実数 $a, b$ について、次の不等式を証明する問題です。ただし、$0 < p \leq 1$ です。 $|a+b|^p \leq |a|^p + |b|^p$

解析学不等式実数関数凸関数絶対値
2025/6/29

1. 問題の内容

実数 a,ba, b について、次の不等式を証明する問題です。ただし、0<p10 < p \leq 1 です。
a+bpap+bp|a+b|^p \leq |a|^p + |b|^p

2. 解き方の手順

まず、aabb の少なくとも一方が0の場合、不等式は明らかに成り立ちます。例えば、a=0a=0 ならば、bp0+bp|b|^p \leq 0 + |b|^p となり成立します。
次に、a,b>0|a|, |b| > 0 の場合を考えます。
x=aa+bx = \frac{|a|}{|a| + |b|} とおくと、0<x<10 < x < 1 です。
不等式を示すために、関数 f(x)=xpf(x) = x^p を考えます。0<p10 < p \leq 1 なので、f(x)f(x) は区間 [0,1][0,1] で上に凸な関数です。
したがって、任意の x,y[0,1]x, y \in [0,1]λ[0,1]\lambda \in [0,1] に対して、次の不等式が成り立ちます。(イェンセンの不等式)
f(λx+(1λ)y)λf(x)+(1λ)f(y)f(\lambda x + (1-\lambda)y) \geq \lambda f(x) + (1-\lambda)f(y)
この事実を用いるのではなく、より基礎的な方法で証明します。
a+ba+b|a+b| \leq |a| + |b| は常に成立するので、
a+ba+b1\frac{|a+b|}{|a|+|b|} \leq 1
両辺をpp乗すると、
(a+ba+b)p1p=1\left(\frac{|a+b|}{|a|+|b|}\right)^p \leq 1^p = 1
a+bp(a+b)p|a+b|^p \leq (|a|+|b|)^p
ここで、a+b>0|a| + |b| > 0なので、c=aa+bc = \frac{|a|}{|a|+|b|}とすると、0c10 \leq c \leq 1 です。
a=c(a+b)|a| = c(|a|+|b|)
b=(1c)(a+b)|b| = (1-c)(|a|+|b|)
したがって
ap=cp(a+b)p|a|^p = c^p(|a|+|b|)^p
bp=(1c)p(a+b)p|b|^p = (1-c)^p(|a|+|b|)^p
よって
ap+bp=(cp+(1c)p)(a+b)p|a|^p + |b|^p = (c^p+(1-c)^p)(|a|+|b|)^p
a+bpap+bp|a+b|^p \leq |a|^p + |b|^p を示すには、
(a+ba+b)p(aa+b)p+(ba+b)p\left(\frac{|a+b|}{|a|+|b|}\right)^p \leq (\frac{|a|}{|a|+|b|})^p + (\frac{|b|}{|a|+|b|})^p
を示せば良い。
つまり、a+ba+b|a+b| \le |a|+|b| を用いると、(a+ba+b)p1\left(\frac{|a+b|}{|a|+|b|}\right)^p \leq 1 なので、
c=aa+bc=\frac{|a|}{|a|+|b|} とおくと、 0c10 \leq c \leq 1 なので、1cp+(1c)p1 \le c^p+(1-c)^p を示せばよい。
f(x)=xpf(x)=x^p に対して、0<p10<p\le 1 より、f(x)=p(p1)xp20f''(x)=p(p-1)x^{p-2} \le 0 (x>0x>0) だから、ffは上に凸な関数である。
したがって、0<c<10<c<1 のとき、cp+(1c)p1c^p+(1-c)^p \ge 1 が成立する。
c=0c=0 または c=1c=1 のときも、cp+(1c)p=1c^p+(1-c)^p = 1 が成立する。
よって、 cp+(1c)p1c^p+(1-c)^p \ge 1 が成立する。
したがって a+bpap+bp|a+b|^p \leq |a|^p + |b|^p

3. 最終的な答え

a+bpap+bp|a+b|^p \leq |a|^p + |b|^p (ただし、0<p10 < p \leq 1)

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