任意の正方行列 $A$ に対して、$T = A + {}^tA$ は対称行列、$K = A - {}^tA$ は交代行列であることを示し、さらに $A = \frac{1}{2}(T + K)$ となることを証明する。

代数学行列転置行列対称行列交代行列線形代数
2025/5/16

1. 問題の内容

任意の正方行列 AA に対して、T=A+tAT = A + {}^tA は対称行列、K=AtAK = A - {}^tA は交代行列であることを示し、さらに A=12(T+K)A = \frac{1}{2}(T + K) となることを証明する。

2. 解き方の手順

(1) T=A+tAT = A + {}^tA が対称行列であることの証明:
行列 TT の転置行列 tT{}^tT を計算する。
tT=t(A+tA)=tA+ttA=tA+A=A+tA=T{}^tT = {}^t(A + {}^tA) = {}^tA + {}^{tt}A = {}^tA + A = A + {}^tA = T
したがって、tT=T{}^tT = T であるから、TT は対称行列である。
(2) K=AtAK = A - {}^tA が交代行列であることの証明:
行列 KK の転置行列 tK{}^tK を計算する。
tK=t(AtA)=tAttA=tAA=(AtA)=K{}^tK = {}^t(A - {}^tA) = {}^tA - {}^{tt}A = {}^tA - A = -(A - {}^tA) = -K
したがって、tK=K{}^tK = -K であるから、KK は交代行列である。
(3) A=12(T+K)A = \frac{1}{2}(T + K) であることの証明:
TTKK の定義を用いて、12(T+K)\frac{1}{2}(T + K) を計算する。
12(T+K)=12((A+tA)+(AtA))=12(2A)=A\frac{1}{2}(T + K) = \frac{1}{2}((A + {}^tA) + (A - {}^tA)) = \frac{1}{2}(2A) = A

3. 最終的な答え

任意の正方行列 AA に対して、T=A+tAT = A + {}^tA は対称行列、K=AtAK = A - {}^tA は交代行列であり、A=12(T+K)A = \frac{1}{2}(T + K) が成り立つ。

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