実質金利 $r$ が与えられ、実質所得 $Y$ を得る消費者の2期間にわたる効用最大化を考えます。消費者の効用関数が $U(c_1, c_2) = 0.7 \ln c_1 + 0.3 \ln c_2$ のとき、設備投資関数が外生的な場合の45度線分析における財政支出乗数を分数で求めます。

応用数学マクロ経済学効用最大化45度線分析乗数効果
2025/5/21

1. 問題の内容

実質金利 rr が与えられ、実質所得 YY を得る消費者の2期間にわたる効用最大化を考えます。消費者の効用関数が U(c1,c2)=0.7lnc1+0.3lnc2U(c_1, c_2) = 0.7 \ln c_1 + 0.3 \ln c_2 のとき、設備投資関数が外生的な場合の45度線分析における財政支出乗数を分数で求めます。

2. 解き方の手順

まず、2期間モデルにおける消費者の予算制約式は以下の通りです。
c1+c21+r=Y+Y1+rc_1 + \frac{c_2}{1+r} = Y + \frac{Y}{1+r}
この予算制約式の下で効用関数 U(c1,c2)=0.7lnc1+0.3lnc2U(c_1, c_2) = 0.7 \ln c_1 + 0.3 \ln c_2 を最大化します。
ラグランジュ関数 LL を以下のように定義します。
L=0.7lnc1+0.3lnc2+λ(Y+Y1+rc1c21+r)L = 0.7 \ln c_1 + 0.3 \ln c_2 + \lambda (Y + \frac{Y}{1+r} - c_1 - \frac{c_2}{1+r})
一階条件は以下の通りです。
Lc1=0.7c1λ=0\frac{\partial L}{\partial c_1} = \frac{0.7}{c_1} - \lambda = 0
Lc2=0.3c2λ1+r=0\frac{\partial L}{\partial c_2} = \frac{0.3}{c_2} - \frac{\lambda}{1+r} = 0
Lλ=Y+Y1+rc1c21+r=0\frac{\partial L}{\partial \lambda} = Y + \frac{Y}{1+r} - c_1 - \frac{c_2}{1+r} = 0
一階条件から λ\lambda を消去します。
λ=0.7c1\lambda = \frac{0.7}{c_1}
0.3c2=0.7(1+r)c1\frac{0.3}{c_2} = \frac{0.7}{(1+r)c_1}
したがって、
c2=0.3(1+r)c10.7=3(1+r)c17c_2 = \frac{0.3(1+r)c_1}{0.7} = \frac{3(1+r)c_1}{7}
これを予算制約式に代入します。
c1+3(1+r)c17(1+r)=Y+Y1+rc_1 + \frac{3(1+r)c_1}{7(1+r)} = Y + \frac{Y}{1+r}
c1+3c17=Y+Y1+rc_1 + \frac{3c_1}{7} = Y + \frac{Y}{1+r}
10c17=Y(1+11+r)\frac{10c_1}{7} = Y(1 + \frac{1}{1+r})
c1=710Y(1+11+r)c_1 = \frac{7}{10} Y (1 + \frac{1}{1+r})
c1=710Y(2+r1+r)c_1 = \frac{7}{10} Y (\frac{2+r}{1+r})
総需要 ADAD は、 AD=c1+c2AD = c_1 + c_2 です。
c2=37(1+r)c1=37(1+r)710Y2+r1+r=310Y2+r1+rc_2 = \frac{3}{7} (1+r) c_1 = \frac{3}{7} (1+r) \frac{7}{10} Y \frac{2+r}{1+r} = \frac{3}{10} Y \frac{2+r}{1+r}
AD=c1+c2=710Y2+r1+r+310Y2+r1+r=Y2+r1+rAD = c_1 + c_2 = \frac{7}{10} Y \frac{2+r}{1+r} + \frac{3}{10} Y \frac{2+r}{1+r} = Y \frac{2+r}{1+r}
財政支出を GG とすると、総需要は AD=C+I+GAD = C + I + G となります。
ここで、 II は外生的に与えられているとします。
このとき、
AD=c1+c2+G=Y2+r1+r+GAD = c_1 + c_2 + G = Y \frac{2+r}{1+r} + G
Y=Y2+r1+r+GY = Y \frac{2+r}{1+r} + G
ΔY=2+r1+rΔY+ΔG\Delta Y = \frac{2+r}{1+r} \Delta Y + \Delta G
(12+r1+r)ΔY=ΔG(1 - \frac{2+r}{1+r}) \Delta Y = \Delta G
(1+r2r1+r)ΔY=ΔG(\frac{1+r-2-r}{1+r}) \Delta Y = \Delta G
11+rΔY=ΔG\frac{-1}{1+r} \Delta Y = \Delta G
ここで総需要をAD=c1+c2AD=c_1+c_2ではなく、単純な45度分析モデルを適用する。
AD=C+I+GAD=C+I+G, C=c1+c2=0.7Y+0.3Y=YC=c_1+c_2=0.7Y+0.3Y=Yと考えると(2期間考慮する必要がない場合)、乗数は
1/(11)=1/0=1/(1-1)=1/0=\inftyとなる。ただし、消費関数から考えると以下のようになる。
c1=0.71+rYc_1 = \frac{0.7}{1+r} Y, c2=0.3(1+r)1+rY=0.3Yc_2=\frac{0.3(1+r)}{1+r}Y=0.3Y
Y=c1+c2+G=0.7Y+0.3Y+G=Y+GY = c_1+c_2+G = 0.7Y+0.3Y+G = Y+G
しかし、これも結果として乗数は\inftyとなる。
効用関数のパラメータを限界消費性向として考える。1期間モデルに置き換えて考える。
U(c)=0.7ln(c)+0.3ln(Yc)U(c)=0.7ln(c)+0.3ln(Y-c).
MUc=0.7/c,MUYc=0.3/(Yc)MU_c=0.7/c, MU_{Y-c}=0.3/(Y-c)
予算制約式は Y=cY=c
Y=C+GY=C+G
C=0.7YC = 0.7Y
Y=0.7Y+GY = 0.7Y + G
ΔY=0.7ΔY+ΔG\Delta Y = 0.7 \Delta Y + \Delta G
(10.7)ΔY=ΔG(1-0.7) \Delta Y = \Delta G
0.3ΔY=ΔG0.3 \Delta Y = \Delta G
ΔYΔG=10.3=103\frac{\Delta Y}{\Delta G} = \frac{1}{0.3} = \frac{10}{3}

