質量 $m$ の質点が、重力と速度の二乗に比例する抵抗(慣性抵抗)を受けながら落下する運動について考える。落下運動の運動方程式を求め、その解として速度 $v(t)$ を求めよ。ただし、鉛直下向きを正とし、重力加速度の大きさを $g$、慣性抵抗の大きさを $F_1 = \beta v^2$ ($\beta > 0$)、初期条件として $t=0$ で $v(0) = 0$ とする。

応用数学微分方程式力学運動方程式tanh関数
2025/6/2

1. 問題の内容

質量 mm の質点が、重力と速度の二乗に比例する抵抗(慣性抵抗)を受けながら落下する運動について考える。落下運動の運動方程式を求め、その解として速度 v(t)v(t) を求めよ。ただし、鉛直下向きを正とし、重力加速度の大きさを gg、慣性抵抗の大きさを F1=βv2F_1 = \beta v^2 (β>0\beta > 0)、初期条件として t=0t=0v(0)=0v(0) = 0 とする。

2. 解き方の手順

(a) 運動方程式の導出
質点に働く力は、重力 mgmg と慣性抵抗 βv2-\beta v^2 である(鉛直下向きを正としているため、抵抗は負)。ニュートンの運動方程式 F=maF = ma より、
mdvdt=mgβv2m \frac{dv}{dt} = mg - \beta v^2
これが運動方程式となる。
(b) 速度 v(t)v(t) の導出
上記の微分方程式を解く。まず、変数分離を行う。
dvdt=gβmv2\frac{dv}{dt} = g - \frac{\beta}{m} v^2
dvgβmv2=dt\frac{dv}{g - \frac{\beta}{m} v^2} = dt
dvgβmv2=dt\int \frac{dv}{g - \frac{\beta}{m} v^2} = \int dt
左辺の積分を計算するために、定数 a=mgβa = \sqrt{\frac{mg}{\beta}} を導入する。すると
βmv2=ga2v2\frac{\beta}{m} v^2 = \frac{g}{a^2} v^2
dvgga2v2=dt\int \frac{dv}{g - \frac{g}{a^2} v^2} = \int dt
1gdv1v2a2=dt\frac{1}{g} \int \frac{dv}{1 - \frac{v^2}{a^2}} = \int dt
1ga2dva2v2=dt\frac{1}{g} \int \frac{a^2 dv}{a^2 - v^2} = \int dt
a2gdv(av)(a+v)=dt\frac{a^2}{g} \int \frac{dv}{(a-v)(a+v)} = \int dt
a22ag(1a+v+1av)dv=dt\frac{a^2}{2ag} \int (\frac{1}{a+v} + \frac{1}{a-v}) dv = \int dt
a2g(1a+vdv+1avdv)=dt\frac{a}{2g} (\int \frac{1}{a+v} dv + \int \frac{1}{a-v} dv ) = \int dt
a2g(lna+vlnav)=t+C\frac{a}{2g} ( \ln|a+v| - \ln|a-v|) = t + C (Cは積分定数)
a2glna+vav=t+C\frac{a}{2g} \ln|\frac{a+v}{a-v}| = t + C
lna+vav=2gta+2gCa\ln|\frac{a+v}{a-v}| = \frac{2gt}{a} + \frac{2gC}{a}
a+vav=e2gta+2gCa=Ae2gta\frac{a+v}{a-v} = e^{\frac{2gt}{a} + \frac{2gC}{a}} = Ae^{\frac{2gt}{a}} (Aは積分定数)
初期条件 v(0)=0v(0) = 0 より、
a+0a0=Ae0=A=1\frac{a+0}{a-0} = A e^0 = A = 1
よって、
a+vav=e2gta\frac{a+v}{a-v} = e^{\frac{2gt}{a}}
a+v=(av)e2gtaa+v = (a-v) e^{\frac{2gt}{a}}
a+v=ae2gtave2gtaa+v = ae^{\frac{2gt}{a}} - ve^{\frac{2gt}{a}}
v(1+e2gta)=a(e2gta1)v(1 + e^{\frac{2gt}{a}}) = a(e^{\frac{2gt}{a}} - 1)
v=ae2gta1e2gta+1v = a \frac{e^{\frac{2gt}{a}} - 1}{e^{\frac{2gt}{a}} + 1}
v=aegtaegtaegta+egtav = a \frac{e^{\frac{gt}{a}} - e^{-\frac{gt}{a}}}{e^{\frac{gt}{a}} + e^{-\frac{gt}{a}}}
v(t)=atanh(gta)=mgβtanh(βgmt)v(t) = a \tanh(\frac{gt}{a}) = \sqrt{\frac{mg}{\beta}} \tanh(\sqrt{\frac{\beta g}{m}} t)

3. 最終的な答え

(a) 運動方程式: mdvdt=mgβv2m \frac{dv}{dt} = mg - \beta v^2
(b) 速度: v(t)=mgβtanh(βgmt)v(t) = \sqrt{\frac{mg}{\beta}} \tanh(\sqrt{\frac{\beta g}{m}} t)

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