熱量 $Q$ が完全微分でない(不完全微分である)ことを、与えられたヒントを用いて計算によって示す。ヒントとして、内部エネルギーの変化 $dU$ が熱量変化 $d'Q$ と仕事 $d'W$ の和で表され、さらに $d'W = -PdV$ ($P$ は圧力、$V$ は体積)で与えられることが示されている。ここで、$d'$ は不完全微分を表す記号である。
2025/5/10
1. 問題の内容
熱量 が完全微分でない(不完全微分である)ことを、与えられたヒントを用いて計算によって示す。ヒントとして、内部エネルギーの変化 が熱量変化 と仕事 の和で表され、さらに ( は圧力、 は体積)で与えられることが示されている。ここで、 は不完全微分を表す記号である。
2. 解き方の手順
完全微分かどうかを判定するには、偏微分の交差微分が一致するかどうかを確認する。もし、 が と の関数であるならば、 と表現できるはずである。しかし、ここでは という関係式が与えられているため、をとの関数として表すことを試みる。
を変形して、 を得る。ここで、 が と の関数であると仮定すると、 は完全微分である。 を代入すると、
ここで、 と表すと、 であり、 である。
が完全微分であるためには、 が成り立つ必要がある。
したがって、 である。なぜならば、 (Uが十分に滑らかな関数であるとき) であるが、 だからである。
3. 最終的な答え
なので、 は完全微分ではない(不完全微分である)。