3. 最終的な答え

103\frac{10}{3}

「応用数学」の関連問題

表は事業別の売上高比率(単位:%)を示しています。2018年のコンテンツ事業の売上高が2016年の1.17倍だったと仮定した場合、2018年の全体の売上高は2016年の売上高のおよそ何倍になるかを、選...

比率売上高計算割合
2025/5/21

表に示されたある月の野菜の卸売数量と価格のデータに基づき、前月のかぼちゃの卸売数量と前月のパセリの卸売数量の差を求める。

割合計算データ分析応用問題
2025/5/21

表に記載された昭和63年から平成4年までの貿易統計データから、最も円安であった年を特定する問題です。為替レートは明示されていませんが、円建てとドル建ての輸出額または輸入額の比率から、間接的に円安の程度...

比率計算経済統計分析
2025/5/21

グラフは各国の研究者数(棒グラフ、左軸)と研究者1人当たりの研究支援者数(折れ線グラフ、右軸)を表しています。EUの研究者数が何人減ると、研究者1人当たりの研究支援者数が英国と同じになるかを、選択肢の...

グラフ比率方程式計算
2025/5/21

X社の地域別売上高の推移(対前年比成長率)の表が与えられている。 北陸における2020年度と2019年度の売上高の差が2,000万円だったとすると、2018年度の売上高はおよそいくらかを求める。

売上高成長率計算応用問題
2025/5/21

グラフはP社の2つの商品XとYの売上高の対前年比%を示しています。2015年の商品Xの売上高を100としたとき、2017年の商品Xの売上高と2018年の商品Xの売上高の平均はおよそいくつになるかを、選...

割合対前年比売上高平均
2025/5/21

2020年の年齢別旅券発行数合計をX、19才以下の発行数をYとおいたとき、XとYの関係を表す式として最も近いものを選択肢から選ぶ問題です。

グラフ統計方程式
2025/5/21

グラフを見て、昭和50年の琵琶湖に流入する窒素の量が、昭和40年の同流入量と比較して約何%増加したかを、選択肢から最も近いものを選ぶ問題です。

割合パーセントデータ分析環境問題
2025/5/21

グラフから、50-59歳の年間収入をXとしたとき、グラフのうち年間収入が3番目に高い年代の年間収入はどのように表されるか。選択肢の中から選ぶ。

グラフデータ解析割合
2025/5/21

4つの総費用関数が与えられています。それぞれの関数について、企業レベルでの規模の経済が存在するかどうかを文章で説明します。規模の経済の定義を明確にし、図を用いて説明します。C(Q)は総費用関数、Qは生...

経済学費用関数規模の経済平均費用微分グラフ
2025/5/21