(1) 全ての自然数 $n$ に対して、$x \geq 0$ のとき、$e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つことを、$n$ に関する数学的帰納法で示す。 (2) 関数 $f(x) = x^{n-1}e^{-x}$ について、$\lim_{x \to \infty} f(x)$ を求める。

解析学数学的帰納法極限指数関数不等式微分
2025/7/22

1. 問題の内容

(1) 全ての自然数 nn に対して、x0x \geq 0 のとき、ex>xnn!e^x > \frac{x^n}{n!} が成り立つことを、nn に関する数学的帰納法で示す。
(2) 関数 f(x)=xn1exf(x) = x^{n-1}e^{-x} について、limxf(x)\lim_{x \to \infty} f(x) を求める。

2. 解き方の手順

(1) 数学的帰納法による証明
* (i) n=1n = 1 のとき:
ex>x11!=xe^x > \frac{x^1}{1!} = xx0x \geq 0 であれば、ex>xe^x > x は常に成立する。例えば、e0=1>0e^0=1>0 であり、exe^x は常に増加関数であり、xx も増加関数だが、exe^x の方が増加率が大きいからである。
* (ii) n=kn = k のとき、ex>xkk!e^x > \frac{x^k}{k!} が成り立つと仮定する。
n=k+1n = k+1 のとき、ex>xk+1(k+1)!e^x > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} を示す。
ex>xkk!e^x > \frac{x^k}{k!} の両辺に x0x \geq 0 を掛けると、xex>xk+1k!xe^x > \frac{x^{k+1}}{k!} となる。
ここで、ex>xk+1(k+1)!e^x > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} を示すために、g(x)=exxk+1(k+1)!g(x) = e^x - \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} を考える。
g(0)=e00k+1(k+1)!=1>0g(0) = e^0 - \frac{0^{k+1}}{(k+1)!} = 1 > 0
g(x)=ex(k+1)xk(k+1)!=exxkk!g'(x) = e^x - \frac{(k+1)x^k}{(k+1)!} = e^x - \frac{x^k}{k!}
帰納法の仮定より、ex>xkk!e^x > \frac{x^k}{k!} なので、g(x)>0g'(x) > 0 である。
したがって、g(x)g(x) は増加関数であり、g(0)>0g(0) > 0 より、x0x \geq 0g(x)>0g(x) > 0 である。
よって、ex>xk+1(k+1)!e^x > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} が成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、ex>xnn!e^x > \frac{x^n}{n!} が全ての自然数 nn に対して成り立つことが示された。
(2) 極限の計算
f(x)=xn1ex=xn1exf(x) = x^{n-1}e^{-x} = \frac{x^{n-1}}{e^x}
limxf(x)=limxxn1ex\lim_{x \to \infty} f(x) = \lim_{x \to \infty} \frac{x^{n-1}}{e^x}
(1)の結果より、ex>xnn!e^x > \frac{x^n}{n!}なので、0<xn1ex<xn1xnn!=n!x0 < \frac{x^{n-1}}{e^x} < \frac{x^{n-1}}{\frac{x^n}{n!}} = \frac{n!}{x}
limxn!x=0\lim_{x \to \infty} \frac{n!}{x} = 0
よって、挟みうちの原理より、
limxxn1ex=0\lim_{x \to \infty} \frac{x^{n-1}}{e^x} = 0

3. 最終的な答え

(1) 証明完了
(2) limxf(x)=0\lim_{x \to \infty} f(x) = 0

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