問題は以下の3つのパートに分かれています。 (1) 半径 $a$, 質量 $M$ の一様な半球の $x$ 軸周りの慣性モーメント $I_x$ を求める問題です。 (2) 質量 $M$, 長さ $a$ の一様な棒を、重心から距離 $h$ 離れた位置を固定軸として微小振動させたときの、 (a) 固定軸周りの慣性モーメント $I$ を求める問題です。 (b) 微小振動の周期 $T$ を求め、さらに $T$ を最小にする $h$ とそのときの $T$ を求める問題です。 (3) 自然長 $l_0$ のつるまきばねに質量 $m$ のおもりをつけ、半径 $a$、慣性モーメント $I$ の滑車に通したときの、 (a) ばね定数 $k$ を $m$, $a$, $I$, $l$, $l_0$, $g$ を用いて表す問題です。 (b) おもりと滑車の運動方程式を立てる問題です。 (c) おもりの振動の周期を求める問題です。

応用数学慣性モーメント微小振動運動方程式単振動周期ばね
2025/7/29

1. 問題の内容

問題は以下の3つのパートに分かれています。
(1) 半径 aa, 質量 MM の一様な半球の xx 軸周りの慣性モーメント IxI_x を求める問題です。
(2) 質量 MM, 長さ aa の一様な棒を、重心から距離 hh 離れた位置を固定軸として微小振動させたときの、
(a) 固定軸周りの慣性モーメント II を求める問題です。
(b) 微小振動の周期 TT を求め、さらに TT を最小にする hh とそのときの TT を求める問題です。
(3) 自然長 l0l_0 のつるまきばねに質量 mm のおもりをつけ、半径 aa、慣性モーメント II の滑車に通したときの、
(a) ばね定数 kkmm, aa, II, ll, l0l_0, gg を用いて表す問題です。
(b) おもりと滑車の運動方程式を立てる問題です。
(c) おもりの振動の周期を求める問題です。

