複素数平面上に原点と異なる3点 $z_1, z_2, z_3$ があり、以下の条件を満たしています。 (A) $\arg z_1 = \arg z_2 + \frac{2}{3}\pi$ (B) 点 $z_3$ は2点 $z_1, z_2$ を通る直線に関して原点と反対側にある。 (C) 三角形 $z_1 z_2 z_3$ は正三角形。 このとき、$\alpha = \cos \frac{\pi}{3} + i \sin \frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}$ とするとき、以下の問いに答えます。 (1) $\alpha z_1 = pz_1 + qz_2, \alpha z_2 = rz_1 + sz_2$ となる実数 $p, q, r, s$ をそれぞれ $|z_1|, |z_2|$ を用いて表します。 (2) $z_3 = az_1 + bz_2$ となる実数 $a, b$ をそれぞれ $|z_1|, |z_2|$ を用いて表します。

1. 問題の内容

複素数平面上に原点と異なる3点 $z_1, z_2, z_3$ があり、以下の条件を満たしています。

(A) $\arg z_1 = \arg z_2 + \frac{2}{3}\pi$

(B) 点 $z_3$ は2点 $z_1, z_2$ を通る直線に関して原点と反対側にある。

(C) 三角形 $z_1 z_2 z_3$ は正三角形。

このとき、$\alpha = \cos \frac{\pi}{3} + i \sin \frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}$ とするとき、以下の問いに答えます。

(1) $\alpha z_1 = pz_1 + qz_2, \alpha z_2 = rz_1 + sz_2$ となる実数 $p, q, r, s$ をそれぞれ $|z_1|, |z_2|$ を用いて表します。

(2) $z_3 = az_1 + bz_2$ となる実数 $a, b$ をそれぞれ $|z_1|, |z_2|$ を用いて表します。

2. 解き方の手順

(1) $\arg z_1 = \arg z_2 + \frac{2}{3}\pi$ より、$\arg \frac{z_1}{z_2} = \frac{2}{3}\pi$。よって、$z_1 = k z_2 (\cos \frac{2}{3}\pi + i \sin \frac{2}{3}\pi)$ ($k > 0$)と表せる。

$\alpha z_1 = p z_1 + q z_2$ より、$(\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) z_1 = p z_1 + q z_2$。

$z_1 = k z_2 (\cos \frac{2}{3}\pi + i \sin \frac{2}{3}\pi) = k z_2 (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2})$ を代入すると、

$(\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) k z_2 (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2}) = p k z_2 (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2}) + q z_2$

$k z_2 (\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2}) = z_2(-\frac{1}{2}k p + i\frac{\sqrt{3}}{2}kp + q)$

$k z_2 (-1/4 - 3/4 + i(\sqrt{3}/4-\sqrt{3}/4)) = k z_2 (-1) = z_2(-\frac{1}{2}k p + i\frac{\sqrt{3}}{2}kp + q)$

$-k = -\frac{1}{2}k p + q$ かつ $0 = \frac{\sqrt{3}}{2}k p$。よって、$p = 0$ かつ $q = -k$。

$|z_1| = |k z_2 (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2})| = k |z_2|$。よって、$k = \frac{|z_1|}{|z_2|}$。よって、$p=0, q=-\frac{|z_1|}{|z_2|}$。

$\alpha z_2 = r z_1 + s z_2$ より、$(\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) z_2 = r z_1 + s z_2$。

$z_1 = k z_2 (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2})$ より、$z_2 = \frac{z_1}{k (-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2})} = \frac{z_1}{k(-\frac{1}{2} + i \frac{\sqrt{3}}{2})} \frac{(-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})}{(-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})} = \frac{z_1}{k} (-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})$。

$(\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) z_2 = r z_1 + s z_2$ に代入すると、$(\frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2}) \frac{z_1}{k} (-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2}) = r z_1 + s \frac{z_1}{k} (-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})$

$\frac{z_1}{k} = r z_1 + s \frac{z_1}{k} (-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})$

$\frac{1}{k} = r + \frac{s}{k} (-\frac{1}{2} - i \frac{\sqrt{3}}{2})$

$\frac{1}{k} = r - \frac{1}{2k}s - i\frac{\sqrt{3}}{2k}s$

$\frac{1}{k} = r - \frac{1}{2k}s$ かつ $0 = - \frac{\sqrt{3}}{2k} s$。よって、$s=0$ かつ $r = \frac{1}{k} = \frac{|z_2|}{|z_1|}$。

(2) $z_3$ は $z_1, z_2$ を通る直線に関して原点と反対側にあるから、$\arg(z_3 - z_1) = \arg(z_2 - z_1) \pm \frac{\pi}{3}$または$\arg(z_3 - z_2) = \arg(z_1 - z_2) \pm \frac{\pi}{3}$。

$z_1, z_2, z_3$ が正三角形をなすので、$z_3 = \frac{1}{2} (z_1 + z_2) \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i(z_2 - z_1)$.

3. 最終的な答え

(1) $p=0$, $q=-\frac{|z_1|}{|z_2|}$, $r=\frac{|z_2|}{|z_1|}$, $s=0$

(2) $z_3 = \frac{1}{2} (z_1 + z_2) \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i(z_2 - z_1)$. より、$a=\frac{1}{2} \mp i\frac{\sqrt{3}}{2}, b=\frac{1}{2} \pm i\frac{\sqrt{3}}{2}$

しかし、$a,b$は実数なので$a,b$は$\frac{|z_1|}{|z_2|}$で表せない。

問題文の条件から、$z_3 = az_1 + bz_2$とはならない気がします。

問題文の条件で$z_3$が定まらないので、$a,b$の値も一意に定まらない。

条件(B)より、$z_3$は$z_1, z_2$を通る直線上にはない。従って$z_3$は$az_1 + bz_2$の形で表現できない。

最終解答

(1) $p=0$, $q=-\frac{|z_1|}{|z_2|}$, $r=\frac{|z_2|}{|z_1|}$, $s=0$

(2) $z_3=az_1+bz_2$となる実数$a,b$は存在しない。