鉛(Pb)3 kgと錫(Sn)1 kgを400℃で溶融混合し、室温までゆっくり冷却する。Pb-Sn二元系平衡状態図を参考に以下の問いに答える。 (1) 400℃から室温までの冷却中に、固相αが晶出し始める温度を推定する。 (2) 400℃から室温までの冷却中に、共晶反応が始まる温度を推定する。 (3) 室温まで冷却した時の初晶αの分率を計算する。 (4) 室温における材料組織に含まれる相を全て答える。
2025/6/27
1. 問題の内容
鉛(Pb)3 kgと錫(Sn)1 kgを400℃で溶融混合し、室温までゆっくり冷却する。Pb-Sn二元系平衡状態図を参考に以下の問いに答える。
(1) 400℃から室温までの冷却中に、固相αが晶出し始める温度を推定する。
(2) 400℃から室温までの冷却中に、共晶反応が始まる温度を推定する。
(3) 室温まで冷却した時の初晶αの分率を計算する。
(4) 室温における材料組織に含まれる相を全て答える。
2. 解き方の手順
(1) 合金の組成を計算する。
全体の質量は 3 kg + 1 kg = 4 kg。
Snの質量分率は つまり 25 wt%。
(2) Pb-Sn二元系状態図を参照し、25% Snの組成における各温度での相を読み取る。
(1) 400℃から冷却していくと、まず液相(L)となる。図から、25%Snの液相線(α+Lとの境界線)は約300℃付近である。よって、固相αが晶出し始める温度はおよそ300℃。
(2) 冷却を続けると、α+L領域に入る。さらに冷却すると、共晶温度(183℃)に到達し、共晶反応が始まる。
(3) 室温ではα+β相となる。
α相の分率を計算するためには、レバー則を使用する。
室温におけるα相のSnの組成は約1 wt%、β相のSnの組成は約99 wt%である。
全体の組成は25 wt%である。
α相の分率を、β相の分率をとする。
初晶αの分率とは、共晶反応直前のα相の分率を指す。共晶温度直上では、α相の組成は約19.2 wt% Snであり、液相の組成は約61.9 wt% Snである。
よって、初晶αの分率は約86.4%
(4) 室温ではα+β相となる。したがって、材料組織に含まれる相はα相とβ相である。
3. 最終的な答え
(1) 300℃
(2) 183℃
(3) 86.4 %
(4) α相、β相