与えられたRLC回路において、キルヒホッフの法則から導かれる電荷 $Q(t)$ に関する微分方程式(式(4))を元に、以下の問題を解く。 1. 電流の定義を用いて、$Q$ に関する微分方程式(式(5))を導出する。

応用数学微分方程式RLC回路電気回路過渡現象交流回路複素数
2025/6/19

1. 問題の内容

与えられたRLC回路において、キルヒホッフの法則から導かれる電荷 Q(t)Q(t) に関する微分方程式(式(4))を元に、以下の問題を解く。

1. 電流の定義を用いて、$Q$ に関する微分方程式(式(5))を導出する。

2. 式(5)の斉次方程式が減衰振動する$R, L, C$の条件を求める。

3. 交流電源の場合に特殊解 $Q_p$ が式(6)のように書けることを示す。

4. 特殊解の振幅を振動数 $\Omega$ の関数としてグラフの概形を描き、振幅が極大値を持つ $\Omega$ を求める。

2. 解き方の手順

1. 式(4) $L\frac{dI}{dt} + RI + \frac{Q}{C} = V(t)$ において、$I(t) = \frac{dQ(t)}{dt}$ より、$\frac{dI}{dt} = \frac{d^2Q(t)}{dt^2}$ である。したがって、

Ld2Qdt2+RdQdt+QC=V(t)L\frac{d^2Q}{dt^2} + R\frac{dQ}{dt} + \frac{Q}{C} = V(t)
両辺をLLで割ると、
d2Qdt2+RLdQdt+1LCQ=V(t)L\frac{d^2Q}{dt^2} + \frac{R}{L}\frac{dQ}{dt} + \frac{1}{LC}Q = \frac{V(t)}{L}
ここで、ω=1LC\omega = \frac{1}{\sqrt{LC}} , 2γ=RL2\gamma = \frac{R}{L} とおくと、
d2Qdt2+2γdQdt+ω2Q=V(t)L\frac{d^2Q}{dt^2} + 2\gamma\frac{dQ}{dt} + \omega^2Q = \frac{V(t)}{L}
これは Q+2γQ+ω2Q=V(t)/LQ'' + 2\gamma Q' + \omega^2Q = V(t)/L と書き換えられる。

2. 式(5)の斉次方程式は $Q'' + 2\gamma Q' + \omega^2 Q = 0$ である。この特性方程式は $r^2 + 2\gamma r + \omega^2 = 0$ となり、解は $r = -\gamma \pm \sqrt{\gamma^2 - \omega^2}$ である。減衰振動するためには、$\gamma^2 < \omega^2$ が必要となる。すなわち、$(\frac{R}{2L})^2 < (\frac{1}{\sqrt{LC}})^2$ より、$R^2 < \frac{4L}{C}$ が条件となる。

3. $V(t) = V_0 \cos(\Omega t)$ のとき、式(5)は $Q'' + 2\gamma Q' + \omega^2 Q = \frac{V_0}{L}\cos(\Omega t)$ となる。

Qp(t)=AeiΩtQ_p(t) = Ae^{i\Omega t} とおくと、 Qp(t)=iΩAeiΩtQ'_p(t) = i\Omega Ae^{i\Omega t}, Qp(t)=Ω2AeiΩtQ''_p(t) = -\Omega^2 Ae^{i\Omega t} となる。
したがって、Ω2A+2iγΩA+ω2A=V0L-\Omega^2A + 2i\gamma\Omega A + \omega^2 A = \frac{V_0}{L}
A(ω2Ω2+2iγΩ)=V0LA(\omega^2 - \Omega^2 + 2i\gamma\Omega) = \frac{V_0}{L}
A=V0/Lω2Ω2+2iγΩA = \frac{V_0/L}{\omega^2 - \Omega^2 + 2i\gamma\Omega}
Qp(t)Q_p(t)の実部を取ると、
Qp(t)=acos(Ωtα)Q_p(t) = a\cos(\Omega t - \alpha)
ただし、a=V0/L(ω2Ω2)2+(2γΩ)2a = \frac{V_0/L}{\sqrt{(\omega^2 - \Omega^2)^2 + (2\gamma\Omega)^2}} , α=tan1(2γΩω2Ω2)\alpha = \tan^{-1}(\frac{2\gamma\Omega}{\omega^2 - \Omega^2})

4. 振幅 $a = \frac{V_0/L}{\sqrt{(\omega^2 - \Omega^2)^2 + (2\gamma\Omega)^2}}$ を $\Omega$ の関数として考える。

Ω0\Omega \rightarrow 0 のとき、aV0/Lω2=V0LLC=V0Ca \rightarrow \frac{V_0/L}{\omega^2} = \frac{V_0}{L}LC = V_0C となる。
Ω\Omega \rightarrow \infty のとき、a0a \rightarrow 0 となる。
振幅が極大値を持つ条件は、分母が最小となる時である。分母の二乗を f(Ω)f(\Omega) とおくと、f(Ω)=(ω2Ω2)2+4γ2Ω2f(\Omega) = (\omega^2 - \Omega^2)^2 + 4\gamma^2\Omega^2 である。
dfdΩ=2(ω2Ω2)(2Ω)+8γ2Ω=0\frac{df}{d\Omega} = 2(\omega^2 - \Omega^2)(-2\Omega) + 8\gamma^2\Omega = 0 より、
4Ω(ω2Ω2)+8γ2Ω=0-4\Omega(\omega^2 - \Omega^2) + 8\gamma^2\Omega = 0
Ω0\Omega \ne 0 より、 4(ω2Ω2)+8γ2=0-4(\omega^2 - \Omega^2) + 8\gamma^2 = 0
Ω2=ω22γ2\Omega^2 = \omega^2 - 2\gamma^2
Ω=ω22γ2\Omega = \sqrt{\omega^2 - 2\gamma^2}
Ω=1LCR22L2\Omega = \sqrt{\frac{1}{LC} - \frac{R^2}{2L^2}}
ただし、ω2>2γ2\omega^2 > 2\gamma^2 、つまり 1LC>R22L2\frac{1}{LC} > \frac{R^2}{2L^2} を満たす必要がある。

3. 最終的な答え

1. $Q'' + 2\gamma Q' + \omega^2Q = V(t)/L$

2. $R^2 < \frac{4L}{C}$

3. $Q_p(t) = a\cos(\Omega t - \alpha)$, $a = \frac{V_0/L}{\sqrt{(\omega^2 - \Omega^2)^2 + 4\gamma^2\Omega^2}}$ , $\alpha = \tan^{-1}(\frac{2\gamma\Omega}{\omega^2 - \Omega^2})$

4. $\Omega = \sqrt{\frac{1}{LC} - \frac{R^2}{2L^2}}$, 条件: $\frac{1}{LC} > \frac{R^2}{2L^2}$

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