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1. 問題の内容
1. $A^m = O$ であるとき、$(E-A)(E + A + \dots + A^{m-1})$ を計算せよ。
2. $A, B$ が共にべき零行列で可換ならば積 $AB$ もべき零行列であることを示せ。
3. $n$ 次正方行列 $A = [a_{ij}]$ が上三角行列であるとは $a_{ij} = 0\ (i > j)$ のときにいう。上三角行列の和、差、積は上三角行列であることを示せ。
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2. 解き方の手順
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1. 問題1
を展開する。
ここで、 より、
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2. 問題2
と が共にべき零行列なので、ある正の整数 が存在して、 かつ 。また、 と は可換なので、。
がべき零行列であることを示すには、ある正の整数 が存在して、 となることを示せばよい。
と が可換であることから、 と の順序を自由に入れ替えることができる。
したがって、
もしくは
がべき零行列となることを示すためには以下の式を示すほうが良い:
が可換であることから、 と の順序を自由に入れ替えることができる。
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3. 問題3
を 次の上三角行列とする。すなわち、 ならば かつ 。
* 和: において、 ならば 。よって、 も上三角行列。
* 差: において、 ならば 。よって、 も上三角行列。
* 積: とすると、。 のとき、 を示す。
とする。 ならば より である。また、 ならば 。
において、 または のとき、。
よって、 ならば、。
したがって、 も上三角行列。
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