原点からの距離 $r$ の関数として与えられた位置エネルギー $U(r)$ を持つロケットの運動について、以下の問いに答えます。 (a) ロケットに作用する保存力 $f(r)$ を求めます。 (b) ロケットが静止できない条件を満たす $b$ の上限値 $b_m$ を求めます。 (c) $b < b_m$ のとき、ロケットが安定に静止できる位置 $r_0$ を求め、その安定性について議論します。 ここで、位置エネルギーは以下のように与えられています。 $U(r) = -k \left( \frac{a^3}{r^3} - \frac{a^2}{r^2} + \frac{b}{r} \right)$

応用数学力学ポテンシャルエネルギー微分運動方程式安定性
2025/6/4

1. 問題の内容

原点からの距離 rr の関数として与えられた位置エネルギー U(r)U(r) を持つロケットの運動について、以下の問いに答えます。
(a) ロケットに作用する保存力 f(r)f(r) を求めます。
(b) ロケットが静止できない条件を満たす bb の上限値 bmb_m を求めます。
(c) b<bmb < b_m のとき、ロケットが安定に静止できる位置 r0r_0 を求め、その安定性について議論します。
ここで、位置エネルギーは以下のように与えられています。
U(r)=k(a3r3a2r2+br)U(r) = -k \left( \frac{a^3}{r^3} - \frac{a^2}{r^2} + \frac{b}{r} \right)

2. 解き方の手順

(a) 保存力 f(r)f(r) は、位置エネルギー U(r)U(r) の負の勾配で与えられます。つまり、f(r)=dU(r)drf(r) = -\frac{dU(r)}{dr} です。
U(r)U(r)rr で微分します。
dU(r)dr=k(3a3r4+2a2r3br2)=k(3a3r42a2r3+br2)\frac{dU(r)}{dr} = -k \left( -\frac{3a^3}{r^4} + \frac{2a^2}{r^3} - \frac{b}{r^2} \right) = k \left( \frac{3a^3}{r^4} - \frac{2a^2}{r^3} + \frac{b}{r^2} \right)
したがって、保存力は、
f(r)=k(3a3r42a2r3+br2)f(r) = -k \left( \frac{3a^3}{r^4} - \frac{2a^2}{r^3} + \frac{b}{r^2} \right)
(b) ロケットが静止するためには、f(r)=0f(r) = 0 となる r>0r > 0 が存在する必要があります。f(r)=0f(r) = 0 となる rr を求めるために、f(r)f(r) の式を整理します。
3a3r42a2r3+br2=0\frac{3a^3}{r^4} - \frac{2a^2}{r^3} + \frac{b}{r^2} = 0
両辺に r4r^4 を掛けて、3a32a2r+br2=03a^3 - 2a^2 r + br^2 = 0 となります。これを rr について解くと、
r=2a2±4a44b(3a3)2b=a2±a43a3bbr = \frac{2a^2 \pm \sqrt{4a^4 - 4b(3a^3)}}{2b} = \frac{a^2 \pm \sqrt{a^4 - 3a^3 b}}{b}
ロケットが静止できないためには、rr が実数解を持たない必要があります。つまり、a43a3b<0a^4 - 3a^3 b < 0 となる必要があります。
a43a3b<0    a4<3a3b    a<3b    b>a3a^4 - 3a^3 b < 0 \implies a^4 < 3a^3 b \implies a < 3b \implies b > \frac{a}{3}
したがって、bm=a3b_m = \frac{a}{3} です。
(c) b<bm=a3b < b_m = \frac{a}{3} のとき、ロケットは安定な位置 r0r_0 で静止できます。安定な位置 r0r_0 は、f(r)=0f(r) = 0 となる rr であり、U(r)U(r) が極小となる点です。つまり、f(r)=0f(r) = 0 となる rrr0r_0 とおくと、f(r0)>0f'(r_0) > 0 となる必要があります。rr の解は2つ存在します。
r0=a2±a43a3bb=a2±a3/2a3bbr_0 = \frac{a^2 \pm \sqrt{a^4 - 3a^3 b}}{b} = \frac{a^2 \pm a^{3/2}\sqrt{a - 3 b}}{b}
安定性について議論します。f(r)=dU(r)drf(r) = - \frac{dU(r)}{dr}なので、f(r)=d2U(r)dr2f'(r) = -\frac{d^2 U(r)}{dr^2}です。安定条件はU(r0)>0U''(r_0)>0を満たす必要があります。
f(r)=k(12a3r5+6a2r42br3)f'(r) = -k (\frac{-12a^3}{r^5} + \frac{6a^2}{r^4} - \frac{2b}{r^3})
=k(12a3r56a2r4+2br3) = k(\frac{12a^3}{r^5} - \frac{6a^2}{r^4} + \frac{2b}{r^3})
f(r0)>0    6a33a2r0+br02>0f'(r_0) > 0 \iff 6a^3 - 3a^2r_0 + br_0^2 > 0.
br02=2a2r03a3br_0^2 = 2a^2r_0 - 3a^3を代入すると、
6a33a2r0+2a2r03a3>06a^3 - 3a^2 r_0 + 2a^2r_0 - 3a^3 > 0
3a3>a2r03a^3 > a^2r_0
r0<3ar_0 < 3a.
ここで、r0=a2a3/2a3bb<3ar_0 = \frac{a^2 - a^{3/2}\sqrt{a - 3 b}}{b} < 3a. (マイナスの符号を選択)

3. 最終的な答え

(a) f(r)=k(3a3r42a2r3+br2)f(r) = -k \left( \frac{3a^3}{r^4} - \frac{2a^2}{r^3} + \frac{b}{r^2} \right)
(b) bm=a3b_m = \frac{a}{3}
(c) r0=a2±a3/2a3bbr_0 = \frac{a^2 \pm a^{3/2}\sqrt{a - 3 b}}{b}. r0<3ar_0 < 3a で安定。

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