1. 問題の内容
AとBが共にべき零行列であり、かつ可換であるとき、積ABもべき零行列であることを証明せよ。
2. 解き方の手順
べき零行列の定義から、ある正の整数 と が存在し、
が成り立つ。ここで、 と は可換なので、 が成り立つ。
積 がべき零行列であることを示すには、ある正の整数 が存在し、
となることを示せば良い。
とすると、
可換性より、との順番は自由に入れ替えられるので、
より一般的な
は成り立たないことに注意が必要である。
とが可換であることと二項定理を用いる。
ここで、との順番は重要ではない。
とおくと、
(個)
(個)
(個)
この変形は一般には成り立たない。
しかし、可換性により、 から、を全て左に集めて、を全て右に集めることができる。
が成り立つので、 となる。
ここで、
したがって、 もべき零行列である。
3. 最終的な答え
ABもべき零行列である。