実数全体を全体集合 $R$ とし、$a$ を実数とする。部分集合 $A = \{x \mid x^2 - ax - 6a^2 < 0\}$ と $B = \{x \mid x^2 - 6x + 8 < 0\}$ が与えられている。 (1) $a < 0$ のとき、$A$ を求めよ。 (2) $A$ が空集合となる $a$ の値を求めよ。 (3) 「$6$ が $A$ の要素である」という命題が偽となる $a$ の値の範囲を求めよ。 (4) 「$B$ が $A$ の部分集合である」という命題と同値な命題を選び、その命題が真になる $a$ の条件を求めよ。 (5) 「$A$ と $B$ の和集合が $R$ である」という命題と同値な命題を選び、その命題が真になる $a$ の条件を求めよ。

1. 問題の内容

実数全体を全体集合 $R$ とし、$a$ を実数とする。部分集合 $A = \{x \mid x^2 - ax - 6a^2 < 0\}$ と $B = \{x \mid x^2 - 6x + 8 < 0\}$ が与えられている。

(1) $a < 0$ のとき、$A$ を求めよ。

(2) $A$ が空集合となる $a$ の値を求めよ。

(3) 「$6$ が $A$ の要素である」という命題が偽となる $a$ の値の範囲を求めよ。

(4) 「$B$ が $A$ の部分集合である」という命題と同値な命題を選び、その命題が真になる $a$ の条件を求めよ。

(5) 「$A$ と $B$ の和集合が $R$ である」という命題と同値な命題を選び、その命題が真になる $a$ の条件を求めよ。

2. 解き方の手順

(1)

$x^2 - ax - 6a^2 < 0$ を因数分解すると、$(x - 3a)(x + 2a) < 0$ となる。

$a < 0$ のとき、$3a < -2a$ なので、$3a < x < -2a$ となる。

(2)

$x^2 - ax - 6a^2 < 0$ となる $x$ が存在しないとき、$A = \emptyset$ となる。

これは、$(x - 3a)(x + 2a) < 0$ となる $x$ が存在しないということなので、$3a \ge -2a$ つまり $5a \ge 0$ となる。

よって、$a \ge 0$ のとき、$A = \emptyset$ となる。問題文より，$A$ が空集合になるときの $a$ の値を求めるので，$a \ge 0$ となる最小の値である $a=0$ が答えである。

(3)

「$6$ が $A$ の要素である」という命題が偽となるのは、$6$ が $A$ の要素でないときである。

つまり、$6^2 - 6a - 6a^2 \ge 0$ のときである。

$36 - 6a - 6a^2 \ge 0$

$6 - a - a^2 \ge 0$

$a^2 + a - 6 \le 0$

$(a + 3)(a - 2) \le 0$

$-3 \le a \le 2$

したがって、$p = -3$、$q = 2$ となり、$p \le a \le q$ である。

(4)

$B \subset A$ と同値な命題は、$\overline{A} \subset \overline{B}$ である。つまり、選択肢の (4) である。

$B = \{x \mid x^2 - 6x + 8 < 0\} = \{x \mid (x - 2)(x - 4) < 0\} = \{x \mid 2 < x < 4\}$ である。

$B \subset A$ となるのは、$2 < x < 4$ が $x^2 - ax - 6a^2 < 0$ を満たすときである。

つまり、$2 < x < 4$ が $(x - 3a)(x + 2a) < 0$ を満たすときである。

$A = \{x \mid 3a < x < -2a\}$ または $A = \{x \mid -2a < x < 3a\}$ である。

$3a \le 2$ かつ $4 \le -2a$ のとき、$B \subset A$ である。

$a \le \frac{2}{3}$ かつ $a \le -2$ より、$a \le -2$

$-2a \le 2$ かつ $4 \le 3a$ のとき、$B \subset A$ である。

$a \ge -1$ かつ $a \ge \frac{4}{3}$ より、$a \ge \frac{4}{3}$

したがって、$a \le -2$ または $a \ge \frac{4}{3}$ である。

(5)

$A \cup B = R$ と同値な命題は、$\overline{A} \cap \overline{B} = \emptyset$ である。つまり、選択肢の (0) である。

$A \cup B = R$ は、$A$ にも $B$ にも属さない要素が存在しないことを意味する。

$\overline{A} = \{x \mid x \le -2a \text{ or } x \ge 3a\}$

$\overline{B} = \{x \mid x \le 2 \text{ or } x \ge 4\}$

$\overline{A} \cap \overline{B} = \emptyset$ となるのは、$3a \le -2a$ ($a=0$) の場合を除き，$3a> -2a$ のとき，

$-2a \le 2$ かつ $4 \le 3a$ のときである。

$a \ge -1$ かつ $a \ge \frac{4}{3}$ より、$a \ge \frac{4}{3}$

あるいは $2 < 4$ なので $\overline{B} \neq \emptyset$ となり $\overline{A} \cap \overline{B} = \emptyset$ となるには，$A = R$ となる必要があるが，これは問題文に反するのでありえない。

したがって，$a \ge \frac{4}{3}$ である．

3. 最終的な答え

(1) ア: 3a、イ: -2a

(2) ウ: 0

(3) エ: -3、オ: 2、カ: (0)

(4) キ: (4)、ク: (4)、ケコ: $a \le -2$、サシ: $a \ge \frac{4}{3}$

(5) ス: (0)、セ: (0)、ソタ: $a \ge \frac{4}{3}$