与えられた単振り子の運動方程式、エネルギー保存則、変数変換、楕円積分などを用いて、以下のことを示す問題です。 (a) 触れ角が小さい場合、運動方程式が単振動に帰着すること、角振動数と周期を求め、等時性を示す。 (b) 小角近似を用いない場合の運動方程式とエネルギー保存則の関係を示す。 (c) 角振幅を用いて、与えられた式を導く。 (d) 積分を用いて、周期を導く。 (e) 周期Tの小角近似との比T/T0をグラフで示し、振り子の運動と等時性の破れについて説明する。

応用数学力学単振り子運動方程式エネルギー保存則微分方程式楕円積分周期
2025/5/16

1. 問題の内容

与えられた単振り子の運動方程式、エネルギー保存則、変数変換、楕円積分などを用いて、以下のことを示す問題です。
(a) 触れ角が小さい場合、運動方程式が単振動に帰着すること、角振動数と周期を求め、等時性を示す。
(b) 小角近似を用いない場合の運動方程式とエネルギー保存則の関係を示す。
(c) 角振幅を用いて、与えられた式を導く。
(d) 積分を用いて、周期を導く。
(e) 周期Tの小角近似との比T/T0をグラフで示し、振り子の運動と等時性の破れについて説明する。

2. 解き方の手順

(a) 運動方程式を立て、θ\theta が小さいとき sinθθ\sin\theta \approx \theta を用いて単振動の式を導きます。単振動の角振動数 ω=g/l\omega = \sqrt{g/l} と周期 T=2π/ω=2πl/gT = 2\pi/\omega = 2\pi\sqrt{l/g} を求めます。周期が触れ角やおもりの重さに依存しないことから等時性を示します。
(b) 与えられた運動方程式(1)からエネルギー保存則を導きます。式(1)の両辺に l2(dθ/dt)l^2 (d\theta/dt) をかけると
l2dθdtd2θdt2=2gdθdt(cosθ1)l^2 \frac{d\theta}{dt} \frac{d^2 \theta}{dt^2} = 2g \frac{d\theta}{dt} (\cos\theta - 1)
両辺を時間で積分すると
12l2(dθdt)2=2gsinθ2gθ+C\frac{1}{2} l^2 (\frac{d\theta}{dt})^2 = 2g \sin\theta - 2g\theta + C (Cは積分定数)
初期条件 θ(0)=0\theta(0) = 0, v(0)=v0v(0) = v_0 から
12l2(dθdt)2=12mv2=12mv02mgl(1cosθ)\frac{1}{2} l^2 (\frac{d\theta}{dt})^2 = \frac{1}{2} m v^2 = \frac{1}{2} m v_0^2 - mgl(1- \cos\theta)
よって、
12mv2+mgl(1cosθ)=12mv02\frac{1}{2} mv^2 + mgl(1 - \cos\theta) = \frac{1}{2} m v_0^2
が得られます。
(c) 変数変換 sin(θ/2)=kz\sin(\theta/2) = k z を用いて、与えられた式を導出します。dθdt=±2gl(cosθcosθ0)\frac{d\theta}{dt} = \pm \sqrt{\frac{2g}{l}(cos\theta - cos\theta_0)} (cosθ0は振幅) から変数変換を行うことで目的の式を導きます。
(d) 式 (4) の積分が、θ\theta00 から θ0\theta_0 まで 1/41/4 周期変わるとき、zz00 から 11 まで変化することを利用して、式 (5) を導きます。θ\thetaが0からθ0\theta_0まで変わるとき、zzは0から1まで変化するので、式(4)は
glT4=01dz(1z2)(1k2z2)=K(k)\sqrt{\frac{g}{l}} \frac{T}{4} = \int_0^1 \frac{dz}{\sqrt{(1-z^2)(1 - k^2 z^2)}} = K(k)
となります。これより、T=4lgK(k)T = 4 \sqrt{\frac{l}{g}} K(k) が得られます。
(e) k=sin(θ0/2)k = \sin(\theta_0 / 2) が小さい範囲で K(k)K(k) を展開し、近似式を求めます。その結果を用いて、振り子の周期の振動周期の式 (8) を導きます。
K(k)π2(1+14k2+...)K(k) \approx \frac{\pi}{2}(1 + \frac{1}{4} k^2 + ...)
k=sin(θ02)θ02k = \sin(\frac{\theta_0}{2}) \approx \frac{\theta_0}{2}
K(k)π2(1+116θ02+...)K(k) \approx \frac{\pi}{2}(1 + \frac{1}{16} \theta_0^2 + ...)
したがって、
T=4lgπ2(1+116θ02+...)=2πlg(1+116θ02+...)T = 4 \sqrt{\frac{l}{g}} \frac{\pi}{2}(1 + \frac{1}{16} \theta_0^2 + ...) = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}} (1 + \frac{1}{16} \theta_0^2 + ...)
T0=2πlgT_0 = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}} とおくと
T=T0(1+116θ02+...)T = T_0 (1 + \frac{1}{16} \theta_0^2 + ...)

3. 最終的な答え

(a) 角振動数: ω=g/l\omega = \sqrt{g/l}, 周期: T=2πl/gT = 2\pi\sqrt{l/g}
(b) 12mv2+mgl(1cosθ)=12mv02\frac{1}{2} mv^2 + mgl(1 - \cos\theta) = \frac{1}{2} m v_0^2
(c) dzdt=±gl(1z2)(1k2z2)\frac{dz}{dt} = \pm \sqrt{\frac{g}{l}} \sqrt{(1-z^2)(1-k^2 z^2)}
(d) T=4lgK(k)T = 4 \sqrt{\frac{l}{g}} K(k)
(e) T=T0(1+116θ02+...)T = T_0 (1 + \frac{1}{16} \theta_0^2 + ...)

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