行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & a \\ b & c \end{pmatrix}$ について、以下の問いに答えます。 (1) $A^2 = 3A$ が成り立つように、$a, b, c$ の値を求めます。 (2) (1) のとき、$A^n$ を $n$ および $A$ で表します（ただし、$n$ は正の整数）。

1. 問題の内容

行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & a \\ b & c \end{pmatrix}$ について、以下の問いに答えます。

(1) $A^2 = 3A$ が成り立つように、$a, b, c$ の値を求めます。

(2) (1) のとき、$A^n$ を $n$ および $A$ で表します（ただし、$n$ は正の整数）。

2. 解き方の手順

(1) $A^2 = A \times A$ を計算します。

$A^2 = \begin{pmatrix} 1 & a \\ b & c \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & a \\ b & c \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1+ab & a+ac \\ b+bc & ab+c^2 \end{pmatrix}$

$A^2 = 3A$ より、

$\begin{pmatrix} 1+ab & a+ac \\ b+bc & ab+c^2 \end{pmatrix} = 3 \begin{pmatrix} 1 & a \\ b & c \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 & 3a \\ 3b & 3c \end{pmatrix}$

各成分を比較すると、以下の連立方程式が得られます。

$1+ab = 3$

$a+ac = 3a$

$b+bc = 3b$

$ab+c^2 = 3c$

これらの式を解きます。

$1+ab = 3$ より $ab = 2$

$a+ac = 3a$ より $ac = 2a$ 。$a \neq 0$ のとき $c=2$ 。$a = 0$ のとき $ab = 0 \neq 2$ なので、$a \neq 0$ です。

$b+bc = 3b$ より $bc = 2b$ 。$b \neq 0$ のとき $c=2$ 。$b = 0$ のとき $ab = 0 \neq 2$ なので、$b \neq 0$ です。

$ab+c^2 = 3c$ に $c=2$ を代入すると、$ab+4 = 6$ より $ab = 2$ 。これは最初の式と同じです。

$c=2$ 、$ab=2$ を満たす $a, b$ は無数に存在します。

(2) (1) のとき、 $A^2 = 3A$ が成り立ちます。

$A^3 = A^2 A = (3A)A = 3A^2 = 3(3A) = 3^2 A$

$A^4 = A^3 A = (3^2 A)A = 3^2 A^2 = 3^2 (3A) = 3^3 A$

したがって、$A^n = 3^{n-1} A$ と推測できます。

数学的帰納法で証明します。

$n=1$ のとき、$A^1 = 3^{1-1} A = 3^0 A = A$ となり成り立ちます。

$n=k$ のとき、$A^k = 3^{k-1} A$ が成り立つと仮定します。

$n=k+1$ のとき、$A^{k+1} = A^k A = (3^{k-1} A) A = 3^{k-1} A^2 = 3^{k-1} (3A) = 3^k A$

よって、$n=k+1$ のときも成り立ちます。

したがって、$A^n = 3^{n-1} A$ が成り立ちます。

3. 最終的な答え

(1) $ab=2$ 、$c=2$ ($a, b$ は実数)

(2) $A^n = 3^{n-1} A$