$z$ を 0 でない複素数、$n$ を整数とします。$z + \frac{1}{z}$ が実数ならば、$z^n + \frac{1}{z^n}$ も実数となることを示してください。$n=0$, $n$ が正の整数, $n$ が負の整数の場合に分けて答えます。

代数学複素数数学的帰納法実数複素数の性質
2025/3/31

1. 問題の内容

zz を 0 でない複素数、nn を整数とします。z+1zz + \frac{1}{z} が実数ならば、zn+1znz^n + \frac{1}{z^n} も実数となることを示してください。n=0n=0, nn が正の整数, nn が負の整数の場合に分けて答えます。

2. 解き方の手順

(1) n=0n=0 の場合:
z0+1z0=1+11=1+1=2z^0 + \frac{1}{z^0} = 1 + \frac{1}{1} = 1 + 1 = 2 となり、これは実数です。
(2) nn が正の整数の場合:
数学的帰納法で証明します。
z+1zz + \frac{1}{z} が実数であることを仮定します。
n=1n=1 のとき、z1+1z1=z+1zz^1 + \frac{1}{z^1} = z + \frac{1}{z} は実数です。
n=kn=k のとき、zk+1zkz^k + \frac{1}{z^k} が実数であると仮定します。つまり、zk+1zk=az^k + \frac{1}{z^k} = aaaは実数)とします。
n=k+1n=k+1 のとき、zk+1+1zk+1z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} が実数であることを示します。
\left(z + \frac{1}{z}\right) \left(z^k + \frac{1}{z^k}\right) = z^{k+1} + \frac{1}{z^{k-1}} + z^{1-k} + \frac{1}{z^{k+1}}
\left(z + \frac{1}{z}\right) \left(z^k + \frac{1}{z^k}\right) = z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} + z^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}}
\left(z + \frac{1}{z}\right) \left(z^k + \frac{1}{z^k}\right) = z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} + \left(z^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}}\right)
よって、
z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} = \left(z + \frac{1}{z}\right) \left(z^k + \frac{1}{z^k}\right) - \left(z^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}}\right)
z+1zz + \frac{1}{z} は実数、zk+1zkz^k + \frac{1}{z^k} は実数であるという仮定から、(z+1z)(zk+1zk)\left(z + \frac{1}{z}\right) \left(z^k + \frac{1}{z^k}\right) は実数です。
ここで、z+1z=xz + \frac{1}{z} = x (xx は実数) とすると、
z2xz+1=0z^2 - xz + 1 = 0
z=x±x242z = \frac{x \pm \sqrt{x^2 - 4}}{2}
zz が実数のとき、z1k+1z1kz^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}} も実数。
zz が虚数のとき、z1k+1z1k=z1k+zˉk1z^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}} = z^{1-k} + \bar{z}^{k-1}
z1k+1z1k=zk1+1zk1=zk1+1zk1=z1k+1z1kz^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}} = \overline{z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}}} = z^{k-1} + \frac{1}{z^{k-1}} = z^{1-k} + \frac{1}{z^{1-k}}
zk+1+1zk+1z^{k+1} + \frac{1}{z^{k+1}} も実数です。
n=1n=1 のとき成り立ち、n=kn=k のとき成り立つと仮定すると n=k+1n=k+1 のときも成り立つので、数学的帰納法により、nn が正の整数のとき zn+1znz^n + \frac{1}{z^n} は実数です。
(3) nn が負の整数の場合:
n=mn = -m (mm は正の整数) とします。
zn+1zn=zm+1zm=1zm+zm=zm+1zmz^n + \frac{1}{z^n} = z^{-m} + \frac{1}{z^{-m}} = \frac{1}{z^m} + z^m = z^m + \frac{1}{z^m}
mm は正の整数なので、(2) より zm+1zmz^m + \frac{1}{z^m} は実数です。
したがって、zn+1znz^n + \frac{1}{z^n} も実数です。

3. 最終的な答え

z+1zz + \frac{1}{z} が実数ならば、zn+1znz^n + \frac{1}{z^n} も実数となる。
n=0n=0 の場合:実数である (2)
nn が正の整数の場合:実数である (2)
nn が負の整数の場合:実数である (3)

「代数学」の関連問題

(1) 2x2の行列 $\begin{vmatrix} 8 & 7 \\ 3 & 4 \end{vmatrix}$ の行列式を求める。 (2) 3x3の行列 $\begin{vmatrix} 3 & ...

行列行列式2x2行列3x3行列サラスの公式
2025/6/5

与えられた連立一次方程式について、係数行列の階数と解空間の次元を求める問題です。連立一次方程式は以下の通りです。 $x_1 + 2x_2 + 4x_3 - x_4 = 0$ $2x_1 + 5x_2 ...

線形代数連立一次方程式階数解空間行基本変形
2025/6/5

与えられた式を簡略化する問題です。式は次のとおりです。 $\frac{(a+b+c)^2 - (a^2+b^2+c^2)}{(a+b)^2+(b+c)^2+(c+a)^2 - 2(a^2+b^2+c^...

式の簡略化展開分数式
2025/6/5

与えられた数式を簡略化して評価します。数式は次のとおりです。 $\frac{9(a + b)^3 - (a + 2b)^3 - (2a + b)^3}{3ab(a + b)}$

式の展開式の簡略化多項式分数式
2025/6/5

与えられた数式を簡略化する問題です。数式は以下の通りです。 $1 + \sqrt{\frac{x}{y}} - \frac{2}{\sqrt{\frac{y}{x}}} + \frac{1}{1 - ...

数式簡略化代数式分数式平方根因数分解式の計算
2025/6/5

与えられた数式を簡略化する問題です。数式は以下の通りです。 $1 + \sqrt{\frac{x}{y}} - \frac{2}{\sqrt{\frac{y}{x}}} + \frac{1}{1 - ...

式の簡略化分数式代数計算
2025/6/5

3次方程式 $x^3 - 5x^2 + ax + b = 0$ が $3+2i$ を解に持つとき、実数の定数 $a, b$ の値と他の解を求めよ。

三次方程式複素数解解の公式係数の比較
2025/6/5

第3項が6、第7項が22である等差数列$\{a_n\}$について、以下の問いに答える。 (1) 初項と公差を求めよ。 (2) 一般項を求めよ。 (3) 第50項を求めよ。 (4) 50 は第何項か。

数列等差数列一般項初項公差
2025/6/5

与えられた18個の数式を計算し、結果を求める問題です。

展開平方根式の計算有理化
2025/6/5

与えられた数学の問題集から、指定された問題を解きます。具体的には、以下の問題を解きます。 (15) $(\sqrt{3}+2)^2 - \sqrt{48}$ (16) $(\sqrt{5}+3)(\s...

根号式の展開計算
2025/6/5