問題6: $n$ 変数 $x_1, x_2, \dots, x_n$ の多項式 $\Delta(x_1, \dots, x_n)$ が次のように定義されるとき、$\sigma \in S_n$ が互換ならば $\sigma \Delta(x_1, \dots, x_n) = -\Delta(x_1, \dots, x_n)$ であることを示す。 $$\Delta(x_1, \dots, x_n) = \prod_{1 \le i < j \le n} (x_i - x_j)$$ 問題8: 問題6, 7を用いて, $\sigma \in S_n$ に対して, $\sigma \Delta(x_1, \dots, x_n) = (-1)^m \Delta(x_1, \dots, x_n)$ を示す。ここで $m$ は $\sigma$ を互換の積に分解したときの互換の個数である。また、これを用いて $\text{sgn}(\sigma)$ は $\sigma$ を互換の積で表したときの表し方によらないことを示す。 問題7は: $\sigma, \tau \in S_n$ のとき, $(\sigma \tau)f(x_1, \dots, x_n) = \sigma(\tau f)(x_1, \dots, x_n)$ を示す。ただし、$f$は変数$x_1, \dots, x_n$の関数。
2025/7/20
1. 問題の内容
問題6: 変数 の多項式 が次のように定義されるとき、 が互換ならば であることを示す。
問題8: 問題6, 7を用いて, に対して, を示す。ここで は を互換の積に分解したときの互換の個数である。また、これを用いて は を互換の積で表したときの表し方によらないことを示す。
問題7は: のとき, を示す。ただし、は変数の関数。
2. 解き方の手順
問題6:
を互換とする。 はある と を入れ替える置換である。つまり と書ける。
について、 によって符号が変わる項を考える。
と を含む項は である。 によってこれは となる。
それ以外の項 について、 が と のどちらか一方のみを含むとき、の形の因子に影響を及ぼす。
の全ての因子を考えると、によって符号が変わる因子は のみである。したがって、 となる。
問題7:
.
とは置換なので,置換の合成の定義から明らか。
問題8:
を互換の積で表す。 とする。ここで、 は互換である。
問題7より、
.
問題6より、 であるから、
.
が互換の積の表し方によらないことを示す。
は と によって一意に定まる。したがって、 は によって一意に定まる。
で定義されるので、 は の互換の積での表し方によらない。
3. 最終的な答え
問題6:
問題8: 。 は を互換の積で表したときの表し方によらない。