2社寡占市場のクールノーモデル(数量競争)を考えます。逆需要関数が $P(Q) = 100 - Q$ で与えられ、A社とB社が生産しています。A社の単位あたりの生産コストがB社よりも小さい場合(ただし、両社ともに単位コストは0と100の間)、ナッシュ均衡における生産量について、最も適切な記述を選択します。

応用数学経済学ミクロ経済学寡占市場クールノーモデル最適化微分
2025/5/26

1. 問題の内容

2社寡占市場のクールノーモデル(数量競争)を考えます。逆需要関数が P(Q)=100QP(Q) = 100 - Q で与えられ、A社とB社が生産しています。A社の単位あたりの生産コストがB社よりも小さい場合(ただし、両社ともに単位コストは0と100の間)、ナッシュ均衡における生産量について、最も適切な記述を選択します。

2. 解き方の手順

クールノー均衡における各社の生産量を計算し、A社の費用がB社よりも小さい場合の生産量の関係を調べます。
A社の生産量を qAq_A, B社の生産量を qBq_B とします。総生産量は Q=qA+qBQ = q_A + q_B であり、市場価格は P=100(qA+qB)P = 100 - (q_A + q_B) です。
A社の利潤は πA=(PcA)qA=(100qAqBcA)qA\pi_A = (P - c_A)q_A = (100 - q_A - q_B - c_A)q_A です。ここで、cAc_A はA社の単位あたり生産コストです。
同様に、B社の利潤は πB=(PcB)qB=(100qAqBcB)qB\pi_B = (P - c_B)q_B = (100 - q_A - q_B - c_B)q_B です。ここで、cBc_B はB社の単位あたり生産コストです。
各社の利潤を最大化するために、それぞれの生産量について偏微分し、0とおきます。
A社の反応関数を求める:
πAqA=1002qAqBcA=0\frac{\partial \pi_A}{\partial q_A} = 100 - 2q_A - q_B - c_A = 0
2qA=100qBcA2q_A = 100 - q_B - c_A
qA=100qBcA2q_A = \frac{100 - q_B - c_A}{2}
B社の反応関数を求める:
πBqB=100qA2qBcB=0\frac{\partial \pi_B}{\partial q_B} = 100 - q_A - 2q_B - c_B = 0
2qB=100qAcB2q_B = 100 - q_A - c_B
qB=100qAcB2q_B = \frac{100 - q_A - c_B}{2}
連立方程式を解きます。
qA=100100qAcB2cA2=200100+qA+cB2cA4q_A = \frac{100 - \frac{100 - q_A - c_B}{2} - c_A}{2} = \frac{200 - 100 + q_A + c_B - 2c_A}{4}
4qA=100+qA+cB2cA4q_A = 100 + q_A + c_B - 2c_A
3qA=100+cB2cA3q_A = 100 + c_B - 2c_A
qA=100+cB2cA3q_A = \frac{100 + c_B - 2c_A}{3}
同様に、
qB=100100+cB2cA3cB2=300100cB+2cA3cB6q_B = \frac{100 - \frac{100 + c_B - 2c_A}{3} - c_B}{2} = \frac{300 - 100 - c_B + 2c_A - 3c_B}{6}
6qB=2004cB+2cA6q_B = 200 - 4c_B + 2c_A
3qB=1002cB+cA3q_B = 100 - 2c_B + c_A
qB=1002cB+cA3q_B = \frac{100 - 2c_B + c_A}{3}
問題より cA<cBc_A < c_B なので、cBcA>0c_B - c_A > 0 です。
qAqB=100+cB2cA31002cB+cA3=3cB3cA3=cBcA>0q_A - q_B = \frac{100 + c_B - 2c_A}{3} - \frac{100 - 2c_B + c_A}{3} = \frac{3c_B - 3c_A}{3} = c_B - c_A > 0
したがって、qA>qBq_A > q_B となります。

3. 最終的な答え

A社の生産量はB社の生産量より大きい。

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