## 解答

解析学最大値最小値微分指数関数方程式実数解平均値の定理不等式体積表面積微分
2025/8/5
## 解答
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1. 問題の内容

1. 関数 $f(x) = \frac{x-a}{x^2 + a^2}$ (ただし $a>0$) の最大値と最小値の差が $1$ となるように、定数 $a$ の値を定める。

2. $a$ を正の定数とするとき、 $x$ の方程式 $\frac{1}{x} = a^x$ の異なる実数解の個数を調べる。

3. 平均値の定理を用いて、不等式 $|\cos x - \cos y| \leq |x-y|$ を証明する。

4. 時刻 $t \geq 0$ における体積 $V$ が関数 $V = 12\pi(t+2)$ で与えられる球がある。この球の時刻 $t=1$ における、半径 $r$ の増大する速さ、および表面積 $S$ の増大する速さを求める。

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2. 解き方の手順

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1. 関数 $f(x)$ の最大値と最小値

関数 f(x)=xax2+a2f(x) = \frac{x-a}{x^2 + a^2} の最大値と最小値を求めるために、まず微分します。
f(x)=(x2+a2)(xa)(2x)(x2+a2)2=x2+a22x2+2ax(x2+a2)2=x2+2ax+a2(x2+a2)2f'(x) = \frac{(x^2+a^2) - (x-a)(2x)}{(x^2+a^2)^2} = \frac{x^2 + a^2 - 2x^2 + 2ax}{(x^2+a^2)^2} = \frac{-x^2 + 2ax + a^2}{(x^2+a^2)^2}
f(x)=0f'(x) = 0 となる xx を求めます。
x2+2ax+a2=0-x^2 + 2ax + a^2 = 0
x22axa2=0x^2 - 2ax - a^2 = 0
x=2a±4a2+4a22=2a±8a22=2a±22a2=a±2a=(1±2)ax = \frac{2a \pm \sqrt{4a^2 + 4a^2}}{2} = \frac{2a \pm \sqrt{8a^2}}{2} = \frac{2a \pm 2\sqrt{2}a}{2} = a \pm \sqrt{2}a = (1 \pm \sqrt{2})a
x1=(12)ax_1 = (1-\sqrt{2})ax2=(1+2)ax_2 = (1+\sqrt{2})af(x)f(x) は極値を持ちます。x1<x2x_1 < x_2です。
f(x1)=f((12)a)=(12)aa((12)a)2+a2=2a(122+2)a2+a2=2a(422)a2=2(422)a=22(22)a=2(2+2)2(42)a=2224a=212af(x_1) = f((1-\sqrt{2})a) = \frac{(1-\sqrt{2})a - a}{((1-\sqrt{2})a)^2 + a^2} = \frac{-\sqrt{2}a}{(1-2\sqrt{2}+2)a^2 + a^2} = \frac{-\sqrt{2}a}{(4-2\sqrt{2})a^2} = \frac{-\sqrt{2}}{(4-2\sqrt{2})a} = \frac{-\sqrt{2}}{2(2-\sqrt{2})a} = \frac{-\sqrt{2}(2+\sqrt{2})}{2(4-2)a} = \frac{-2\sqrt{2}-2}{4a} = \frac{-\sqrt{2}-1}{2a}.
f(x2)=f((1+2)a)=(1+2)aa((1+2)a)2+a2=2a(1+22+2)a2+a2=2a(4+22)a2=2(4+22)a=22(2+2)a=2(22)2(42)a=2224a=212af(x_2) = f((1+\sqrt{2})a) = \frac{(1+\sqrt{2})a - a}{((1+\sqrt{2})a)^2 + a^2} = \frac{\sqrt{2}a}{(1+2\sqrt{2}+2)a^2 + a^2} = \frac{\sqrt{2}a}{(4+2\sqrt{2})a^2} = \frac{\sqrt{2}}{(4+2\sqrt{2})a} = \frac{\sqrt{2}}{2(2+\sqrt{2})a} = \frac{\sqrt{2}(2-\sqrt{2})}{2(4-2)a} = \frac{2\sqrt{2}-2}{4a} = \frac{\sqrt{2}-1}{2a}.
f(x2)f(x_2) は最大値、f(x1)f(x_1) は最小値です。
最大値と最小値の差が 11 であるから、
f(x2)f(x1)=212a212a=21+2+12a=222a=2a=1f(x_2) - f(x_1) = \frac{\sqrt{2}-1}{2a} - \frac{-\sqrt{2}-1}{2a} = \frac{\sqrt{2}-1 + \sqrt{2}+1}{2a} = \frac{2\sqrt{2}}{2a} = \frac{\sqrt{2}}{a} = 1
よって a=2a = \sqrt{2}.
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2. 方程式 $\frac{1}{x} = a^x$ の実数解の個数

