$\alpha$ の範囲が $0^\circ \leq \alpha < 360^\circ$ であり、$t = \sin \alpha$ とするとき、以下の問いに答えます。 (1) $\sin 5\alpha$ を $t$ の5次式で表してください。 (2) (1)で求めた式を利用して、$\sin 36^\circ$ の値を求めてください。

1. 問題の内容

$\alpha$ の範囲が $0^\circ \leq \alpha < 360^\circ$ であり、$t = \sin \alpha$ とするとき、以下の問いに答えます。

(1) $\sin 5\alpha$ を $t$ の5次式で表してください。

(2) (1)で求めた式を利用して、$\sin 36^\circ$ の値を求めてください。

2. 解き方の手順

(1) $\sin 5\alpha$ を $t$ の5次式で表す。

まず、ド・モアブルの定理を利用します。

$(\cos \alpha + i \sin \alpha)^5 = \cos 5\alpha + i \sin 5\alpha$

左辺を展開すると、

$(\cos \alpha + i \sin \alpha)^5 = \cos^5 \alpha + 5i \cos^4 \alpha \sin \alpha - 10 \cos^3 \alpha \sin^2 \alpha - 10i \cos^2 \alpha \sin^3 \alpha + 5 \cos \alpha \sin^4 \alpha + i \sin^5 \alpha$

実部と虚部を比較すると、

$\cos 5\alpha = \cos^5 \alpha - 10 \cos^3 \alpha \sin^2 \alpha + 5 \cos \alpha \sin^4 \alpha$

$\sin 5\alpha = 5 \cos^4 \alpha \sin \alpha - 10 \cos^2 \alpha \sin^3 \alpha + \sin^5 \alpha$

$\cos^2 \alpha = 1 - \sin^2 \alpha = 1 - t^2$ を用いて $\sin 5\alpha$ を $t$ で表すと、

$\sin 5\alpha = 5(1-t^2)^2 t - 10(1-t^2)t^3 + t^5$

$\sin 5\alpha = 5(1-2t^2+t^4)t - 10(t^3-t^5) + t^5$

$\sin 5\alpha = 5t - 10t^3 + 5t^5 - 10t^3 + 10t^5 + t^5$

$\sin 5\alpha = 16t^5 - 20t^3 + 5t$

(2) (1)で求めた式を利用して、$\sin 36^\circ$ の値を求める。

$\alpha = 36^\circ$ とすると、$5\alpha = 180^\circ$ なので、$\sin 5\alpha = \sin 180^\circ = 0$

(1)より、$16t^5 - 20t^3 + 5t = 0$

$t(16t^4 - 20t^2 + 5) = 0$

$t = \sin 36^\circ \neq 0$ なので、$16t^4 - 20t^2 + 5 = 0$

$t^2 = x$ とすると、$16x^2 - 20x + 5 = 0$

$x = \frac{20 \pm \sqrt{400 - 320}}{32} = \frac{20 \pm \sqrt{80}}{32} = \frac{20 \pm 4\sqrt{5}}{32} = \frac{5 \pm \sqrt{5}}{8}$

$t^2 = \sin^2 36^\circ > 0$ であり、$\sin 36^\circ > 0$ なので、$t^2 = \frac{5 - \sqrt{5}}{8}$ (なぜならば、$t^2=\sin^236<\sin^245=\frac{1}{2}=\frac{4}{8}<\frac{5+\sqrt{5}}{8} \approx 0.9045$)

したがって、$\sin 36^\circ = \sqrt{\frac{5 - \sqrt{5}}{8}} = \frac{\sqrt{10 - 2\sqrt{5}}}{4}$

3. 最終的な答え

(1) $\sin 5\alpha = 16t^5 - 20t^3 + 5t$

(2) $\sin 36^\circ = \frac{\sqrt{10 - 2\sqrt{5}}}{4}$