問題は2つあります。 * 問1: 地球と月の質量が与えられたとき、(1)換算質量を計算し、(2)地球と月の重心が地球の中心から何km離れているかを求め、(3)その距離が地球の半径の何倍かを求めます。 * 問2: 質量 $m$ の人工衛星が地球の周りを半径 $2R$ で円軌道を描いて周回している状況を考えます。地球の質量を $M$、重力定数を $G$ とし、$m \ll M$ とします。(1)遠心力と万有引力のつり合いから人工衛星の速さ $v$ を求め、(2)(1)のときの人工衛星の角運動量を求めます。(3)次に、人工衛星の速度が瞬時に $n (> 1)$ 倍になったときの角運動量を求め、(4)その後の楕円軌道における遠地点の地球中心からの距離 $x$ を求めます。(5)最後に、人工衛星が地球の重力圏から脱出するために必要な $n$ の条件を求めます。

応用数学万有引力重心角運動量楕円軌道エネルギー保存則面積速度一定の法則
2025/7/28

1. 問題の内容

問題は2つあります。
* 問1: 地球と月の質量が与えられたとき、(1)換算質量を計算し、(2)地球と月の重心が地球の中心から何km離れているかを求め、(3)その距離が地球の半径の何倍かを求めます。
* 問2: 質量 mm の人工衛星が地球の周りを半径 2R2R で円軌道を描いて周回している状況を考えます。地球の質量を MM、重力定数を GG とし、mMm \ll M とします。(1)遠心力と万有引力のつり合いから人工衛星の速さ vv を求め、(2)(1)のときの人工衛星の角運動量を求めます。(3)次に、人工衛星の速度が瞬時に n(>1)n (> 1) 倍になったときの角運動量を求め、(4)その後の楕円軌道における遠地点の地球中心からの距離 xx を求めます。(5)最後に、人工衛星が地球の重力圏から脱出するために必要な nn の条件を求めます。

