実数 $\theta$ が $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ を満たすとする。写像 $f: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2$ を $xy$ 平面上の点を直線 $l: y = (\tan \theta) x$ に下ろした垂線の足に移す一次変換(直線 $l$ への正射影)とし、行列 $A$ を $f = f_A$ を満たす2次正方行列とする。ただし、$f_A$ は行列 $A$ による一次変換である。以下の問いに答えよ。 (1) $xy$ 平面上の2点 $B(1,0), C(0,1)$ を写像 $f$ で移した点をそれぞれ $B', C'$ とする。このとき、点 $B', C'$ の座標をそれぞれ求めよ。 (2) 行列 $A$ を求めよ。 (3) 行列 $A$ の固有値を求めよ。また、各固有値に属する固有ベクトルを1つ求めよ。 (4) 写像 $f$ は単射でないことを示せ。
2025/5/21
1. 問題の内容
実数 が を満たすとする。写像 を 平面上の点を直線 に下ろした垂線の足に移す一次変換(直線 への正射影)とし、行列 を を満たす2次正方行列とする。ただし、 は行列 による一次変換である。以下の問いに答えよ。
(1) 平面上の2点 を写像 で移した点をそれぞれ とする。このとき、点 の座標をそれぞれ求めよ。
(2) 行列 を求めよ。
(3) 行列 の固有値を求めよ。また、各固有値に属する固有ベクトルを1つ求めよ。
(4) 写像 は単射でないことを示せ。
2. 解き方の手順
(1) 点 から直線 への垂線の足 を求める。
の方程式は なので、 と表せる。
に垂直な直線の傾きは であり、 を通るので、
となる。
この直線と の交点が である。
よって、.
同様に、点 から直線 への垂線の足 を求める。
に垂直で を通る直線は
.
よって、.
(2) 行列 は、基本ベクトル と の像を列ベクトルとする行列である。
したがって、.
(3) 行列 の固有値を求める。
よって、固有値は .
のとき、 を満たす固有ベクトル を求める。
なので、
.
.
のとき、 を満たす固有ベクトル を求める。
なので、
.
(4) が単射でないことを示す。
写像 が単射でないとは、異なるベクトル が存在して となることである。
あるいは、 であることを示せばよい。
の固有ベクトル に対して、 であるから、
であり、 なので、.
したがって、 は単射ではない。
3. 最終的な答え
(1) ,
(2)
(3) 固有値: .
固有ベクトル: に対して , に対して
(4) 写像 は単射ではない。