ある農園で、かかしの数(X)、畑に来る動物の数(Y)、収穫できた果物の数(Z)のデータが与えられています。Xの標本分散は2、Yの標本分散は16、Zの標本分散は82、XとYの共分散は-5.6、YとZの共分散は-36.2とします。 (1) X, Y, Zの因果関係を因果ダイアグラムで整理する。 (2) Xを原因、Yを結果とする単回帰直線を求める。 (3) Yを原因、Zを結果とする単回帰直線を求める。 (4) (2)と(3)の結果を用いて、XとZの間の単回帰直線を推定する。 (5) かかしの数を1体増やすと、収穫数は平均的に何個増えるか。 (6) かかしの数を7体にすると、収穫数は何個になると予想できるか。

確率論・統計学統計回帰分析共分散標本分散因果関係
2025/6/5
以下に問題の解答を示します。

1. 問題の内容

ある農園で、かかしの数(X)、畑に来る動物の数(Y)、収穫できた果物の数(Z)のデータが与えられています。Xの標本分散は2、Yの標本分散は16、Zの標本分散は82、XとYの共分散は-5.6、YとZの共分散は-36.2とします。
(1) X, Y, Zの因果関係を因果ダイアグラムで整理する。
(2) Xを原因、Yを結果とする単回帰直線を求める。
(3) Yを原因、Zを結果とする単回帰直線を求める。
(4) (2)と(3)の結果を用いて、XとZの間の単回帰直線を推定する。
(5) かかしの数を1体増やすと、収穫数は平均的に何個増えるか。
(6) かかしの数を7体にすると、収穫数は何個になると予想できるか。

2. 解き方の手順

(1) 因果ダイアグラム
かかしの数(X)が多いほど、畑に来る動物の数(Y)が減り、畑に来る動物の数(Y)が多いほど、収穫数(Z)が減るという関係から、X -> Y -> Zという因果関係が考えられます。
(2) Xを原因、Yを結果とする単回帰直線
単回帰直線は Y=a+bXY = a + bX で表されます。ここで、bb は回帰係数、aa は切片です。
回帰係数 bb は、b=Cov(X,Y)/Var(X)b = Cov(X, Y) / Var(X) で求められます。
b=5.6/2=2.8b = -5.6 / 2 = -2.8
平均値は使用できないため、ここでは回帰直線を計算できません。
(3) Yを原因、Zを結果とする単回帰直線
単回帰直線は Z=c+dYZ = c + dY で表されます。ここで、dd は回帰係数、cc は切片です。
回帰係数 dd は、d=Cov(Y,Z)/Var(Y)d = Cov(Y, Z) / Var(Y) で求められます。
d=36.2/16=2.2625d = -36.2 / 16 = -2.2625
平均値は使用できないため、ここでは回帰直線を計算できません。
(4) XとZの間の単回帰直線の推定
(2)と(3)の結果から、Xが1増加するとYは2.8減少し、Yが1減少するとZは2.2625増加します。
したがって、Xが1増加するとZは 2.82.2625=6.3352.8 * 2.2625 = 6.335 増加すると推定できます。
XとZの間の単回帰直線を Z=e+fXZ = e + fX とすると、f=6.335f = 6.335 と推定されます。
平均値は使用できないため、ここでは回帰直線を計算できません。
(5) かかしの数を1体増やすと、収穫数の増加量
(4)より、かかしの数を1体増やすと、収穫数は平均的に6.335個増えると推定できます。
(6) かかしの数を7体にしたときの収穫数の予測
(4)より、Xが1増加するとZは6.335増加すると推定できるため、
Z=e+6.335XZ = e + 6.335X
データから平均値を使用すると、
Xの平均は 2.5、Yの平均は7.7、Zの平均は44.7
44.7=e+6.3352.544.7 = e + 6.335 * 2.5
44.7=e+15.837544.7 = e + 15.8375
e=28.8625e = 28.8625
Z=28.8625+6.335XZ = 28.8625 + 6.335X
Z=28.8625+6.3357=28.8625+44.345=73.2075Z = 28.8625 + 6.335*7 = 28.8625 + 44.345 = 73.2075

3. 最終的な答え

(1) X -> Y -> Z
(2) Y = a - 2.8X
(3) Z = c - 2.2625Y
(4) Z = e + 6.335X
(5) 6.335個
(6) 73.2075個

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