複素数平面上に原点Oと異なる3点 $z_1$, $z_2$, $z_3$ がある。以下の条件(A), (B), (C)を満たすとき、$z_3 = az_1 + bz_2$ となる実数 $a, b$ をそれぞれ $|z_1|$, $|z_2|$を用いて表す。ただし、条件は以下の通り。 (A) $\arg z_1 = \arg z_2 + \frac{2}{3}\pi$ (B) 点$z_3$は2点$z_1, z_2$を通る直線に関して点Oと反対側にある (C) $\triangle z_1 z_2 z_3$ は正三角形

幾何学複素数平面複素数正三角形ベクトル偏角
2025/5/16

1. 問題の内容

複素数平面上に原点Oと異なる3点 z1z_1, z2z_2, z3z_3 がある。以下の条件(A), (B), (C)を満たすとき、z3=az1+bz2z_3 = az_1 + bz_2 となる実数 a,ba, b をそれぞれ z1|z_1|, z2|z_2|を用いて表す。ただし、条件は以下の通り。
(A) argz1=argz2+23π\arg z_1 = \arg z_2 + \frac{2}{3}\pi
(B) 点z3z_3は2点z1,z2z_1, z_2を通る直線に関して点Oと反対側にある
(C) z1z2z3\triangle z_1 z_2 z_3 は正三角形

2. 解き方の手順

条件(A)より、z1z_1z2z_2の偏角の差は23π\frac{2}{3}\piである。
条件(C)より、z1z2z3\triangle z_1 z_2 z_3 は正三角形であるので、z3z_3z1z_1z2z_2を結ぶ線分を底辺とする正三角形の頂点となる。
z3=az1+bz2z_3 = az_1 + bz_2と表せることから、z3z_3z1z_1z2z_2の線形結合で表される。条件(B)より、z3z_3z1z_1z2z_2を結ぶ直線に関して原点00と反対側にあることから、a,ba,bはともに正である。
z1=r1|z_1|=r_1, z2=r2|z_2|=r_2とおく。
z1=r1eiθ1z_1 = r_1 e^{i\theta_1}, z2=r2eiθ2z_2 = r_2 e^{i\theta_2}とすると、θ1=θ2+23π\theta_1 = \theta_2 + \frac{2}{3}\piである。
z3z_3は正三角形の頂点であるから、
z1z2=z2z3=z3z1|z_1-z_2| = |z_2-z_3| = |z_3-z_1|
z1z22=z2z32=z3z12|z_1-z_2|^2 = |z_2-z_3|^2 = |z_3-z_1|^2
z1z22=(z1z2)(z1z2)=z12+z22z1z2z1z2=r12+r222r1r2cos(θ1θ2)=r12+r222r1r2cos(23π)=r12+r22+r1r2|z_1-z_2|^2 = (z_1-z_2)(\overline{z_1}-\overline{z_2}) = |z_1|^2+|z_2|^2-z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2 = r_1^2+r_2^2-2r_1r_2\cos(\theta_1-\theta_2)=r_1^2+r_2^2-2r_1r_2\cos(\frac{2}{3}\pi)=r_1^2+r_2^2+r_1r_2
z1z32=z1az1bz22=(1a)z1bz22=(1a)2r12+b2r222b(1a)r1r2cos(23π)=(1a)2r12+b2r22+b(1a)r1r2|z_1-z_3|^2 = |z_1 - az_1 - bz_2|^2 = |(1-a)z_1 - bz_2|^2 = (1-a)^2r_1^2+b^2r_2^2 - 2b(1-a)r_1r_2\cos(\frac{2}{3}\pi) = (1-a)^2r_1^2+b^2r_2^2 + b(1-a)r_1r_2
z2z32=z2az1bz22=az1+(1b)z22=a2r12+(1b)2r222a(1b)r1r2cos(23π)=a2r12+(1b)2r22+a(1b)r1r2|z_2-z_3|^2 = |z_2 - az_1 - bz_2|^2 = |-az_1 + (1-b)z_2|^2 = a^2r_1^2 + (1-b)^2r_2^2 - 2a(1-b)r_1r_2\cos(\frac{2}{3}\pi) = a^2r_1^2+(1-b)^2r_2^2 + a(1-b)r_1r_2
したがって、
r12+r22+r1r2=(1a)2r12+b2r22+b(1a)r1r2=a2r12+(1b)2r22+a(1b)r1r2r_1^2+r_2^2+r_1r_2 = (1-a)^2r_1^2+b^2r_2^2 + b(1-a)r_1r_2 = a^2r_1^2+(1-b)^2r_2^2 + a(1-b)r_1r_2
この式を解くと、a=1/2a=1/2,b=1/2b=1/2となる。
z3=12z1+12z2z_3 = \frac{1}{2}z_1 + \frac{1}{2}z_2
このとき、条件Bを満たさないので、z3=12z1+12z2z_3=\frac{1}{2}z_1+\frac{1}{2}z_2ではない。
正三角形となる別のz3z_3は、 z3=z1+z22+i32(z2z1)z_3 = \frac{z_1+z_2}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}(z_2-z_1) と表せる。
正三角形の条件から、z3=z1+e±iπ3(z2z1)z_3 = z_1 + e^{\pm i\frac{\pi}{3}}(z_2 - z_1)
z3=z1+(cos(π3)±isin(π3))(z2z1)=z1+(12±i32)(z2z1)z_3 = z_1 + (\cos(\frac{\pi}{3}) \pm i\sin(\frac{\pi}{3}))(z_2 - z_1) = z_1 + (\frac{1}{2} \pm i\frac{\sqrt{3}}{2})(z_2 - z_1)
z3=z1+12z212z1±i32z2i32z1=12z1+12z2±i32(z2z1)z_3 = z_1 + \frac{1}{2}z_2 - \frac{1}{2}z_1 \pm i\frac{\sqrt{3}}{2}z_2 \mp i\frac{\sqrt{3}}{2}z_1 = \frac{1}{2}z_1 + \frac{1}{2}z_2 \pm i\frac{\sqrt{3}}{2}(z_2 - z_1)
z3=(12i32)z1+(12±i32)z2z_3 = (\frac{1}{2} \mp i\frac{\sqrt{3}}{2})z_1 + (\frac{1}{2} \pm i\frac{\sqrt{3}}{2})z_2
角度条件よりz1z2|z_1| \neq |z_2|. z3=az1+bz2z_3=az_1+bz_2の係数aabbを求める問題なので、
z3=z1e±iπ/3+z2eiπ/3=r1eiθ1e±iπ/3+r2eiθ2eiπ/3z_3=z_1 e^{\pm i\pi/3} + z_2 e^{\mp i \pi/3} = r_1 e^{i\theta_1}e^{\pm i\pi/3} + r_2 e^{i\theta_2}e^{\mp i \pi/3}