2. 解き方の手順

(1) 半球の慣性モーメント
半球の慣性モーメントは、積分によって求めることができますが、ここでは省略します。一般的に、半径 aa, 質量 MM の一様な半球の xx 軸周りの慣性モーメントは
Ix=25Ma2I_x = \frac{2}{5}Ma^2
となります。
(2) 棒の微小振動
(a) 固定軸周りの慣性モーメント
棒の重心を通る軸周りの慣性モーメントは 112Ma2\frac{1}{12}Ma^2 であるから、平行軸の定理より、固定軸周りの慣性モーメント II は、
I=112Ma2+Mh2I = \frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2
となります。
(b) 微小振動の周期
棒に働くトルク τ\tau は、τ=Mghsinθ\tau = -Mgh\sin\theta であり、微小振動では sinθθ\sin\theta \approx \theta と近似できるので、
τ=Mghθ\tau = -Mgh\theta
となります。運動方程式は、
Id2θdt2=τI\frac{d^2\theta}{dt^2} = \tau
d2θdt2=MghIθ\frac{d^2\theta}{dt^2} = -\frac{Mgh}{I}\theta
これは単振動の式なので、角振動数 ω\omega は、
ω=MghI=Mgh112Ma2+Mh2=gh112a2+h2\omega = \sqrt{\frac{Mgh}{I}} = \sqrt{\frac{Mgh}{\frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2}} = \sqrt{\frac{gh}{\frac{1}{12}a^2 + h^2}}
したがって、周期 TT は、
T=2πω=2π112a2+h2gh=2πa212gh+hgT = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{\frac{1}{12}a^2 + h^2}{gh}} = 2\pi\sqrt{\frac{a^2}{12gh} + \frac{h}{g}}
TT を最小にする hh を求めるために、T2T^2hh で微分して0となる hh を探します。
d(T2)dh=ddh(4π2g(a212h+h))=4π2g(a212h2+1)=0\frac{d(T^2)}{dh} = \frac{d}{dh}\left(\frac{4\pi^2}{g}\left(\frac{a^2}{12h} + h\right)\right) = \frac{4\pi^2}{g}\left(-\frac{a^2}{12h^2} + 1\right) = 0
a212h2=1\frac{a^2}{12h^2} = 1
h2=a212h^2 = \frac{a^2}{12}
h=a12=a23=3a6h = \frac{a}{\sqrt{12}} = \frac{a}{2\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}a}{6}
このときの周期 TminT_{min} は、
Tmin=2πa212g(a23)+a23g=2πag2312+ag123=2πag(36+36)=2πag33=2πa3gT_{min} = 2\pi\sqrt{\frac{a^2}{12g(\frac{a}{2\sqrt{3}})} + \frac{\frac{a}{2\sqrt{3}}}{g}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{g}\frac{2\sqrt{3}}{12} + \frac{a}{g}\frac{1}{2\sqrt{3}}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{g}\left(\frac{\sqrt{3}}{6} + \frac{\sqrt{3}}{6}\right)} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{g}\frac{\sqrt{3}}{3}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{\sqrt{3}g}}
(3) つるまきばねとおもり
(a) ばね定数 kk
つり合いの位置では、ばねの伸びは ll0l - l_0 なので、ばねの弾性力は k(ll0)k(l - l_0) です。
おもりには重力 mgmg が働くので、力のつり合いより、
k(ll0)=mgk(l - l_0) = mg
k=mgll0k = \frac{mg}{l - l_0}
(b) 運動方程式
おもりの変位を xx とすると、ばねの伸びは ll0+xl - l_0 + x となり、ばねの弾性力は k(ll0+x)k(l - l_0 + x) となります。
おもりの運動方程式は、
md2xdt2=mgk(ll0+x)=mgk(ll0)kxm\frac{d^2x}{dt^2} = mg - k(l - l_0 + x) = mg - k(l - l_0) - kx
ここで、k(ll0)=mgk(l - l_0) = mg なので、
md2xdt2=kxm\frac{d^2x}{dt^2} = -kx
また、滑車の回転の運動方程式は、
Id2θdt2=ak(ll0+x)amg=akxI\frac{d^2\theta}{dt^2} = a k (l-l_0+x) - a mg= a kx
ここで、x=aθx = a \theta なので、
Id2dt2(xa)=akxI\frac{d^2}{dt^2}(\frac{x}{a}) = a kx
Iad2xdt2=akx\frac{I}{a}\frac{d^2 x}{dt^2} = a k x
d2xdt2=a2kIx\frac{d^2 x}{dt^2} = \frac{a^2 k}{I} x
(c) 振動の周期
おもりの運動方程式は、
md2xdt2=kxm\frac{d^2x}{dt^2} = -kx
なので、
d2xdt2+kmx=0\frac{d^2x}{dt^2} + \frac{k}{m}x = 0
しかし、滑車も回転しているので、
Id2θdt2=TaI\frac{d^2\theta}{dt^2} = T a
Ta=Id2θdt2=I1ad2xdt2T a = I \frac{d^2\theta}{dt^2} = I \frac{1}{a} \frac{d^2x}{dt^2}
おもりに関する運動方程式は
md2xdt2=mgk(ll0+x)+T=kx+Tm \frac{d^2x}{dt^2} = mg - k(l-l_0+x) + T = -kx+T
md2xdt2=kx+Ia2d2xdt2m \frac{d^2x}{dt^2} = -kx + \frac{I}{a^2}\frac{d^2x}{dt^2}
(mIa2)d2xdt2=kx(m-\frac{I}{a^2})\frac{d^2x}{dt^2} = -kx
d2xdt2+kmIa2x=0\frac{d^2x}{dt^2} + \frac{k}{m-\frac{I}{a^2}}x = 0
d2xdt2+mgll01mIa2x=0\frac{d^2x}{dt^2} + \frac{mg}{l-l_0}\frac{1}{m-\frac{I}{a^2}}x = 0
ω=kmIa2=mg(ll0)(mIa2)\omega = \sqrt{\frac{k}{m-\frac{I}{a^2}}} = \sqrt{\frac{mg}{(l-l_0)(m-\frac{I}{a^2})}}
周期は
T=2π(ll0)(mIa2)mgT = 2\pi \sqrt{\frac{(l-l_0)(m-\frac{I}{a^2})}{mg}}
ここで,k=mgll0k = \frac{mg}{l - l_0} なので、
T=2πmIa2k=2πmkIa2kT = 2\pi \sqrt{\frac{m - \frac{I}{a^2}}{k}} = 2\pi \sqrt{\frac{m}{k} - \frac{I}{a^2k}}
k=mgll0k = \frac{mg}{l - l_0} を代入して、
T=2π(ll0)(ma2I)mga2T = 2\pi \sqrt{\frac{(l-l_0)(ma^2 - I)}{mga^2}}

3. 最終的な答え

(1) Ix=25Ma2I_x = \frac{2}{5}Ma^2
(2) (a) I=112Ma2+Mh2I = \frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2
(b) h=3a6h = \frac{\sqrt{3}a}{6}, Tmin=2πa3gT_{min} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{\sqrt{3}g}}
(3) (a) k=mgll0k = \frac{mg}{l - l_0}
(b) md2xdt2=kx+Ia2d2xdt2m \frac{d^2x}{dt^2} = -kx + \frac{I}{a^2}\frac{d^2x}{dt^2}
(c) T=2π(ll0)(ma2I)mga2T = 2\pi \sqrt{\frac{(l-l_0)(ma^2 - I)}{mga^2}}

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