質量 $M$、長さ $a$ の太さを無視できる一様な棒があり、棒の重心から距離 $h$ だけ離れた位置に固定軸を通して、棒を鉛直面内で微小振動させる。重力加速度の大きさを $g$ とするとき、以下の問いに答える。 (a) 固定軸周りの慣性モーメント $I$ を求める。ただし、棒に対して垂直で棒の重心を通る軸周りの慣性モーメントが $\frac{1}{12}Ma^2$ であることを用いる。 (b) 微小振動の周期 $T$ を求める。また、$T$ を最小とする $h$ 及び、そのときの周期を求める。固定軸と円板との摩擦などは無視できるものとする。

応用数学力学慣性モーメント微小振動単振動周期
2025/7/29

1. 問題の内容

質量 MM、長さ aa の太さを無視できる一様な棒があり、棒の重心から距離 hh だけ離れた位置に固定軸を通して、棒を鉛直面内で微小振動させる。重力加速度の大きさを gg とするとき、以下の問いに答える。
(a) 固定軸周りの慣性モーメント II を求める。ただし、棒に対して垂直で棒の重心を通る軸周りの慣性モーメントが 112Ma2\frac{1}{12}Ma^2 であることを用いる。
(b) 微小振動の周期 TT を求める。また、TT を最小とする hh 及び、そのときの周期を求める。固定軸と円板との摩擦などは無視できるものとする。

2. 解き方の手順

(a) 固定軸周りの慣性モーメント II を求める。
平行軸の定理より、固定軸周りの慣性モーメント II は、
I=I重心+Mh2I = I_{重心} + Mh^2
ここで、I重心I_{重心} は重心周りの慣性モーメントであり、問題文より、I重心=112Ma2I_{重心} = \frac{1}{12}Ma^2 である。
したがって、
I=112Ma2+Mh2I = \frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2
(b) 微小振動の周期 TT を求める。
棒が鉛直方向から θ\theta だけ傾いたとき、重心にかかるトルク τ\tau は、
τ=Mghsinθ\tau = -Mgh\sin\theta
微小振動なので、sinθθ\sin\theta \approx \theta と近似できる。
τ=Mghθ\tau = -Mgh\theta
運動方程式は、
Id2θdt2=τI\frac{d^2\theta}{dt^2} = \tau
(112Ma2+Mh2)d2θdt2=Mghθ(\frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2)\frac{d^2\theta}{dt^2} = -Mgh\theta
d2θdt2=Mgh112Ma2+Mh2θ\frac{d^2\theta}{dt^2} = -\frac{Mgh}{\frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2}\theta
d2θdt2=gh112a2+h2θ\frac{d^2\theta}{dt^2} = -\frac{gh}{\frac{1}{12}a^2 + h^2}\theta
ここで、ω2=gh112a2+h2\omega^2 = \frac{gh}{\frac{1}{12}a^2 + h^2} とおくと、
d2θdt2=ω2θ\frac{d^2\theta}{dt^2} = -\omega^2\theta
この微分方程式の解は、θ(t)=Acos(ωt+δ)\theta(t) = A\cos(\omega t + \delta) (A, δ: 任意定数) で与えられる。
周期 TT は、
T=2πω=2π112a2+h2gh=2πa2+12h212ghT = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{\frac{1}{12}a^2 + h^2}{gh}} = 2\pi\sqrt{\frac{a^2 + 12h^2}{12gh}}
次に、TT を最小とする hh を求める。
dTdh=0\frac{dT}{dh} = 0 となる hh を求める。
T2=4π2(a2+12h2)12ghT^2 = \frac{4\pi^2(a^2 + 12h^2)}{12gh}
d(T2)dh=4π212g24hh(a2+12h2)1h2=4π212gh2(12h2a2)=0\frac{d(T^2)}{dh} = \frac{4\pi^2}{12g}\frac{24h \cdot h - (a^2 + 12h^2)\cdot 1}{h^2} = \frac{4\pi^2}{12gh^2}(12h^2 - a^2) = 0
12h2a2=012h^2 - a^2 = 0
h2=a212h^2 = \frac{a^2}{12}
h=a12=a23=3a6h = \frac{a}{\sqrt{12}} = \frac{a}{2\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}a}{6}
このとき、TT は最小値をとる。
h=a23h = \frac{a}{2\sqrt{3}}TT に代入すると、
Tmin=2πa2+12(a212)12ga23=2π2a212ga23=2π2a26ga3=2π2a236ga=2πa33g=2πa3gT_{min} = 2\pi\sqrt{\frac{a^2 + 12(\frac{a^2}{12})}{12g\frac{a}{2\sqrt{3}}}} = 2\pi\sqrt{\frac{2a^2}{12g\frac{a}{2\sqrt{3}}}} = 2\pi\sqrt{\frac{2a^2}{6g\frac{a}{\sqrt{3}}}} = 2\pi\sqrt{\frac{2a^2\sqrt{3}}{6ga}} = 2\pi\sqrt{\frac{a\sqrt{3}}{3g}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{\sqrt{3}g}}
Tmin=2π3a3g=2πa3gT_{min} = 2\pi\sqrt{\frac{\sqrt{3}a}{3g}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{\sqrt{3}g}}

3. 最終的な答え

(a) 固定軸周りの慣性モーメント: I=112Ma2+Mh2I = \frac{1}{12}Ma^2 + Mh^2
(b) 周期 T=2πa2+12h212ghT = 2\pi\sqrt{\frac{a^2 + 12h^2}{12gh}}
TT を最小とする h=3a6h = \frac{\sqrt{3}a}{6}
最小の周期 Tmin=2π3a3gT_{min} = 2\pi\sqrt{\frac{\sqrt{3}a}{3g}}

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