日本とアメリカの金利、および円ドル、円ユーロ、ユーロドルの直物と先渡為替レートが与えられている。 (a) フランス人が1万ユーロを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の1年後の収益を比較し、金利裁定式を求める。 (b) アメリカ人が1万ドルを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の1年後の収益を比較し、金利裁定式を求める。 (c) (a)と(b)で求めた金利裁定式の関係を説明する。

応用数学金利裁定為替レート数式
2025/7/28

1. 問題の内容

日本とアメリカの金利、および円ドル、円ユーロ、ユーロドルの直物と先渡為替レートが与えられている。
(a) フランス人が1万ユーロを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の1年後の収益を比較し、金利裁定式を求める。
(b) アメリカ人が1万ドルを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の1年後の収益を比較し、金利裁定式を求める。
(c) (a)と(b)で求めた金利裁定式の関係を説明する。

2. 解き方の手順

(a) フランス人が1万ユーロを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の収益を計算する。
- 円資産投資: 1万ユーロを円に交換し、1年間日本の金利で運用する。1年後、円をユーロに交換する。
- ドル資産投資: 1万ユーロをドルに交換し、1年間アメリカの金利で運用する。1年後、ドルをユーロに交換する。
この二つの投資の収益が等しくなるように金利裁定式を立てる。
(b) アメリカ人が1万ドルを円資産に投資した場合とドル資産に投資した場合の収益を計算する。
- 円資産投資: 1万ドルを円に交換し、1年間日本の金利で運用する。1年後、円をドルに交換する。
- ドル資産投資: 1万ドルをそのまま1年間アメリカの金利で運用する。
この二つの投資の収益が等しくなるように金利裁定式を立てる。
(c) (a)と(b)で求めた金利裁定式の関係を分析する。一方の式からもう一方の式が導けるかどうか、あるいは両者が同等であるかを考察する。
(a) 金利裁定式
- 1万ユーロを円に投資: 10000×e0YE10000 \times e^{YE}_0 円を日本の金利 rr で1年運用し、 10000×e0YE×(1+r)10000 \times e^{YE}_0 \times (1+r) 円を得る。これを1年後の先渡レート e1YEe^{YE}_1 でユーロに交換し、10000×e0YE×(1+r)/e1YE10000 \times e^{YE}_0 \times (1+r) / e^{YE}_1 ユーロを得る。
- 1万ユーロをドルに投資: 10000×e0ED10000 \times e^{ED}_0 ドルをアメリカの金利 rr^* で1年運用し、10000×e0ED×(1+r)10000 \times e^{ED}_0 \times (1+r^*) ドルを得る。これを1年後の先渡レート e1EDe^{ED}_1 でユーロに交換し、10000×e0ED×(1+r)/e1ED10000 \times e^{ED}_0 \times (1+r^*) / e^{ED}_1 ユーロを得る。
金利裁定式は以下のようになる。
10000×e0YE×(1+r)/e1YE=10000×e0ED×(1+r)/e1ED10000 \times e^{YE}_0 \times (1+r) / e^{YE}_1 = 10000 \times e^{ED}_0 \times (1+r^*) / e^{ED}_1
約分して、
e0YE×(1+r)/e1YE=e0ED×(1+r)/e1EDe^{YE}_0 \times (1+r) / e^{YE}_1 = e^{ED}_0 \times (1+r^*) / e^{ED}_1
(b) 金利裁定式
- 1万ドルを円に投資: 10000×e0YD10000 \times e^{YD}_0 円を日本の金利 rr で1年運用し、10000×e0YD×(1+r)10000 \times e^{YD}_0 \times (1+r) 円を得る。これを1年後の先渡レート e1YDe^{YD}_1 でドルに交換し、10000×e0YD×(1+r)/e1YD10000 \times e^{YD}_0 \times (1+r) / e^{YD}_1 ドルを得る。
- 1万ドルをそのままアメリカの金利 rr^* で1年運用すると、10000×(1+r)10000 \times (1+r^*) ドルを得る。
金利裁定式は以下のようになる。
10000×e0YD×(1+r)/e1YD=10000×(1+r)10000 \times e^{YD}_0 \times (1+r) / e^{YD}_1 = 10000 \times (1+r^*)
約分して、
e0YD×(1+r)/e1YD=(1+r)e^{YD}_0 \times (1+r) / e^{YD}_1 = (1+r^*)
(c) 関係の説明
(a)の式は、ユーロを基準とした円とドルの金利裁定条件を表している。一方、(b)の式は、ドルを基準とした円とドルの金利裁定条件を表している。
(a)の式を e0YE/e0ED=e0YE,De^{YE}_0 / e^{ED}_0 = e^{YE, D}_0 および e1YE/e1ED=e1YE,De^{YE}_1 / e^{ED}_1 = e^{YE, D}_1 とおくと、
e0YE,D×(1+r)/e1YE,D=(1+r)e^{YE, D}_0 \times (1+r) / e^{YE, D}_1 = (1+r^*) となる。
e0YE,De^{YE, D}_0はユーロとドルの為替レートを意味し、 e0YE,D=e0YE/e0ED=1/(e0ED/e0YE)=1/(e0DE×e0YE/e0YD)=e0YDe^{YE, D}_0=e^{YE}_0 / e^{ED}_0 = 1/(e^{ED}_0 / e^{YE}_0) = 1/(e^{DE}_0 \times e^{YE}_0/e^{YD}_0) = e^{YD}_0 。同様に、e1YE,D=e1YDe^{YE, D}_1 = e^{YD}_1
したがって(a)の式は(b)の式と同値であり、両者は同じ金利裁定条件を表している。

3. 最終的な答え

(a) e0YE×(1+r)/e1YE=e0ED×(1+r)/e1EDe^{YE}_0 \times (1+r) / e^{YE}_1 = e^{ED}_0 \times (1+r^*) / e^{ED}_1
(b) e0YD×(1+r)/e1YD=(1+r)e^{YD}_0 \times (1+r) / e^{YD}_1 = (1+r^*)
(c) (a)と(b)の式は同値であり、同じ金利裁定条件を表している。

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