問題は、ベクトル関数 $A(t)$, $B(t)$ とスカラー関数 $k(t)$ に関する2つの関係式(ライプニッツ・ルール)が成り立つことを示すこと、および、$A^2 = \text{const.}$ のときに $A \perp \frac{dA}{dt}$ であることを示し、その幾何学的意味を図示を交えて説明することです。 関係式は以下の通りです。 (7) $\frac{d}{dt}(kA) = \frac{dk}{dt}A + k\frac{dA}{dt}$ (8) $\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \frac{dA}{dt} \cdot B + A \cdot \frac{dB}{dt}$

応用数学ベクトル解析微分ライプニッツ則内積幾何学的意味
2025/4/19

1. 問題の内容

問題は、ベクトル関数 A(t)A(t), B(t)B(t) とスカラー関数 k(t)k(t) に関する2つの関係式(ライプニッツ・ルール)が成り立つことを示すこと、および、A2=const.A^2 = \text{const.} のときに AdAdtA \perp \frac{dA}{dt} であることを示し、その幾何学的意味を図示を交えて説明することです。
関係式は以下の通りです。
(7) ddt(kA)=dkdtA+kdAdt\frac{d}{dt}(kA) = \frac{dk}{dt}A + k\frac{dA}{dt}
(8) ddt(AB)=dAdtB+AdBdt\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \frac{dA}{dt} \cdot B + A \cdot \frac{dB}{dt}

2. 解き方の手順

(7) の証明:
kAkA の時間微分を、微分の定義に従って計算します。
ddt(kA)=limΔt0k(t+Δt)A(t+Δt)k(t)A(t)Δt\frac{d}{dt}(kA) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{k(t+\Delta t)A(t+\Delta t) - k(t)A(t)}{\Delta t}
この式を整理します。
ddt(kA)=limΔt0k(t+Δt)A(t+Δt)k(t+Δt)A(t)+k(t+Δt)A(t)k(t)A(t)Δt\frac{d}{dt}(kA) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{k(t+\Delta t)A(t+\Delta t) - k(t+\Delta t)A(t) + k(t+\Delta t)A(t) - k(t)A(t)}{\Delta t}
ddt(kA)=limΔt0(k(t+Δt)A(t+Δt)A(t)Δt+k(t+Δt)k(t)ΔtA(t))\frac{d}{dt}(kA) = \lim_{\Delta t \to 0} \left( k(t+\Delta t) \frac{A(t+\Delta t) - A(t)}{\Delta t} + \frac{k(t+\Delta t) - k(t)}{\Delta t} A(t) \right)
Δt0\Delta t \to 0 の極限を取ると、微分の定義より、
ddt(kA)=k(t)dAdt+dkdtA(t)\frac{d}{dt}(kA) = k(t) \frac{dA}{dt} + \frac{dk}{dt} A(t)
よって、(7) が示されました。
(8) の証明:
ABA \cdot B の時間微分を、微分の定義に従って計算します。
ddt(AB)=limΔt0A(t+Δt)B(t+Δt)A(t)B(t)Δt\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{A(t+\Delta t) \cdot B(t+\Delta t) - A(t) \cdot B(t)}{\Delta t}
この式を整理します。
ddt(AB)=limΔt0A(t+Δt)B(t+Δt)A(t+Δt)B(t)+A(t+Δt)B(t)A(t)B(t)Δt\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{A(t+\Delta t) \cdot B(t+\Delta t) - A(t+\Delta t) \cdot B(t) + A(t+\Delta t) \cdot B(t) - A(t) \cdot B(t)}{\Delta t}
ddt(AB)=limΔt0(A(t+Δt)B(t+Δt)B(t)Δt+A(t+Δt)A(t)ΔtB(t))\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \lim_{\Delta t \to 0} \left( A(t+\Delta t) \cdot \frac{B(t+\Delta t) - B(t)}{\Delta t} + \frac{A(t+\Delta t) - A(t)}{\Delta t} \cdot B(t) \right)
Δt0\Delta t \to 0 の極限を取ると、微分の定義より、
ddt(AB)=A(t)dBdt+dAdtB(t)\frac{d}{dt}(A \cdot B) = A(t) \cdot \frac{dB}{dt} + \frac{dA}{dt} \cdot B(t)
よって、(8) が示されました。
A2=const.A^2 = \text{const.} のとき、AdAdtA \perp \frac{dA}{dt} であることの証明:
A2=AA=const.A^2 = A \cdot A = \text{const.} です。
両辺を時間 tt で微分します。
ddt(AA)=ddt(const.)=0\frac{d}{dt}(A \cdot A) = \frac{d}{dt}(\text{const.}) = 0
(8) の結果を用いると、
dAdtA+AdAdt=0\frac{dA}{dt} \cdot A + A \cdot \frac{dA}{dt} = 0
内積の可換性より、AdAdt=dAdtAA \cdot \frac{dA}{dt} = \frac{dA}{dt} \cdot A なので、
2AdAdt=02 A \cdot \frac{dA}{dt} = 0
したがって、
AdAdt=0A \cdot \frac{dA}{dt} = 0
これは、AAdAdt\frac{dA}{dt} が直交することを意味します。つまり、AdAdtA \perp \frac{dA}{dt} です。
幾何学的意味:
ベクトル AA の大きさは一定で、向きだけが変化する場合、ベクトル AA の変化 dAdt\frac{dA}{dt} は常にベクトル AA に垂直になります。これは、ベクトル AA の先端が、半径が A|A| の円周上を運動していると考えると理解できます。速度ベクトルは常に円の半径(この場合はベクトル AA)に垂直です。

3. 最終的な答え

(7) ddt(kA)=dkdtA+kdAdt\frac{d}{dt}(kA) = \frac{dk}{dt}A + k\frac{dA}{dt} は証明されました。
(8) ddt(AB)=dAdtB+AdBdt\frac{d}{dt}(A \cdot B) = \frac{dA}{dt} \cdot B + A \cdot \frac{dB}{dt} は証明されました。
A2=const.A^2 = \text{const.} のとき、AdAdtA \perp \frac{dA}{dt} であることが証明されました。
幾何学的意味は、ベクトル AA の大きさが一定で、向きだけが変化する場合、ベクトル AA の変化 dAdt\frac{dA}{dt} は常にベクトル AA に垂直になるということです。

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