y=1xy = \frac{1}{x}y=axy = a^x のグラフの交点の個数を調べる。
グラフを描いて考えます。y=1xy = \frac{1}{x} は双曲線で、y=axy = a^x は指数関数。
a>0a > 0なので、 axa^x は常に正の値を取ります。
x>0x>0のとき、y=1xy = \frac{1}{x} は単調減少、y=axy = a^x も単調増加または単調減少なので、交点は高々1つ。
x<0x<0のとき、y=1xy = \frac{1}{x} は単調増加で、y=axy = a^x は単調増加または単調減少なので、交点は高々1つ。
a=1a=1のとき、y=1x=1y = 1^x = 1 なので、x=1x=1に1つだけ。
a>1a>1のとき、y=axy = a^x は単調増加。
0<a<10<a<1のとき、y=axy = a^x は単調減少。
xx が大きくなるほど axa^x は小さくなるので、 x<0x < 0 の領域で交点を持つ可能性が高い。
g(x)=1xaxg(x) = \frac{1}{x} - a^x とおくと、g(x)=1x2axlnag'(x) = -\frac{1}{x^2} - a^x \ln a
g(x)g'(x) は常に負なので、g(x)g(x) は単調減少。
したがって、g(x)=0g(x) = 0 となる xx は高々1つ。
x<0x < 0g(x)=0g(x) = 0 となる xx が存在するかどうかを調べます。
xx \to -\infty のとき、ax0a^x \to 0 なので、g(x)0g(x) \to 0
この問題は、実数解の個数を具体的に求めるのは難しい。グラフを描画して、y=1xy = \frac{1}{x}y=axy = a^x の交点を考えるのが良い。交点の個数は、おそらく1つとなる。
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3. 平均値の定理による不等式の証明

平均値の定理より、ある ccxxyy の間に存在して、
cosxcosyxy=sinc\frac{\cos x - \cos y}{x-y} = -\sin c
したがって、
cosxcosy=(xy)sinc\cos x - \cos y = -(x-y)\sin c
両辺の絶対値を取ると、
cosxcosy=xysinc|\cos x - \cos y| = |x-y| |\sin c|
sinc1|\sin c| \leq 1 であるから、
cosxcosyxy|\cos x - \cos y| \leq |x-y|
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4. 球の半径と表面積の増大速度

V=43πr3=12π(t+2)V = \frac{4}{3}\pi r^3 = 12\pi(t+2)
r3=9(t+2)r^3 = 9(t+2)
r=9(t+2)3r = \sqrt[3]{9(t+2)}
r(t)=13(9(t+2))2/39=3(9(t+2))2/3=3(9(t+2))23r'(t) = \frac{1}{3}(9(t+2))^{-2/3} \cdot 9 = 3(9(t+2))^{-2/3} = \frac{3}{\sqrt[3]{(9(t+2))^2}}
t=1t=1 のとき、
r(1)=3(9(1+2))23=3(27)23=37293=39=13r'(1) = \frac{3}{\sqrt[3]{(9(1+2))^2}} = \frac{3}{\sqrt[3]{(27)^2}} = \frac{3}{\sqrt[3]{729}} = \frac{3}{9} = \frac{1}{3}
S=4πr2=4π(9(t+2))2/3S = 4\pi r^2 = 4\pi (9(t+2))^{2/3}
S(t)=4π23(9(t+2))1/39=24π(9(t+2))1/3S'(t) = 4\pi \cdot \frac{2}{3} (9(t+2))^{-1/3} \cdot 9 = 24\pi (9(t+2))^{-1/3}
t=1t=1 のとき、
S(1)=24π(9(1+2))1/3=24π(27)1/3=24π13=8πS'(1) = 24\pi (9(1+2))^{-1/3} = 24\pi (27)^{-1/3} = 24\pi \cdot \frac{1}{3} = 8\pi
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3. 最終的な答え

1. $a = \sqrt{2}$

2. 方程式 $\frac{1}{x} = a^x$ の異なる実数解の個数は1個

3. (証明は上記参照)

4. 半径 $r$ の増大する速さは $\frac{1}{3}$、表面積 $S$ の増大する速さは $8\pi$

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