偏光板を通過する光の割合を計算する問題です。 3つの異なる偏光板の配置について、光が通過する割合を求めます。 特に、3番目の配置では、N枚の偏光板が角度 $\theta = \frac{\pi}{2N}$ ずつ回転して配置されています。 各配置において、透過する光の割合をNの関数として表し、Nが無限大に近づくときの極限を求めます。

応用数学光学極限マリュスの法則三角関数微分積分物理学
2025/5/11

1. 問題の内容

偏光板を通過する光の割合を計算する問題です。
3つの異なる偏光板の配置について、光が通過する割合を求めます。
特に、3番目の配置では、N枚の偏光板が角度 θ=π2N\theta = \frac{\pi}{2N} ずつ回転して配置されています。
各配置において、透過する光の割合をNの関数として表し、Nが無限大に近づくときの極限を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 1つ目の場合: 0°と90°の偏光板が配置されている場合
入射光が偏光されていない場合、最初の0°の偏光板を通過した後、光の強度は半分になります。
次に、90°の偏光板は最初の偏光板に対して直交しているため、光は完全に遮断されます。したがって、透過率は0です。
(2) 2つ目の場合: 0°、45°、90°の偏光板が配置されている場合
最初の0°の偏光板を通過すると、光の強度は半分になります。
次に、45°の偏光板を通過すると、マリュスの法則により、強度は cos2(45)=(12)2=12\cos^2(45^\circ) = (\frac{1}{\sqrt{2}})^2 = \frac{1}{2} 倍になります。
最後に、90°の偏光板を通過すると、45°の偏光板を通過した光に対する角度は45°なので、再びマリュスの法則により、強度は cos2(45)=12\cos^2(45^\circ) = \frac{1}{2} 倍になります。
したがって、全体の透過率は 12×12×12=18\frac{1}{2} \times \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{8} です。
(3) 3つ目の場合: N枚の偏光板が角度 θ=π2N\theta = \frac{\pi}{2N} ずつ回転して配置されている場合
最初の偏光板を通過した後、光の強度は半分になります。
次に、2番目の偏光板を通過すると、マリュスの法則により、強度は cos2(π2N)\cos^2(\frac{\pi}{2N}) 倍になります。
N枚の偏光板を通過した後、全体の透過率は以下のようになります。
TN=12(cos2(π2N))N1T_N = \frac{1}{2} \left( \cos^2 \left( \frac{\pi}{2N} \right) \right)^{N-1}
TN=12(cos(π2N))2(N1)T_N = \frac{1}{2} \left( \cos \left( \frac{\pi}{2N} \right) \right)^{2(N-1)}
NN \to \infty の極限では、cos(x)1x22\cos(x) \approx 1 - \frac{x^2}{2} なので、
cos(π2N)112(π2N)2=1π28N2\cos \left( \frac{\pi}{2N} \right) \approx 1 - \frac{1}{2} \left( \frac{\pi}{2N} \right)^2 = 1 - \frac{\pi^2}{8N^2}
したがって、
TN=12(1π28N2)2N2T_N = \frac{1}{2} \left( 1 - \frac{\pi^2}{8N^2} \right)^{2N-2}
ここで、NN \to \infty のとき、(1+xn)nex (1 + \frac{x}{n})^n \to e^x を使うことを考えると少し式変形が必要になります。
TN=12(1π28N2)2NT_N = \frac{1}{2} \left( 1 - \frac{\pi^2}{8N^2} \right)^{2N}となるように操作して近似すると、
T_N \approx \frac{1}{2} \left( \left( 1 - \frac{\pi^2}{8N^2} \right)^{ -\frac{8N^2}{\pi^2}}}\right) ^{-\frac{\pi^2}{8N^2} \times 2N } = \frac{1}{2} e^{-\frac{\pi^2}{4N}}
NN \to \infty のとき、TN12e0=12T_N \to \frac{1}{2} e^0 = \frac{1}{2}
あるいは、微小な角度の偏光板を通過するごとに光の強度がcos2(π2N)\cos^2 (\frac{\pi}{2N})倍になることから、N個の偏光板を通過した後の強度を考えると、
limN(cos2(π2N))N=limN(cos(π2N))2N\lim_{N \to \infty} (\cos^2 (\frac{\pi}{2N}))^N = \lim_{N \to \infty} (\cos (\frac{\pi}{2N}))^{2N}
となります。limx0sinxx=1\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1 よりlimN(cos2(π2N))N=limN(1(π2N)2)N=eπ2/(4N)\lim_{N \to \infty} (\cos^2 (\frac{\pi}{2N}))^N=\lim_{N \to \infty} (1- (\frac{\pi}{2N})^2)^N = e^{-\pi^2/(4N)}となり、極限値は1になります。最初に偏光板を通っているので、1/21/2をかけることで、最終的には1/21/2になります。

3. 最終的な答え

(1) 0°と90°の偏光板の場合: 0
(2) 0°、45°、90°の偏光板の場合: 1/8
(3) N枚の偏光板の場合:
透過率: TN=12(cos2(π2N))N1T_N = \frac{1}{2} \left( \cos^2 \left( \frac{\pi}{2N} \right) \right)^{N-1}
NN \to \infty の極限: 1/2

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