複素数上の $n$ 次元ベクトル空間 $C^n$ の2つのベクトル $v$ と $w$ が与えられています。 $v = \begin{bmatrix} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{bmatrix}, w = \begin{bmatrix} b_1 \\ b_2 \\ \vdots \\ b_n \end{bmatrix}$ これらのベクトルについて、$(v, w) = \overline{w}^t v = a_1 \overline{b_1} + a_2 \overline{b_2} + \cdots + a_n \overline{b_n}$ で定義される演算が、$C^n$ 上にエルミート内積を定めることを示しています。 このエルミート内積は、$C^n$ の標準内積と呼ばれます。

代数学線形代数内積エルミート内積複素ベクトル空間
2025/7/15

1. 問題の内容

複素数上の nn 次元ベクトル空間 CnC^n の2つのベクトル vvww が与えられています。
v=[a1a2an],w=[b1b2bn]v = \begin{bmatrix} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{bmatrix}, w = \begin{bmatrix} b_1 \\ b_2 \\ \vdots \\ b_n \end{bmatrix}
これらのベクトルについて、(v,w)=wtv=a1b1+a2b2++anbn(v, w) = \overline{w}^t v = a_1 \overline{b_1} + a_2 \overline{b_2} + \cdots + a_n \overline{b_n} で定義される演算が、CnC^n 上にエルミート内積を定めることを示しています。
このエルミート内積は、CnC^n の標準内積と呼ばれます。

2. 解き方の手順

問題文には解くべき内容が明示されていませんが、与えられた演算がエルミート内積の定義を満たすことを示す必要があります。
エルミート内積は、次の性質を満たす必要があります。
(1) (v,w)=(w,v)(v, w) = \overline{(w, v)} (共役対称性)
(2) (v,w1+w2)=(v,w1)+(v,w2)(v, w_1 + w_2) = (v, w_1) + (v, w_2) (線形性)
(3) (v,αw)=α(v,w)(v, \alpha w) = \alpha (v, w) (線形性)
(4) (v,v)0(v, v) \geq 0 であり、(v,v)=0(v, v) = 0 ならば v=0v = 0 (正定値性)
定義された演算がこれらの性質を満たすことを確認します。
(1) (v,w)=i=1naibi(v, w) = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{b_i}
(w,v)=i=1nbiai(w, v) = \sum_{i=1}^{n} b_i \overline{a_i}
(w,v)=i=1nbiai=i=1nbiai=i=1naibi=(v,w)\overline{(w, v)} = \overline{\sum_{i=1}^{n} b_i \overline{a_i}} = \sum_{i=1}^{n} \overline{b_i} a_i = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{b_i} = (v, w)
したがって、共役対称性が成り立ちます。
(2) (v,w1+w2)=i=1nai(b1i+b2i)=i=1nai(b1i+b2i)=i=1naib1i+i=1naib2i=(v,w1)+(v,w2)(v, w_1 + w_2) = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{(b_{1i} + b_{2i})} = \sum_{i=1}^{n} a_i (\overline{b_{1i}} + \overline{b_{2i}}) = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{b_{1i}} + \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{b_{2i}} = (v, w_1) + (v, w_2)
したがって、線形性が成り立ちます。
(3) (v,αw)=i=1nai(αbi)=i=1naiαbi=αi=1naibi=α(v,w)(v, \alpha w) = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{(\alpha b_i)} = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{\alpha} \overline{b_i} = \overline{\alpha} \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{b_i} = \overline{\alpha} (v, w)
これは、第2引数に関する半線形性を示しています。第1引数については、共役対称性より、
(αv,w)=(w,αv)=α(w,v)=α(w,v)=α(v,w)(\alpha v, w) = \overline{(w, \alpha v)} = \overline{\overline{\alpha} (w, v)} = \alpha \overline{(w, v)} = \alpha (v, w)
と線形になります。
(4) (v,v)=i=1naiai=i=1nai20(v, v) = \sum_{i=1}^{n} a_i \overline{a_i} = \sum_{i=1}^{n} |a_i|^2 \geq 0
もし (v,v)=0(v, v) = 0 ならば、i=1nai2=0\sum_{i=1}^{n} |a_i|^2 = 0 であり、各 ai20|a_i|^2 \geq 0 であるから、すべての ii に対して ai=0a_i = 0 でなければなりません。つまり、v=0v = 0 です。
したがって、正定値性が成り立ちます。
以上の性質が成り立つため、この演算はエルミート内積を定めます。

3. 最終的な答え

与えられた演算 (v,w)=a1b1+a2b2++anbn(v, w) = a_1 \overline{b_1} + a_2 \overline{b_2} + \cdots + a_n \overline{b_n} は、CnC^n 上のエルミート内積を定めます。

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