$R$ 上の $n$ 次元数ベクトル空間 $R^n$ の2つのベクトル $v$ と $w$ が与えられています。 $v = \begin{bmatrix} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{bmatrix}$, $w = \begin{bmatrix} b_1 \\ b_2 \\ \vdots \\ b_n \end{bmatrix}$ このとき、$(v, w)$ を次のように定義します。 $(v, w) = ^t v w = a_1b_1 + a_2b_2 + \dots + a_nb_n$ この定義が $R^n$ 上の内積を定めることを説明し、この内積が $R^n$ の標準内積であることを示します。
2025/7/15
1. 問題の内容
上の 次元数ベクトル空間 の2つのベクトル と が与えられています。
,
このとき、 を次のように定義します。
この定義が 上の内積を定めることを説明し、この内積が の標準内積であることを示します。
2. 解き方の手順
与えられた が 上の内積を定めることを示すためには、内積の公理を満たすことを確認する必要があります。内積の公理とは、以下の4つです。
1. 対称性: $(v, w) = (w, v)$
2. 線形性: $(av_1 + bv_2, w) = a(v_1, w) + b(v_2, w)$
3. 正定値性: $(v, v) \ge 0$, かつ $(v, v) = 0$ ならば $v = 0$
4. 実数性: $(v,w)$ が実数である
これらの公理が満たされることを確認します。
1. 対称性:
実数の積は交換可能であるため、 が成り立ちます。したがって、
が成り立ちます。
2. 線形性:
3. 正定値性:
実数の2乗は常に0以上であるため、 が成り立ちます。
となるのは、 のときのみです。これは を意味します。
4. 実数性:
と が実数であるため、 も実数です。したがって、 は実数です。
以上のことから、与えられた定義は 上の内積を定めます。この内積は、ベクトルの成分ごとの積の和で定義されるため、 の標準内積と呼ばれます。
3. 最終的な答え
与えられた は 上の内積を定め、それは の標準内積である。