2. 解き方の手順

**問1**
(1) 換算質量 μ\mu は、
μ=m1m2m1+m2\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}
で計算できます。m1=6.0×1024kgm_1 = 6.0 \times 10^{24} \text{kg}m2=7.4×1022kgm_2 = 7.4 \times 10^{22} \text{kg} を代入します。
(2) 地球の中心から重心までの距離 rcmr_{cm} は、
rcm=m2rm1+m2r_{cm} = \frac{m_2 r}{m_1 + m_2}
で計算できます。r=3.8×105kmr = 3.8 \times 10^5 \text{km} を代入します。
(3) 求めた rcmr_{cm} を地球の半径 6.4×103km6.4 \times 10^3 \text{km} で割ります。
**問2**
(1) 遠心力と万有引力のつり合いより、
mv22R=GMm(2R)2\frac{mv^2}{2R} = \frac{GMm}{(2R)^2}
したがって、
v=GM4R=12GMRv = \sqrt{\frac{GM}{4R}} = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{GM}{R}}
(2) 角運動量 LL は、
L=mvr=m(12GMR)(2R)=mGMRL = mvr = m (\frac{1}{2}\sqrt{\frac{GM}{R}}) (2R) = m\sqrt{GMR}
(3) 速度が nn 倍になったときの角運動量 LL' は、
L=m(nv)r=nmvr=nmGMRL' = m(nv)r = nmvr = n m \sqrt{GMR}
(4) 楕円軌道において、角運動量保存則より、
L=2Rmv1=xmv2L' = 2Rmv_1 = xmv_2 (ここで、v1v_1は近地点での速度、v2v_2は遠地点での速度です。)
また、エネルギー保存則より、
12mv12GMm2R=12mv22GMmx\frac{1}{2}mv_1^2 - \frac{GMm}{2R} = \frac{1}{2}mv_2^2 - \frac{GMm}{x}
角運動量保存則より、v1=L2Rm=nGMR2Rv_1 = \frac{L'}{2Rm} = \frac{n\sqrt{GMR}}{2R} , v2=Lxm=nGMRxv_2 = \frac{L'}{xm} = \frac{n\sqrt{GMR}}{x}. これらをエネルギー保存則に代入して、
12m(nGMR2R)2GMm2R=12m(nGMRx)2GMmx\frac{1}{2}m (\frac{n\sqrt{GMR}}{2R})^2 - \frac{GMm}{2R} = \frac{1}{2}m (\frac{n\sqrt{GMR}}{x})^2 - \frac{GMm}{x}
n2GMm8RGMm2R=n2GMm2x2GMmx\frac{n^2GMm}{8R} - \frac{GMm}{2R} = \frac{n^2GMm}{2x^2} - \frac{GMm}{x}
n28R12R=n22x21x\frac{n^2}{8R} - \frac{1}{2R} = \frac{n^2}{2x^2} - \frac{1}{x}
これを整理すると、4R=(4n2)x+4Rn2x4R = (4-n^2)x + \frac{4Rn^2}{x}を満たす。あるいは、nGMR=2Rmv1=xmv2n \sqrt{GMR} = 2Rmv_1 = xmv_2と、12mv12GMm2R=12mv22GMmx\frac{1}{2}mv_1^2 - \frac{GMm}{2R} = \frac{1}{2}mv_2^2 - \frac{GMm}{x}を変形したv122GM2R=v222GMxv_1^2 - \frac{2GM}{2R} = v_2^2 - \frac{2GM}{x}を用いて連立方程式を解くことができる。
別の解法として、面積速度一定の法則とエネルギー保存則を利用する。r1v1=r2v2r_1v_1 = r_2v_2, 12v12GMr1=12v22GMr2\frac{1}{2}v_1^2-\frac{GM}{r_1} = \frac{1}{2}v_2^2-\frac{GM}{r_2}. r1=2Rr_1=2R, r2=xr_2=x, 12n2GM4RGM2R=E\frac{1}{2}n^2\frac{GM}{4R}-\frac{GM}{2R} = E, GM8R(n24)=E\frac{GM}{8R}(n^2-4) = E,GM8R(n24)=12(2RxnGM4R)2GMx=GM2x24R2n24RGMx=GM2x2Rn2GMx\frac{GM}{8R}(n^2-4) = \frac{1}{2}(\frac{2R}{x}n\sqrt{\frac{GM}{4R}})^2 - \frac{GM}{x} = \frac{GM}{2x^2}4R^2\frac{n^2}{4R} - \frac{GM}{x} = \frac{GM}{2x^2}Rn^2 - \frac{GM}{x}.
これを整理すると、4x=(4n2)2R+2Rn2x4x = (4-n^2)2R +\frac{2Rn^2}{x}, 4Rx+(n24)x2=2Rn24Rx + (n^2 - 4)x^2 = 2Rn^2, (n24)x2+4Rx2Rn2=0(n^2-4)x^2 + 4Rx - 2Rn^2 = 0. この2次方程式を解くと、 x=4R±16R2+8Rn2(n24)2(n24)=2R±4R2+2Rn2(n24)(n24)x = \frac{-4R \pm \sqrt{16R^2+8Rn^2(n^2-4)}}{2(n^2-4)} = \frac{-2R \pm \sqrt{4R^2+2Rn^2(n^2-4)}}{(n^2-4)}.物理的に、n>1n > 1なので、n2>1n^2 > 1、また、x>0x>0なので、 x=2R4R2+2Rn2(n24)(n24)x = \frac{-2R - \sqrt{4R^2+2Rn^2(n^2-4)}}{(n^2-4)} となる。
(5) 人工衛星が地球の重力圏から脱出するには、エネルギーが0以上になる必要があります。
12mv2GMmr0\frac{1}{2}mv^2 - \frac{GMm}{r} \ge 0
ここで、v=n12GMRv = n \frac{1}{2}\sqrt{\frac{GM}{R}}r=2Rr = 2R なので、
12m(n12GMR)2GMm2R0\frac{1}{2}m(n \frac{1}{2}\sqrt{\frac{GM}{R}})^2 - \frac{GMm}{2R} \ge 0
n2GMm8RGMm2R0\frac{n^2GMm}{8R} - \frac{GMm}{2R} \ge 0
n28120\frac{n^2}{8} - \frac{1}{2} \ge 0
n24n^2 \ge 4
n2n \ge 2

3. 最終的な答え

**問1**
(1) 換算質量: μ=7.31×1022kg\mu = 7.31 \times 10^{22} \text{kg}
(2) 地球の中心から重心までの距離: rcm=4667kmr_{cm} = 4667 \text{km}
(3) 地球の半径の何倍か: 0.7290.729
**問2**
(1) 人工衛星の速さ: v=12GMRv = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{GM}{R}}
(2) 角運動量: L=mGMRL = m\sqrt{GMR}
(3) 速度が nn 倍になったときの角運動量: L=nmGMRL' = n m\sqrt{GMR}
(4) 遠地点の距離: x=2R4R2+2Rn2(n24)(n24)x = \frac{-2R - \sqrt{4R^2+2Rn^2(n^2-4)}}{(n^2-4)}
(5) n2n \ge 2

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