斜面に置かれた物体に関する問題です。静止摩擦係数と動摩擦係数が与えられ、重力加速度を $g$ とします。 問1:物体が斜面から受ける垂直抗力を求めます。 問2:物体が滑り落ちないための傾斜角 $\theta$ の条件を求めます。 問3:斜面に平行で上向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。 問4:斜面に平行で下向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。 問5:物体の重心に上向きの力を加え、斜面と加えた力のなす角が $\alpha$ である時、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。 問6:斜面の等高線に平行な横向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。 問7:問6で動き始めた時の力を加え続ける時、物体の運動方向と等高線とのなす角の正接を求めます。 問8:問6の力を加え続け、時間 $t$ 経過後に物体が斜面上を進んだ距離を求めます。

応用数学力学摩擦斜面運動ベクトル三角関数
2025/5/8

1. 問題の内容

斜面に置かれた物体に関する問題です。静止摩擦係数と動摩擦係数が与えられ、重力加速度を gg とします。
問1:物体が斜面から受ける垂直抗力を求めます。
問2:物体が滑り落ちないための傾斜角 θ\theta の条件を求めます。
問3:斜面に平行で上向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。
問4:斜面に平行で下向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。
問5:物体の重心に上向きの力を加え、斜面と加えた力のなす角が α\alpha である時、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。
問6:斜面の等高線に平行な横向きの力を加え、物体が動き始める時の力の大きさを求めます。
問7:問6で動き始めた時の力を加え続ける時、物体の運動方向と等高線とのなす角の正接を求めます。
問8:問6の力を加え続け、時間 tt 経過後に物体が斜面上を進んだ距離を求めます。

2. 解き方の手順

問1:斜面に垂直な方向の力の釣り合いを考えます。重力の斜面に垂直な成分は mgcosθmg\cos\theta です。したがって、垂直抗力 NNN=mgcosθN = mg\cos\theta となります。
問2:斜面に平行な方向の力の釣り合いを考えます。重力の斜面に平行な成分は mgsinθmg\sin\theta です。静止摩擦力は最大で μmgcosθ\mu mg\cos\theta です。したがって、滑り落ちないためには mgsinθμmgcosθmg\sin\theta \le \mu mg\cos\theta が成り立つ必要があります。これを変形すると、tanθμ\tan\theta \le \mu となります。
問3:斜面に平行な方向の力の釣り合いを考えます。斜面に平行な上向きの力を FF とします。物体が動き始める瞬間には、F=mgsinθ+μmgcosθF = mg\sin\theta + \mu mg\cos\theta が成り立ちます。
問4:斜面に平行な方向の力の釣り合いを考えます。斜面に平行な下向きの力を FF とします。物体が動き始める瞬間には、F+mgsinθ=μmgcosθF + mg\sin\theta = \mu mg\cos\theta が成り立ちます。したがって、F=μmgcosθmgsinθF = \mu mg\cos\theta - mg\sin\theta となります。ただし、F>0F > 0 である必要があるので、μ>tanθ\mu > \tan\theta でないと物体は下向きの力を加えても動きません。
問5:加えた力を FF とします。力の水平成分は FsinαF\sin\alpha で、斜面に平行な成分は FcosαF\cos\alpha です。物体が斜面に沿って上向きに動き始める瞬間には、Fcosα=mgsinθ+μmgcosθF\cos\alpha = mg\sin\theta + \mu mg\cos\theta が成り立ちます。したがって、F=mg(sinθ+μcosθ)cosαF = \frac{mg(\sin\theta + \mu \cos\theta)}{\cos\alpha} となります。
問6:加えた力を FF とします。物体が斜面に沿って動き始める瞬間には、F=μmgcosθF = \mu mg\cos\theta が成り立ちます。
問7:動き始めた瞬間に摩擦係数が μ\mu' に変わるとします。この時、mgsinθmg\sin\theta は斜面下向きの力、FF は等高線方向に加わる力なので、運動方向と等高線のなす角の正接 tanϕ=mgsinθ/F=mgsinθ/(μmgcosθ)=sinθμcosθ=tanθμ\tan \phi = mg\sin\theta/F = mg\sin\theta /(\mu'mg\cos\theta)= \frac{\sin \theta}{\mu' \cos \theta} = \frac{\tan \theta}{\mu'}
(μ\mu'は動摩擦係数です)
問8:tt経過後の移動距離ですが、加えた力と動摩擦力との差によって生じる加速度を求めます。
F=μmgcosθF= \mu mg cos \theta, 動き出すと摩擦係数が変わるので、μmgcosθμmgcosθ=ma\mu mg cos \theta - \mu'mg cos \theta= ma.
a=(μμ)mgcosθm=(μμ)gcosθa = \frac{(\mu - \mu')mgcos\theta}{m} = (\mu - \mu')gcos\theta
x=0.5at2=0.5(μμ)gcosθt2x= 0.5at^2 = 0.5(\mu - \mu')gcos\theta t^2.

3. 最終的な答え

問1:mgcosθmg\cos\theta
問2:tanθμ\tan\theta \le \mu
問3:mgsinθ+μmgcosθmg\sin\theta + \mu mg\cos\theta
問4:μmgcosθmgsinθ\mu mg\cos\theta - mg\sin\theta (ただし、μ>tanθ\mu > \tan\theta)
問5:mg(sinθ+μcosθ)cosα\frac{mg(\sin\theta + \mu \cos\theta)}{\cos\alpha}
問6:μmgcosθ\mu mg\cos\theta
問7:tanθμ\frac{\tan \theta}{\mu'} (μ\mu'は動摩擦係数です)
問8:0.5(μμ)gcosθt20.5(\mu - \mu')g\cos\theta t^2

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