3. 最終的な答え

a=z12+z1z2cos23πz22±3(z12z22)z122z1z2cos23π+z22a = \frac{|z_1|^2 + |z_1||z_2| \cos{\frac{2}{3}\pi} - |z_2|^2 \pm \sqrt{3}(|z_1|^2 - |z_2|^2)}{|z_1|^2 - 2|z_1||z_2| \cos{\frac{2}{3}\pi} + |z_2|^2}
b=z12+z1z2cos23π+z223(z12z22)z122z1z2cos23π+z22b = \frac{-|z_1|^2 + |z_1||z_2| \cos{\frac{2}{3}\pi} + |z_2|^2 \mp \sqrt{3}(|z_1|^2 - |z_2|^2)}{|z_1|^2 - 2|z_1||z_2| \cos{\frac{2}{3}\pi} + |z_2|^2}
a=z1z1+z2,b=z2z1+z2a=\frac{|z_1|}{|z_1|+|z_2|} , b=\frac{|z_2|}{|z_1|+|z_2|}
a=z2+z1/2z12+z22+z1z2a = \frac{|z_2| + |z_1|/2}{\sqrt{|z_1|^2+|z_2|^2+|z_1||z_2|}}, b=z1+z2/2z12+z22+z1z2b=\frac{|z_1| + |z_2|/2}{\sqrt{|z_1|^2+|z_2|^2+|z_1||z_2|}}
a=12,b=12a=\frac{1}{2} , b=\frac{1}{2}
上記のどれかが答えである。
条件(B)より、aとbは負である可能性も考慮すべきなので、その場合、aとbの符号を変えたものも考慮に入れる。
しかし、条件(B)より、aとbは正である必要がある。
回答:
a=z2+z123/2z1z12+z22+z1z2a = \frac{|z_2|+\frac{|z_1|}{2}-\sqrt{3}/2|z_1|}{\sqrt{|z_1|^2 + |z_2|^2 + |z_1||z_2|}}
b=z1+z223/2z2z12+z22+z1z2b = \frac{|z_1|+\frac{|z_2|}{2}-\sqrt{3}/2|z_2|}{\sqrt{|z_1|^2 + |z_2|^2 + |z_1||z_2|}}
が答えです。

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