長さ $l$ の糸に質量 $m$ の物体を取り付けた単振り子を考える。物体には重力、糸の張力、速度に比例する抵抗力が働く。重力加速度は $g$、糸の張力は $R$、鉛直下方と糸の間の角度は $\theta$ である。 (a) 物体の速度 $\mathbf{v}$ が $\mathbf{v} = l\dot{\theta}\mathbf{e}_\theta$ と表せることを示す。ここで $\mathbf{e}_\theta$ は質点の位置ベクトルと直交し、$\theta$ を増加させる方向の単位ベクトルである。 (b) 2次元極座標系における物体の運動方程式を記述する。 (c) 振り子の振れ角が十分小さい ($|\theta| \ll 1$) として、運動方程式を解いて一般解 $\theta(t)$ を求める。ただし、$\gamma < 2m\sqrt{g/l}$ とする。
2025/6/27
1. 問題の内容
長さ の糸に質量 の物体を取り付けた単振り子を考える。物体には重力、糸の張力、速度に比例する抵抗力が働く。重力加速度は 、糸の張力は 、鉛直下方と糸の間の角度は である。
(a) 物体の速度 が と表せることを示す。ここで は質点の位置ベクトルと直交し、 を増加させる方向の単位ベクトルである。
(b) 2次元極座標系における物体の運動方程式を記述する。
(c) 振り子の振れ角が十分小さい () として、運動方程式を解いて一般解 を求める。ただし、 とする。
2. 解き方の手順
(a) 物体の位置ベクトル は、糸の長さを とすると、
と表せる。ここで、 は動径方向の単位ベクトルである。速度 は位置ベクトル の時間微分であるから、
極座標における単位ベクトルの時間微分は、 であるから、
となる。
(b) 物体に働く力は、重力 、糸の張力 (動径方向内向きを正とする)、速度に比例する抵抗力 である。
運動方程式 を極座標で記述すると、
ここで、糸の長さは一定なので 、、 である。したがって、
力の和は、
運動方程式の動径成分は、
接線成分は、
したがって、運動方程式は以下の2式で表される。
(c) 振れ角が小さい () とき、 と近似できる。したがって、運動方程式の接線成分は
この微分方程式の特性方程式は、
解は、
であるから、 であり、 とすると、解は共役複素数 となる。
したがって、一般解は
となる。ここで、 と は初期条件によって決定される定数である。
3. 最終的な答え
(a)
(b)
(c) , where