質量 $m$、ばね定数 $k$ の振動子が、ばね定数 $k'$ のばねで連結された連成振動系について、以下の問いに答える問題です。 (a) 各質点の運動方程式を立てる。 (b) 運動方程式の解を仮定し、特性方程式を導く。 (c) 特性方程式から基準角振動数 $\omega$ と振幅 $C_1, C_2$ の関係を求め、基準振動に対応する振動を説明する。 (d) 連成振動の一般解が基準振動の線形結合で表されることを利用して、連成振動にうなりが現れることを説明する。

応用数学連成振動運動方程式特性方程式基準振動うなり
2025/6/7
はい、連成振動の問題ですね。与えられた問題を順番に解いていきましょう。

1. 問題の内容

質量 mm、ばね定数 kk の振動子が、ばね定数 kk' のばねで連結された連成振動系について、以下の問いに答える問題です。
(a) 各質点の運動方程式を立てる。
(b) 運動方程式の解を仮定し、特性方程式を導く。
(c) 特性方程式から基準角振動数 ω\omega と振幅 C1,C2C_1, C_2 の関係を求め、基準振動に対応する振動を説明する。
(d) 連成振動の一般解が基準振動の線形結合で表されることを利用して、連成振動にうなりが現れることを説明する。

2. 解き方の手順

(a) 運動方程式の導出
質点1の変位を x1x_1、質点2の変位を x2x_2 とします。質点1には、左側のばねによる力 kx1-kx_1 と、連結ばねによる力 k(x2x1)k'(x_2 - x_1) が働きます。同様に、質点2には、右側のばねによる力 kx2-kx_2 と、連結ばねによる力 k(x2x1)-k'(x_2 - x_1) が働きます。したがって、運動方程式は以下のようになります。
mx¨1=kx1+k(x2x1)m\ddot{x}_1 = -kx_1 + k'(x_2 - x_1)
mx¨2=kx2k(x2x1)m\ddot{x}_2 = -kx_2 - k'(x_2 - x_1)
整理すると、
mx¨1+(k+k)x1kx2=0m\ddot{x}_1 + (k+k')x_1 - k'x_2 = 0
mx¨2+(k+k)x2kx1=0m\ddot{x}_2 + (k+k')x_2 - k'x_1 = 0
(b) 特性方程式の導出
x1=C1sin(ωt+α)x_1 = C_1 \sin(\omega t + \alpha)x2=C2sin(ωt+α)x_2 = C_2 \sin(\omega t + \alpha) を運動方程式に代入します。x¨1=ω2x1\ddot{x}_1 = -\omega^2 x_1x¨2=ω2x2\ddot{x}_2 = -\omega^2 x_2であるので、
mω2C1+(k+k)C1kC2=0-m\omega^2 C_1 + (k+k')C_1 - k'C_2 = 0
mω2C2+(k+k)C2kC1=0-m\omega^2 C_2 + (k+k')C_2 - k'C_1 = 0
整理すると、
((k+k)mω2)C1kC2=0((k+k') - m\omega^2)C_1 - k'C_2 = 0
kC1+((k+k)mω2)C2=0-k'C_1 + ((k+k') - m\omega^2)C_2 = 0
この連立方程式が C1=C2=0C_1 = C_2 = 0 以外の解を持つためには、係数行列の行列式が0でなければなりません。
$\begin{vmatrix}
(k+k') - m\omega^2 & -k' \\
-k' & (k+k') - m\omega^2
\end{vmatrix} = 0$
((k+k)mω2)2(k)2=0((k+k') - m\omega^2)^2 - (k')^2 = 0
これが特性方程式です。
(c) 基準角振動数と振幅の関係
特性方程式を解きます。
(k+k)mω2=±k(k+k') - m\omega^2 = \pm k'
mω2=(k+k)km\omega^2 = (k+k') \mp k'
ω2=k+kkm\omega^2 = \frac{k+k' \mp k'}{m}
したがって、基準角振動数は2つ存在します。
ω1=km\omega_1 = \sqrt{\frac{k}{m}}
ω2=k+2km\omega_2 = \sqrt{\frac{k+2k'}{m}}
ω1\omega_1 のとき、((k+k)mω12)C1kC2=0((k+k') - m\omega_1^2)C_1 - k'C_2 = 0ω1=km\omega_1 = \sqrt{\frac{k}{m}} を代入すると、 (k+kk)C1kC2=kC1kC2=0(k+k'-k)C_1 - k'C_2 = k'C_1 - k'C_2 = 0 となり、C1=C2C_1 = C_2。このとき、2つの質点は同じ方向に同じ振幅で振動します。(同位相)
ω2\omega_2 のとき、((k+k)mω22)C1kC2=0((k+k') - m\omega_2^2)C_1 - k'C_2 = 0ω2=k+2km\omega_2 = \sqrt{\frac{k+2k'}{m}} を代入すると、 (k+k(k+2k))C1kC2=kC1kC2=0(k+k'-(k+2k'))C_1 - k'C_2 = -k'C_1 - k'C_2 = 0 となり、C1=C2C_1 = -C_2。このとき、2つの質点は逆方向に同じ振幅で振動します。(逆位相)
(d) うなりの発生
一般解は、2つの基準振動の線形結合で表されます。
x1(t)=Asin(ω1t+α)+Bsin(ω2t+β)x_1(t) = A\sin(\omega_1 t + \alpha) + B\sin(\omega_2 t + \beta)
x2(t)=Asin(ω1t+α)Bsin(ω2t+β)x_2(t) = A\sin(\omega_1 t + \alpha) - B\sin(\omega_2 t + \beta)
ここで、AABBα\alphaβ\betaは定数です。ω1\omega_1ω2\omega_2 が異なるため、この線形結合によって、振幅が時間的に変化するうなりが生じます。

3. 最終的な答え

(a) 運動方程式:
mx¨1+(k+k)x1kx2=0m\ddot{x}_1 + (k+k')x_1 - k'x_2 = 0
mx¨2+(k+k)x2kx1=0m\ddot{x}_2 + (k+k')x_2 - k'x_1 = 0
(b) 特性方程式:
((k+k)mω2)2(k)2=0((k+k') - m\omega^2)^2 - (k')^2 = 0
(c) 基準角振動数と振幅の関係:
ω1=km\omega_1 = \sqrt{\frac{k}{m}} のとき、C1=C2C_1 = C_2 (同位相)
ω2=k+2km\omega_2 = \sqrt{\frac{k+2k'}{m}} のとき、C1=C2C_1 = -C_2 (逆位相)
(d) 連成振動には、2つの基準振動の周波数の差によるうなりが現れる。

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