ある病気に対する薬の効果を調べる問題です。 (1) 標本平均 $\overline{X} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} X_i$ の期待値と分散を求めます。ここで、$X_i$ は i 番目の患者に薬の効果が認められれば 1、認められなければ 0 をとる確率変数で、薬の効果がある確率は $p$ です。 (2) 400 人の患者に薬を投与したところ 320 人に効果がありました。母比率 $p$ の信頼度 95% の信頼区間を小数第 3 位を四捨五入して求めます。

確率論・統計学確率期待値分散ベルヌーイ分布信頼区間標本平均母比率
2025/7/3

1. 問題の内容

ある病気に対する薬の効果を調べる問題です。
(1) 標本平均 X=1ni=1nXi\overline{X} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} X_i の期待値と分散を求めます。ここで、XiX_i は i 番目の患者に薬の効果が認められれば 1、認められなければ 0 をとる確率変数で、薬の効果がある確率は pp です。
(2) 400 人の患者に薬を投与したところ 320 人に効果がありました。母比率 pp の信頼度 95% の信頼区間を小数第 3 位を四捨五入して求めます。

2. 解き方の手順

(1) 期待値と分散の計算
まず、XiX_i はベルヌーイ分布に従います。XiX_i の期待値 E[Xi]E[X_i] と分散 V[Xi]V[X_i] はそれぞれ以下のようになります。
E[Xi]=pE[X_i] = p
V[Xi]=p(1p)V[X_i] = p(1-p)
標本平均 X=1ni=1nXi\overline{X} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} X_i の期待値は、期待値の線形性より
E[X]=E[1ni=1nXi]=1ni=1nE[Xi]=1ni=1np=1nnp=pE[\overline{X}] = E[\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} X_i] = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} E[X_i] = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} p = \frac{1}{n} np = p
標本平均 X\overline{X} の分散は、XiX_i が独立であることから
V[X]=V[1ni=1nXi]=1n2i=1nV[Xi]=1n2i=1np(1p)=1n2np(1p)=p(1p)nV[\overline{X}] = V[\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} X_i] = \frac{1}{n^2} \sum_{i=1}^{n} V[X_i] = \frac{1}{n^2} \sum_{i=1}^{n} p(1-p) = \frac{1}{n^2} np(1-p) = \frac{p(1-p)}{n}
(2) 信頼区間の計算
標本比率 p^\hat{p}p^=320400=0.8\hat{p} = \frac{320}{400} = 0.8 となります。
標本の大きさが十分に大きいので、母比率 pp の信頼度 95% の信頼区間は以下の式で近似できます。
p^±zα/2p^(1p^)n\hat{p} \pm z_{\alpha/2} \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}
ここで、zα/2z_{\alpha/2} は標準正規分布の α/2\alpha/2 パーセント点です。信頼度 95% なので α=0.05\alpha = 0.05 となり、z0.025=1.96z_{0.025} = 1.96 となります。
したがって、信頼区間は
0.8±1.960.8(10.8)400=0.8±1.960.16400=0.8±1.960.0004=0.8±1.96×0.02=0.8±0.03920.8 \pm 1.96 \sqrt{\frac{0.8(1-0.8)}{400}} = 0.8 \pm 1.96 \sqrt{\frac{0.16}{400}} = 0.8 \pm 1.96 \sqrt{0.0004} = 0.8 \pm 1.96 \times 0.02 = 0.8 \pm 0.0392
信頼区間は (0.80.0392,0.8+0.0392)=(0.7608,0.8392)(0.8 - 0.0392, 0.8 + 0.0392) = (0.7608, 0.8392) となります。小数第 3 位を四捨五入すると (0.761,0.839)(0.761, 0.839) となります。

3. 最終的な答え

(1) 期待値: pp, 分散: p(1p)n\frac{p(1-p)}{n}
(2) 信頼区間: (0.761,0.839)(0.761, 0.839)

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