与えられた3つの重積分を計算する問題です。 (1) $\iint_D \frac{x^2}{1+y^2} dxdy$, $D: 0 \le x \le 1, -1 \le y \le 1$ (2) $\iint_D xy dxdy$, $D: |x| + |y| \le 1$ (3) $\iint_D e^{-(x+y)} dxdy$, $D: 0 \le y \le 2x, 0 \le x$

解析学重積分積分計算
2025/5/20

1. 問題の内容

与えられた3つの重積分を計算する問題です。
(1) Dx21+y2dxdy\iint_D \frac{x^2}{1+y^2} dxdy, D:0x1,1y1D: 0 \le x \le 1, -1 \le y \le 1
(2) Dxydxdy\iint_D xy dxdy, D:x+y1D: |x| + |y| \le 1
(3) De(x+y)dxdy\iint_D e^{-(x+y)} dxdy, D:0y2x,0xD: 0 \le y \le 2x, 0 \le x

2. 解き方の手順

(1)
まず、yyについて積分し、次にxxについて積分します。
11x21+y2dy=x21111+y2dy=x2[arctan(y)]11=x2(arctan(1)arctan(1))=x2(π4(π4))=x2π2\int_{-1}^{1} \frac{x^2}{1+y^2} dy = x^2 \int_{-1}^{1} \frac{1}{1+y^2} dy = x^2 [\arctan(y)]_{-1}^{1} = x^2(\arctan(1) - \arctan(-1)) = x^2 (\frac{\pi}{4} - (-\frac{\pi}{4})) = x^2 \frac{\pi}{2}
01x2π2dx=π201x2dx=π2[13x3]01=π2(13)=π6\int_0^1 x^2 \frac{\pi}{2} dx = \frac{\pi}{2} \int_0^1 x^2 dx = \frac{\pi}{2} [\frac{1}{3}x^3]_0^1 = \frac{\pi}{2} (\frac{1}{3}) = \frac{\pi}{6}
(2)
DDx+y1|x|+|y| \le 1で与えられた領域です。この領域は、4つの線形不等式x+y1x+y \le 1, xy1x-y \le 1, x+y1-x+y \le 1, xy1-x-y \le 1で囲まれたひし形です。
この領域はxxyyについて対称なので、xyxyの積分は0になります。
Dxydxdy=0\iint_D xy dxdy = 0
(3)
0y2x0 \le y \le 2x0x0 \le xで与えられた積分領域は、直線y=2xy=2xxx軸で囲まれた領域です。積分範囲を決定するために、y2xy \le 2xxy2x \ge \frac{y}{2}と書き換え、xxの範囲をy2x\frac{y}{2} \le xとします。xxの上限を指定する必要があるので、y=2xy=2xx=y2x = \frac{y}{2}になるので、xxの範囲を定められないため、x,yx,yの積分範囲を決定します。
y=2xy=2xと仮定すると、0y2x0 \le y \le 2xで、xx00からxxに動くので、yの上限は2x2xです。
積分領域は、0y2x0 \le y \le 2x および 0x0 \le x です。xxの範囲を定めるために、yyを固定して、xxで積分し、その後yyで積分します。
y=2xy=2xより、x=y2x = \frac{y}{2}yy00から変化するので、x軸との交点は、00です。上限は任意であるため、上限を仮定します。
領域DDは、0y2x0 \le y \le 2x0x0 \le x で定義されています。
0y2x0 \le y \le 2xを変形するとy2x\frac{y}{2} \le xとなります。したがって、xxの積分範囲は[y2,A][\frac{y}{2}, A]となります。yyの積分範囲は[0,2A][0,2A]となります。ここでAは、積分領域のxxの上限です。yyの積分範囲を0から無限大まで積分すると発散するので、問題に誤りがあるか、上限が指定されている必要があります。上限がない場合は、仮に積分範囲を0y20 \le y \le 2とします。このとき、xxy/2y/2から11まで動くので、
02y/21e(x+y)dxdy=02eyy/21exdxdy=02ey[ex]y/21dy=02ey(e1+ey/2)dy=02(e(y+1)+e3y/2)dy=[e(y+1)23e3y/2]02=e323e3(e123)=13e3e1+23\int_0^2 \int_{y/2}^{1} e^{-(x+y)} dx dy = \int_0^2 e^{-y} \int_{y/2}^1 e^{-x} dx dy = \int_0^2 e^{-y} [-e^{-x}]_{y/2}^1 dy = \int_0^2 e^{-y}(-e^{-1} + e^{-y/2}) dy = \int_0^2 (-e^{-(y+1)} + e^{-3y/2}) dy = [e^{-(y+1)} - \frac{2}{3} e^{-3y/2}]_0^2 = e^{-3} - \frac{2}{3} e^{-3} - (e^{-1} - \frac{2}{3}) = \frac{1}{3} e^{-3} - e^{-1} + \frac{2}{3}
問題文からxxの積分範囲に上限がないので、積分領域は無限に広がっていて積分が発散する可能性が高いです。0xA0 \le x \le Aという条件を追加して計算してみます。
02Ay/2Ae(x+y)dxdy=02Aeyy/2Aexdxdy=02Aey[ex]y/2Ady=02Aey(eA+ey/2)dy=02A(e(A+y)+e3y/2)dy=[e(A+y)23e3y/2]02A=e(A+2A)23e3(2A)/2(eA23)=e3A23e3AeA+23=13e3AeA+23\int_0^{2A} \int_{y/2}^A e^{-(x+y)} dx dy = \int_0^{2A} e^{-y} \int_{y/2}^A e^{-x} dx dy = \int_0^{2A} e^{-y} [-e^{-x}]_{y/2}^A dy = \int_0^{2A} e^{-y} (-e^{-A} + e^{-y/2}) dy = \int_0^{2A} (-e^{-(A+y)} + e^{-3y/2}) dy = [e^{-(A+y)} - \frac{2}{3} e^{-3y/2}]_0^{2A} = e^{-(A+2A)} - \frac{2}{3} e^{-3(2A)/2} - (e^{-A} - \frac{2}{3}) = e^{-3A} - \frac{2}{3} e^{-3A} - e^{-A} + \frac{2}{3} = \frac{1}{3} e^{-3A} - e^{-A} + \frac{2}{3}

3. 最終的な答え

(1) π6\frac{\pi}{6}
(2) 00
(3) 積分領域にxxの上限がないため、積分は発散するか、またはxxの上限に依存します。0xA0 \le x \le Aという条件を加えると、最終的な答えは13e3AeA+23\frac{1}{3} e^{-3A} - e^{-A} + \frac{2}{3}となります。

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