長さ $l$ の糸に質量 $m$ のおもりをつけた単振り子について、以下の量を求めます。糸の付け根を原点とし、鉛直下向きを $x$ 軸とします。おもりは $xy$ 面内を運動し、糸が $x$ 軸となす角度を $\theta$ とします。おもりの位置ベクトルは $\vec{r} = l \cos \theta \vec{i} + l \sin \theta \vec{j}$ と表されます。 (1) $\vec{e}_r$ と $\vec{e}_\theta$ を $\vec{i}, \vec{j}, \theta$ を用いて表します。 (2) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を $\vec{i}, \vec{j}, l, \theta, \frac{d\theta}{dt}$ を用いて表します。 (3) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を $\vec{e}_\theta, l, \frac{d\theta}{dt}$ を用いて表します。 (4) 角運動量 $\vec{L} = m \vec{r} \times (\frac{d\vec{r}}{dt})$ を $m, l, \frac{d\theta}{dt}, \vec{k}$ を用いて表します。

## 回答

1. 問題の内容

長さ $l$ の糸に質量 $m$ のおもりをつけた単振り子について、以下の量を求めます。糸の付け根を原点とし、鉛直下向きを $x$ 軸とします。おもりは $xy$ 面内を運動し、糸が $x$ 軸となす角度を $\theta$ とします。おもりの位置ベクトルは $\vec{r} = l \cos \theta \vec{i} + l \sin \theta \vec{j}$ と表されます。

(1) $\vec{e}_r$ と $\vec{e}_\theta$ を $\vec{i}, \vec{j}, \theta$ を用いて表します。

(2) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を $\vec{i}, \vec{j}, l, \theta, \frac{d\theta}{dt}$ を用いて表します。

(3) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を $\vec{e}_\theta, l, \frac{d\theta}{dt}$ を用いて表します。

(4) 角運動量 $\vec{L} = m \vec{r} \times (\frac{d\vec{r}}{dt})$ を $m, l, \frac{d\theta}{dt}, \vec{k}$ を用いて表します。

2. 解き方の手順

(1) $\vec{e}_r$ と $\vec{e}_\theta$ を求める

位置ベクトル $\vec{r}$ を $r$ と $\theta$ を用いて表すと $\vec{r} = r\vec{e}_r$ です。ここで $r=l$ なので

$\vec{e}_r = \frac{\vec{r}}{r} = \frac{\vec{r}}{l} = \cos \theta \vec{i} + \sin \theta \vec{j}$

$\vec{e}_\theta$ は $\vec{e}_r$ を反時計回りに90度回転させたベクトルなので

$\vec{e}_\theta = -\sin \theta \vec{i} + \cos \theta \vec{j}$

(2) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を求める

位置ベクトル $\vec{r} = l \cos \theta \vec{i} + l \sin \theta \vec{j}$ を時間 $t$ で微分します。

$\frac{d\vec{r}}{dt} = \frac{d}{dt}(l \cos \theta \vec{i} + l \sin \theta \vec{j}) = l \frac{d}{dt}(\cos \theta) \vec{i} + l \frac{d}{dt}(\sin \theta) \vec{j}$

ここで、$\frac{d\theta}{dt} = \dot{\theta}$ と書くと

$\frac{d}{dt}(\cos \theta) = -\sin \theta \frac{d\theta}{dt} = -\dot{\theta}\sin \theta$

$\frac{d}{dt}(\sin \theta) = \cos \theta \frac{d\theta}{dt} = \dot{\theta}\cos \theta$

よって

$\frac{d\vec{r}}{dt} = -l\dot{\theta} \sin \theta \vec{i} + l\dot{\theta} \cos \theta \vec{j}$

(3) 速度 $\frac{d\vec{r}}{dt}$ を求める ($\vec{e}_\theta$ を用いる)

(2) の結果を用いて

$\frac{d\vec{r}}{dt} = l \dot{\theta} (-\sin \theta \vec{i} + \cos \theta \vec{j}) = l \dot{\theta} \vec{e}_\theta$

(4) 角運動量 $\vec{L}$ を求める

角運動量の定義 $\vec{L} = m \vec{r} \times \frac{d\vec{r}}{dt}$ に (2) と問題文に書かれている$\vec{r}$ の式を代入します。

$\vec{L} = m (l \cos \theta \vec{i} + l \sin \theta \vec{j}) \times (-l\dot{\theta} \sin \theta \vec{i} + l\dot{\theta} \cos \theta \vec{j})$

外積を計算すると

$\vec{L} = m l^2 \dot{\theta} (\cos^2 \theta + \sin^2 \theta) \vec{k} = m l^2 \dot{\theta} \vec{k}$

3. 最終的な答え

(1) $\vec{e}_r = \cos \theta \vec{i} + \sin \theta \vec{j}$

$\vec{e}_\theta = -\sin \theta \vec{i} + \cos \theta \vec{j}$

(2) $\frac{d\vec{r}}{dt} = -l\frac{d\theta}{dt} \sin \theta \vec{i} + l\frac{d\theta}{dt} \cos \theta \vec{j}$

(3) $\frac{d\vec{r}}{dt} = l \frac{d\theta}{dt} \vec{e}_\theta$

(4) $\vec{L} = m l^2 \frac{d\theta}{dt} \vec{k}$