問題2:グラム・シュミットの正規直交化を用いて、$\mathbb{R}^3$ の次の基底を正規直交化せよ。 $\left\{ \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 1 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 0 \end{pmatrix} \right\}$ 問題3: (1) $P$を実正方行列とし、$E$を単位行列とする。次の同値を示せ。 ${}^tPP=E \Leftrightarrow {}^tP = P^{-1}$ (2) 実正方行列が直交行列ならば行列式は $1$ または $-1$ であるが、この逆は成り立つか。成り立つ場合は証明し、成り立たない場合は反例を挙げよ。ただし、反例をあげる場合はその理由も詳細に述べること。 (3) $n$次の実正方行列を $A = (a_1\ a_2\ \cdots\ a_n)$ と列ベクトル表示したとき、次の同値を示せ。 $A$:直交行列 $\Leftrightarrow \{a_1, a_2, \dots, a_n\}$ が $\mathbb{R}^n$ の正規直交基底
2025/5/20
1. 問題の内容
問題2:グラム・シュミットの正規直交化を用いて、 の次の基底を正規直交化せよ。
問題3:
(1) を実正方行列とし、を単位行列とする。次の同値を示せ。
(2) 実正方行列が直交行列ならば行列式は または であるが、この逆は成り立つか。成り立つ場合は証明し、成り立たない場合は反例を挙げよ。ただし、反例をあげる場合はその理由も詳細に述べること。
(3) 次の実正方行列を と列ベクトル表示したとき、次の同値を示せ。
:直交行列 が の正規直交基底
2. 解き方の手順
問題2:グラム・シュミットの正規直交化
, , とする。
まず、最初のベクトル は と同じ向きに取る。
次に、 を から への正射影成分を引いたものとして定義する。
次に、 を から と への正射影成分を引いたものとして定義する。
最後に、各ベクトルを正規化する。
問題3(1):の証明
のとき、両辺に を右からかけると、 より、 となり、 が成り立つ。
逆に、 のとき、両辺に を右からかけると、 より、 が成り立つ。
したがって、 が示された。
問題3(2):反例
実正方行列 が直交行列であるとき、 が成り立つので、。
であり、 より、 となる。
したがって、 または となる。
逆は成り立たない。
例えば、 を考える。
であるが、 なので、 は直交行列ではない。
理由:直交行列であるためには、各列ベクトルが互いに直交し、かつ大きさが 1 でなければならないが、 の第一列ベクトルの大きさは 2 であり、1 ではない。
問題3(3): :直交行列 が の正規直交基底 の証明
が直交行列であるとき、 が成り立つ。
これは、 の列ベクトル と の内積が、
であることを意味する。
したがって、 の列ベクトル は、互いに直交し、かつ大きさが 1 である。
つまり、 は の正規直交基底である。
逆に、 が の正規直交基底であるとき、 の列ベクトル と の内積は、
を満たす。
これは、 であることを意味する。
したがって、 は直交行列である。
3. 最終的な答え
問題2:正規直交基底は
問題3(1):
問題3(2):実正方行列 が直交行列ならば または は成り立つ。しかし、その逆は成り立たない。
反例:, だが、Aは直交行列ではない。
問題3(3): :直交行列 が の正規直交基底