac{k}{m}} は角振動数である。初期条件として、t=0t=0x(0)=xx(0)=x であり、速度は v(0)=0v(0)=0 であることを考慮している。
速度 v(t)v(t) は位置 x(t)x(t) を時間で微分することで得られる。
v(t)=dx(t)dt=xωsin(ωt)v(t) = \frac{dx(t)}{dt} = -x\omega \sin(\omega t)
加速度 a(t)a(t) は速度 v(t)v(t) を時間で微分することで得られる。
a(t)=dv(t)dt=xω2cos(ωt)=kmxcos(ωt)=kmx(t)a(t) = \frac{dv(t)}{dt} = -x\omega^2 \cos(\omega t) = -\frac{k}{m}x \cos(\omega t) = -\frac{k}{m}x(t)

2. エネルギー保存則の証明

運動エネルギー KK12mv(t)2\frac{1}{2}mv(t)^2 であり、弾性エネルギー UU12kx(t)2\frac{1}{2}kx(t)^2 である。
エネルギーの和 EE
E=K+U=12mv(t)2+12kx(t)2=12m(xωsin(ωt))2+12k(xcos(ωt))2E = K + U = \frac{1}{2}mv(t)^2 + \frac{1}{2}kx(t)^2 = \frac{1}{2}m(-x\omega \sin(\omega t))^2 + \frac{1}{2}k(x \cos(\omega t))^2
E=12mx2ω2sin2(ωt)+12kx2cos2(ωt)E = \frac{1}{2}mx^2\omega^2 \sin^2(\omega t) + \frac{1}{2}kx^2 \cos^2(\omega t)
ω2=km\omega^2 = \frac{k}{m} より、
E=12mx2kmsin2(ωt)+12kx2cos2(ωt)=12kx2sin2(ωt)+12kx2cos2(ωt)E = \frac{1}{2}mx^2 \frac{k}{m} \sin^2(\omega t) + \frac{1}{2}kx^2 \cos^2(\omega t) = \frac{1}{2}kx^2 \sin^2(\omega t) + \frac{1}{2}kx^2 \cos^2(\omega t)
E=12kx2(sin2(ωt)+cos2(ωt))=12kx2E = \frac{1}{2}kx^2 (\sin^2(\omega t) + \cos^2(\omega t)) = \frac{1}{2}kx^2
エネルギー EE は時間 tt に依存しない定数であるため、保存される。

3. 運動方程式の証明

運動方程式は F=maF = ma である。
フックの法則より、バネの力は F=kx(t)F = -kx(t) である。
したがって、運動方程式は kx(t)=ma(t)-kx(t) = ma(t) となる。

1. の結果より、$a(t) = -\frac{k}{m}x(t)$ であるから、

kx(t)=m(kmx(t))=kx(t)-kx(t) = m(-\frac{k}{m}x(t)) = -kx(t)
よって、運動方程式が成り立つ。

4. 周期と最大速度の導出

単振動の周期 TTT=2πω=2πmkT = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}} である。
最大速度 vmaxv_{max} は、速度 v(t)v(t) の絶対値が最大となる時の値である。
v(t)=xωsin(ωt)v(t) = -x\omega \sin(\omega t) より、sin(ωt)=1|\sin(\omega t)| = 1 のとき v(t)|v(t)| は最大となる。
したがって、vmax=xω=xkmv_{max} = x\omega = x\sqrt{\frac{k}{m}} である。

3. 最終的な答え

1. 位置: $x(t) = x \cos(\sqrt{\frac{k}{m}} t)$

速度: v(t)=xkmsin(kmt)v(t) = -x\sqrt{\frac{k}{m}} \sin(\sqrt{\frac{k}{m}} t)
加速度: a(t)=kmxcos(kmt)a(t) = -\frac{k}{m}x \cos(\sqrt{\frac{k}{m}} t)

2. 運動エネルギーと弾性エネルギーの和は $\frac{1}{2}kx^2$ であり、時間的に一定なので保存される。

3. 運動方程式 $F = ma$ より、$-kx(t) = ma(t)$ が成り立つ。

4. 周期: $T = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$

最大速度: vmax=xkmv_{max} = x\sqrt{\frac{k}{m}}

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