競争市場における企業の費用関数と需要関数が与えられている。 各企業の総費用は $TC = 5 + q + \frac{1}{2}q^2$、限界費用は $MC = 1 + q$ である。 需要関数は $P = 10 - Q$ であり、$q$ は個々の企業の生産量、$Q$ は財の総量、$P$ は価格である。 現時点で5社の企業が参入しているとき、以下の問題を解く。 (1) 短期の均衡価格を求める。 (2) 短期均衡における各社の利潤を求める。 (3) 参入と退出が自由な長期均衡において、何社の企業が参入しているかを求める。

応用数学ミクロ経済学費用関数需要関数均衡価格利潤長期均衡
2025/7/29

1. 問題の内容

競争市場における企業の費用関数と需要関数が与えられている。
各企業の総費用は TC=5+q+12q2TC = 5 + q + \frac{1}{2}q^2、限界費用は MC=1+qMC = 1 + q である。
需要関数は P=10QP = 10 - Q であり、qq は個々の企業の生産量、QQ は財の総量、PP は価格である。
現時点で5社の企業が参入しているとき、以下の問題を解く。
(1) 短期の均衡価格を求める。
(2) 短期均衡における各社の利潤を求める。
(3) 参入と退出が自由な長期均衡において、何社の企業が参入しているかを求める。

2. 解き方の手順

(1) 短期の均衡価格を求める。
競争市場では、各企業は P=MCP = MC となるように生産量を決定する。
MC=1+qMC = 1 + q より、P=1+qP = 1 + q である。
q=P1q = P - 1 となる。
5社の企業が参入しているので、Q=5q=5(P1)=5P5Q = 5q = 5(P - 1) = 5P - 5 である。
需要関数 P=10QP = 10 - Q に代入すると、P=10(5P5)P = 10 - (5P - 5) となる。
P=105P+5P = 10 - 5P + 5 より、6P=156P = 15
したがって、P=156=52=2.5P = \frac{15}{6} = \frac{5}{2} = 2.5
(2) 短期均衡における各社の利潤を求める。
P=2.5P = 2.5 なので、q=P1=2.51=1.5q = P - 1 = 2.5 - 1 = 1.5
各社の総費用は TC=5+q+12q2=5+1.5+12(1.5)2=5+1.5+12(2.25)=5+1.5+1.125=7.625TC = 5 + q + \frac{1}{2}q^2 = 5 + 1.5 + \frac{1}{2}(1.5)^2 = 5 + 1.5 + \frac{1}{2}(2.25) = 5 + 1.5 + 1.125 = 7.625
各社の収入は TR=Pq=2.5×1.5=3.75TR = Pq = 2.5 \times 1.5 = 3.75
各社の利潤は π=TRTC=3.757.625=3.875\pi = TR - TC = 3.75 - 7.625 = -3.875
(3) 参入と退出が自由な長期均衡において、何社の企業が参入しているかを求める。
長期均衡では、企業の利潤はゼロになる。つまり、平均費用 ACAC が最小となるように生産量が決まる。
AC=TCq=5q+1+12qAC = \frac{TC}{q} = \frac{5}{q} + 1 + \frac{1}{2}q
ACAC を最小化するためには、dACdq=0\frac{dAC}{dq} = 0 となる qq を求める。
dACdq=5q2+12=0\frac{dAC}{dq} = -\frac{5}{q^2} + \frac{1}{2} = 0
5q2=12\frac{5}{q^2} = \frac{1}{2} より、q2=10q^2 = 10
したがって、q=10q = \sqrt{10}
このときの MCMCMC=1+q=1+10MC = 1 + q = 1 + \sqrt{10}
長期均衡では P=MC=ACP = MC = AC なので、P=1+10P = 1 + \sqrt{10} である。
このときの市場全体の需要量は、P=10QP = 10 - Q より、Q=10P=10(1+10)=910Q = 10 - P = 10 - (1 + \sqrt{10}) = 9 - \sqrt{10}
企業の数は n=Qq=91010=910193.1612.851=1.85n = \frac{Q}{q} = \frac{9 - \sqrt{10}}{\sqrt{10}} = \frac{9}{\sqrt{10}} - 1 \approx \frac{9}{3.16} - 1 \approx 2.85 - 1 = 1.85

3. 最終的な答え

(1) 短期の均衡価格: 2.52.5
(2) 短期均衡における各社の利潤: 3.875-3.875 (損失)
(3) 長期均衡における企業の数: 910101.85\frac{9 - \sqrt{10}}{\sqrt{10}} \approx 1.85

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