実数 $\alpha$ と $\beta$ が与えられたとき、ある有理数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ が存在し、$\lim_{n\to\infty} a_n = \alpha$ かつ $\lim_{n\to\infty} b_n = \beta$ となる。このとき、実数の積 $\alpha\beta$ を $\lim_{n\to\infty} a_n b_n$ と定義する。この定義において、数列 $\{a_n b_n\}$ は常に収束し、その極限は数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ の選び方によらないことを証明する。
2025/5/8
1. 問題の内容
実数 と が与えられたとき、ある有理数列 と が存在し、 かつ となる。このとき、実数の積 を と定義する。この定義において、数列 は常に収束し、その極限は数列 と の選び方によらないことを証明する。
2. 解き方の手順
数列 と はそれぞれ と に収束する有理数列であるとする。 が well-defined であることを示すには、別の有理数列 と が かつ を満たすとき、
が成り立つことを示す必要がある。
を任意に与える。
.
同様に
.
したがって、
.
数列 と は収束するので有界である。すなわち、ある が存在し、 かつ が全ての について成り立つ。
と より、ある が存在し、 ならば かつ が成り立つ。
と より、ある が存在し、 ならば かつ が成り立つ。
とすると、 ならば
.
したがって、 が成り立つ。
よって、数列 の極限は数列 と の選び方によらない。
3. 最終的な答え
数列 はつねに収束し、その極限は数列 と のとり方によらない。