$X_1, X_2, ..., X_n$ は平均 $\mu$, 分散 $\sigma^2$ を持つ母集団からの無作為標本である。標本平均を $\bar{X} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^n X_i$, 不偏分散を $U^2 = \frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n (X_i - \bar{X})^2$ とするとき、$\mu^2$ の不偏推定量として最も適切なものを選ぶ問題。

確率論・統計学統計的推測不偏推定量標本平均不偏分散期待値分散
2025/6/3

1. 問題の内容

X1,X2,...,XnX_1, X_2, ..., X_n は平均 μ\mu, 分散 σ2\sigma^2 を持つ母集団からの無作為標本である。標本平均を Xˉ=1ni=1nXi\bar{X} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^n X_i, 不偏分散を U2=1n1i=1n(XiXˉ)2U^2 = \frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n (X_i - \bar{X})^2 とするとき、μ2\mu^2 の不偏推定量として最も適切なものを選ぶ問題。

2. 解き方の手順

Xˉ\bar{X}μ\mu の推定量である。しかし、E[Xˉ2]μ2E[\bar{X}^2] \neq \mu^2 である。なぜなら、
E[Xˉ2]=Var(Xˉ)+(E[Xˉ])2=Var(Xˉ)+μ2E[\bar{X}^2] = Var(\bar{X}) + (E[\bar{X}])^2 = Var(\bar{X}) + \mu^2
なので、
μ2=E[Xˉ2]Var(Xˉ)\mu^2 = E[\bar{X}^2] - Var(\bar{X})
ここで、Var(Xˉ)=σ2nVar(\bar{X}) = \frac{\sigma^2}{n} である。
U2U^2σ2\sigma^2 の不偏推定量なので、E[U2]=σ2E[U^2] = \sigma^2。したがって、E[U2n]=σ2n=Var(Xˉ)E[\frac{U^2}{n}] = \frac{\sigma^2}{n} = Var(\bar{X}) である。
よって、
E[Xˉ2U2n]=E[Xˉ2]E[U2n]=E[Xˉ2]σ2n=μ2E[\bar{X}^2 - \frac{U^2}{n}] = E[\bar{X}^2] - E[\frac{U^2}{n}] = E[\bar{X}^2] - \frac{\sigma^2}{n} = \mu^2
したがって、Xˉ2U2n\bar{X}^2 - \frac{U^2}{n}μ2\mu^2 の不偏推定量となる。
また、Xˉ2U2n=(1ni=1nXi)21n1n1i=1n(XiXˉ)2\bar{X}^2 - \frac{U^2}{n} = (\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n}X_i)^2 - \frac{1}{n} \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n}(X_i - \bar{X})^2

3. 最終的な答え

Xˉ2U2n\bar{X}^2 - \frac{U^2}{n}
あるいは
(1ni=1nXi)21n1n1i=1n(XiXˉ)2(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n}X_i)^2 - \frac{1}{n} \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n}(X_i - \bar{X})^2

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